米国時間2012年8月24日、Evernoteが主催するイベント「Evernote Trunk Conference 2012」がSFDC Concourse Exhibition Hall(サンフランシスコ)にて開催されました。今回は初日のキーノートの模様をお届けします。
昨年の2倍の規模で
今回で2回目となるEvernote Trunk Conference(以後ETC)は、昨年と比べて2倍の規模になったとのこと。参加者やセッション数が増えた他、海外からも多数のメディアが取材に参加しました。
オープニングでは、MCから「日本のイベントに習い、ETCでもじゃんけんでのプレゼント大会をします」と、遊び心を織り交ぜたイベント設計がなされていました。プレゼントには、Sonyの電子ブックリーダー「READER」や富士通のScan Snapなどが提供されました。
ライフスタイルに浸透したオンラインサービス
午前のキーノートには、Evernote CEOのPhil Libin氏が登場。この一年間で、さらに人々のライフスタイルに浸透したサービスであることを強調しながら、1つ目の新発表に移りました。
Evernote Business
Phil氏は「Evernoteをビジネスで使うために」という観点から、次の4つの項目を挙げました。
- Easy on-boarding(業務フローでの簡単な適用)
- Data ownership(データ保有者の管理)
- Business Sharing(さまざまなビジネスへの展開)
- Dedicated support(ビジネス要件に耐えうるサポート)
これらを実現するために発表されたのが、「Evernote Business」です。月額10ドルでの利用が可能となるEvernote Businessは、これまで無償版として慣れ親しんできたユーザが、ビジネス分野にシフトしたときに、一層使いやすくすることを目指し発表されました。
具体的には次のような機能・特徴を有します。
- 管理者用コンソール
- 専任カスタマーマネージャ
- データ所有権の使い分け
- シンプルな登録手順
- 一括支払い機能
今回、β版としてリリースされ、正式版は今年12月のリリースが予定されています。
- Evernote Business
- URL:http://evernote.com/business/
100年企業を目指して
Evernote Businessの発表に続いて、Evernoteの現状を紹介しはじめました。
まず、オンラインサービスを「Kill Time」「Save Time」の2つのカテゴリに分け、前者にはFacebookやZyngaのソーシャルゲーム、Angry Birdsといったものを取り上げ、これらのサービスやコンテンツは時間を消費してしまうことを示唆し、一方のSave Timeとして時間を有効に活用できるものとしてEvernoteを比較紹介しています。
そして、この1年間のEvernote社の進化について、データを元に紹介しました。
具体的には、
- 従業員数:85人→230人
- API開発者:5,000人→15,000人
- Evernoteユーザ数:1,200万人→3,800万人
というように、非常に大きな成長を遂げています。
また、オフィスも、今年6月にヘッドクォーターがMountain ViewからRedwood Cityに移転した他、2012年8月現在、アメリカに2つ、東京に加えて、世界各地に計7ヵ所のオフィスを備える規模になっています。
最後に、Philの発表時には必ずコメントされる「100年企業」のビジョンが説明され、「今はまだ4%(4年)です。これから100年に向けてさらなる成長を続けていきます」と、最新動向紹介と展望を締めくくりました。
モレスキン×Evernoteが拓くスマートノート体験
次に、今回のもう1つの新発表が行われました。
Philは「昨年は企業の成長をする上で、アプリのデザインやユーザ体験の向上を目指してきました。たとえば、Clealyのようにスマートな操作をしていくものです」と、Evernoteのユーザ体験向上に関して説明した上で、「一方で、これまでもAppleなどのデザインやユーザ体験を押さえている企業からのインスピレーションを受けてきており、今回、そういった企業の1つであるモレスキンとコラボレーションすることで、より素晴らしい何かが実現できるのではないかと思い、新製品の発表を行います」として、紙のノート製品を提供する世界的企業モレスキンのCEOであるArrigo Berni氏を紹介しました。
これまで、「紙とデジタルはライバル関係だった(笑)(Phil氏)」としながらも、人が考えること、知識を蓄えていく上での協力関係を結ぶべく発表されたのが、今回の「モレスキンEvernoteスマートノートブック」です。
これは、アイデアを描き込んだモレスキンのノートページから、直接Evernoteに取り込める特別機能を有しています。具体的には、
- 特殊ページデザイン
- スマートステッカー
- ページカメラ(Evernote iPhone/iPadアプリ)
といったものです。
とくにスマートステッカーは、ページに張って写真を撮るだけでEvernoteで認識され、すぐにノートにタグを付け、設定で指定したノートブックに格納することができます。
Phil・Berlni両氏のコメントから異口同音に「この製品は、Evernote・モレスキン両社が持っている企業理念がうまくマッチした、とてもスマートな製品である」ということが伝わってきました。
気になる価格は、ラージ(3,150円)、ポケット(2,205)で、10月1日からの販売が予定されています。すでにこちらのページにて予約が開始しているので興味がある方は予約してみてはいかがでしょうか。
Evernoteが目指すライフスタイルの提案が見えたキーノート前半
以上で、キーノート前半が終わりました。この発表からは、ビジネスも生活の一部であり、そこをいかにサポートしていくか、また、紙(物質)とデジタルの融合など、これからのインターネット社会で私たちが考えていくべきポイントが、さまざまな視点で織り込まれた内容だったと思います。
このあとは、デザイン、機能、ユーザ体験に関するプレゼンテーションが行われていきました。こちらの内容およびこの他のETC2012の内容については次回紹介します。