ライフスタイルに浸透したオンラインサービスの未来――ETC2012に見るEvernoteのこれから

第2回機能とデザインと体験について考える

EXPERIENCE FIRST

Phil氏のキーノート後、Phil氏とロゴデザイナーとの対談が行われました。

デザイン、機能、体験、さまざまなテーマでのディスカッションが行われた
デザイン、機能、体験、さまざまなテーマでのディスカッションが行われた

ここでは、⁠体験 対 機能(EXPERIENCE VS. FEATURES⁠⁠」というテーマで、サービスとして何が最重要かが大7日、Evernoteが目指すものは何かという話題についてディスカッションが行われました。

EXPERIENCE VS. FEATURES。日本のサービス開発者にとっても悩ましい課題ではないだろうか
EXPERIENCE VS. FEATURES。日本のサービス開発者にとっても悩ましい課題ではないだろうか

ディスカッション途中に、⁠If a tree falls in a forest and no one is around to hear it, does it make a sound ?」と書かれた発表資料を紹介し、Phil氏は「私たちは(たとえ優れた機能だったとしても)誰も使わない機能を開発することを望んでるわけではないことに気が付きました」と述べました。そして、結論として「私たちの最大の目的は、私たちのプロダクトを使うことでユーザ体験を向上させていくことです」とコメントし、Evernoteとしては、EXPERIENCE FIRST(体験最優先)であることを提唱しました。最後に「シンプルにすることは難しいです。しかし、シンプルこそがパワフルであり、大切なことです」として、2人のディスカッションを締めくくりました。

他にも、Evernote HelloやEvernote Foodのアイコンはさまざまな議論が行われ、現在のものになったとのこと
他にも、Evernote HelloやEvernote Foodのアイコンはさまざまな議論が行われ、現在のものになったとのこと

Phil氏のヒーロー、マジシャンのJamy Ian Swiss氏登場

キーノートの最後には、スペシャルゲストとして、マジシャン(Sleight of Hand Artist)のJamy Ian Swiss氏が登場しました。Jamy氏は、⁠ユーザ体験」というテーマについて、マジックを交えながら解説しました。

Phil氏にとってのヒーロー、Jamy Ian Swiss氏
Phil氏にとってのヒーロー、Jamy Ian Swiss氏

まず、オープニングアクトとして、聴講者の一人を壇上に上げ、マジックを披露しました。

Phil氏にとってのヒーロー、Jamy Ian Swiss氏
このマジックでは燃やした紙が元に戻るというもの。この聴講者はもちろん、会場から拍手が

マジックに観るUX

Jamy氏は、マジックを披露した上で、さらにカードマジックを披露しながらUX(ユーザ体験)に関する持論を展開し始めました。

まず、1つの例としてカードを隠すマジックを披露しました。これは一見シンプルなものですが、ぱっと見では仕掛けがわかりません。Jamy氏はこのマジックにおいて、⁠これはただカードを隠すマジックですが、技術だけで実現しているわけではありません。隠す前の前後のストーリー、あるいはちょっとしたしぐさ、こういった一連の行動によって、⁠ユーザに提供する)完璧なマジックが生まれるのです」と述べました。

つまり、ユーザ、すなわち受け手があるものというのは、自分自身の一方的な考えや技術を押し付けるだけではなく、ユーザ側の目線・視点を考えながら、ユーザの感じ方を最高のものにすることが大切だ、というユーザ体験の考え方です。

他に、聴講者から4名のゲストを呼び、手元にある札を順番に当てていくというマジックも披露。Jamy氏によれば、これもストーリーを考えて実現できるそう
他に、聴講者から4名のゲストを呼び、手元にある札を順番に当てていくというマジックも披露。Jamy氏によれば、これもストーリーを考えて実現できるそう

技術は大事だが、ユーザがあってこそのもの

今回紹介した2つのセッションで共通していたのは、⁠ユーザの立場」です。最初の2人のディスカッションではシンプルさを追求し、そこからユーザが求めているものに近づけていくというアプローチ、後半のマジックでは、ユーザの感じ方を最優先にするための技術とストーリーの構築について解説されました。これらの内容は、Webサービスを開発・デザインする人たちにとって大変重要なポイントだと言えるでしょう。

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