ボンジュールEuroBSDCon 2008─裏から見るEuroBSDCon

第1回EuroBSDCon、開幕

EuroBSDCon 2008が開催されたストラスブール大学はストラスブール旧市街にある。観光名所も集まった綺麗な街
EuroBSDCon 2008が開催されたストラスブール大学はストラスブール旧市街にある。観光名所も集まった綺麗な街

定期的に開催されるBSD国際カンファレンス

*BSD関連のローカルカンファレンスや国際カンファレンスはこれまでも随時開催されてきましたが、ここ4、5年で定期的に開催される国際カンファレンスが定まってきました。今のところ次の4つの国際カンファレンスが定期的に開催されています。

  • AsiaBSDCon ─ 3月(日本、東京)
  • BSDCan ─ 5月(カナダ、オタワ)
  • NYCBSDCon ─ 10月(米国、ニューヨーク)
  • EuroBSDCon ─ 10月(欧州各国持ち回り)

国際カンファレンスでの共用語は英語です。現地の言葉が使われるローカルカンファレンスは、上記とは別に各国で開催されています。たとえば2008年春にはスペインでローカルカンファレンスが開催されました。2007年秋にはトルコでも国際カンファレンスが開催されています。

国際カンファレンスとともに併設されるデベロッパーサミット

国際カンファレンスは多くの場合、2日間で運用されます。BSDCanは並列3セッションでプログラムが組まれます。EuroBSDConとAsiaBSDConは2並列が多いようです。カンファレンスは発表形式で、登壇者が発表しそれに対して質疑応答が行われます。開発者やユーザが参加します。

国際カンファレンスはデベロッパーサミットと呼ばれる開発者会議が実施されるタイミングでもあります。国際カンファレンスが開催される前に、2日間ほど期間をとってコミッタを中心とした開発者会議がそれぞれのOSの開発者コミュニティで会議が開催されます。たとえばEuroBSDCon 2008の場合、カンファレンスが開催されるよりも2日前の16日と17日にFreeBSDデベロッパーサミットが開催されました。

デベロッパーサミットは開発者(コミッタ)による議論の場です。開発されたシステムの説明や発表もあれば、新しい技術や実装への理解を深めるための勉強会、問題の洗い出しや今後の開発方向性の議論、実装技巧の紹介や議論など、ともかくも説明と議論、それに開発が実施されます。開発者にとってはデベロッパーサミットが重要な情報交換の場所になっています。参加は基本的にコミッタであるか、コミッタによって招待された人です。開発に興味がある場合には開催者に連絡を取れば参加できることもあります。

併設されるチュートリアル

デベロッパーサミットと同じく、国際カンファレンスで併設されるのがチュートリアルです。チュートリアルはセッションごとに参加が有料のセッションで、特定の分野に興味があるユーザが勉強目的で参加します。チュートリアルも国際カンファレンスが開催されるよりも前に2日間で設置されることが多いようです。EuroBSDCon2008の場合であれば、16日と17日にチュートリアルとFreeBSDデベロッパーサミットが開催され、18日と19日にカンファレンスが開催されます。

ソーシャルイベントやディナー

デベロッパーサミットや国際カンファレンスが開催されている間、形式は開催場所やそのときの委員会によって異なりますが、食事会を中心とした懇親会が開催されます。各国のコミッタやユーザと親睦を深めたり情報交換を行う貴重な時間です。

なぜ国際カンファレンスが開催されるのか?

FreeBSDのようなOSは世界中の開発者によって開発され、世界中のユーザによって活用されています。情報交換はメーリングリストやIRC、メール、CVS/SVNログなどを通じて実施されますが、より突っ込んだやり取りをしたり相手の真意を汲み取るには、直接会っての対話も重要になってきます。プロジェクトの円滑な運用のためにも、お互いにどういう開発者であるかを理解することは大切です。また最新の話題を仕入れたりするためにも、こうした国際カンファレンスやデベロッパーサミットがひとつの手段として有効というわけです。普段は使っていない、ほかの*BSDの開発者と交流がとれるといった意味でも貴重な機会です。

費用の問題もあり、すべての国際会議に参加するのは困難ですが、近いところで開催される国際カンファレンスへの参加を検討するのは有益です。日本在住の場合は東京で開催されるAsiaBSDConへの参加がもっとも現実的です。2009年も3月14日と15日に開催が計画されています。ぜひとも参加してみてください。

参加方法を追ってみる: EuroBSDCon 2008のケース

とはいっても、なかなか海外の国際カンファレンスには参加しにくいのが実情。そもそもどうやって参加すればいいのかもわかりません。そこでEuroBSDCon 2008のケースを取り上げて参加するまでの流れを追ってみましょう。

まず参加したいカンファレンスを選んでサイトを閲覧します。ここではEuroBSDConの場合で進めますが、日本から参加するならBSDCanの方が費用も安く得られる情報も多くてお薦めです。カンファレンスのサイトは検索すればすぐに見つかります。

公式サイト:EuroBSDcon 2008: meet the family!
URL:http://2008.eurobsdcon.org/

一通りサイトの内容を読んだら、⁠Registration」から登録作業を行います。開催期間が近づかないとレジストレーションは始まらないので、ときどきチェックしてください。カンファレンス参加は最低限必要です。これにソーシャルイベントの参加の有無、チュートリアル聴講の有無を選択して支払い画面に進みます。日本からの支払いはクレジットカードが便利です。支払いを実施するとメールが届きますので、メールの内容に従ってチケット画面の印刷などを行います。早期のレジストレーションには割引が入りますので、参加を決めたら早めに登録する方が安くすみます。

あとはカンファレンスが開催される住所をメモして旅行代理店に向かい、便の確保からホテルの予約までを行います。不安であればホテルから会場への移動方法など、細かい点についても聞いておくといいでしょう。渡航は飛行機だけではなくバスが入ることもあります。電車や路面電車の使い方も、あらかじめ調べておいたほうが便利です。通貨や税金も各国で違うため、調べておいたほうがいいでしょう。

渡航には飛行機だけではなくバスが途中に挟まることもあり
渡航には飛行機だけではなくバスが途中に挟まることもあり
ストラスブールに向かう途中、ドイツのフランクフルト空港での風景
ストラスブールに向かう途中、ドイツのフランクフルト空港での風景

OSの開発や、そのOSを利用したシステム開発をしているなどデベロッパーサミットに参加したい場合には、別途連絡を取って参加を申し込みます。たとえばFreeBSDデベロッパーサミットに参加したいのであればFreeBSD Developer Summitsをチェックして、参加する開発者の誰か関係してそうな人物にメールを送って相談します。 :)

EuroBSDConの特徴は…

EuroBSDConは他の国際カンファレンスと異なり、開催国が毎年変わります。ちなみに2009は英国ケンブリッジでの開催が予定されています。会場手配や準備などの担当者が毎年変わるため、内容も特徴も変わります。今年はフランスですが、例年に比べると準備が緩すぎやしないかという指摘もありました。イタリアで開催されたときはそもそもスピーカが数時間遅れて登場したりと、しっかりした年もあれば緩い年もあります。このあたりはEuroBSDConならではでしょう。

EuroBSDConは10月の開催ですが、日本でいえば11月から12月くらいの気候でちょっと寒いので、野外で飲むときは厚着をしておく必要があります。EuroBSDCon 2008はフランスで開催されたので、フランス語がわからないと食事会や飲み会に参加しても周りが何をしゃべっているかまったくわかりません。;-) 注文するのもひと苦労ですが、各国で開催されるEuroBSDConならではのおもしろさではあります。

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