よくグリーンITを計る目安として取り上げられるPUE(Power Usage Effectiveness)という数値があります。これはデータセンターやサーバ室が消費した電力をIT機器が消費した電力で割った値で、企業の電力消費効率を表す指標です。これが2.0を切ると効率が良いとされますが、Googleのデータセンターはこれが1.2だそうで、驚異的な値と言えます。ただ、いくらこうした効率を上げても、もとの電力消費量が多くては意味がありません。他にもテレワークやペーパレスなど効率を上げる方策はありますが、こうした直接的な「Green on IT」ではCO2の削減効果は限られてしまうのです。これはITという活動自体が電力消費を必須としたものだからで、その意味でITはCO2を増やす方向にしか働きません。
その代わりに岡田氏がお勧めするのは、ITを使って電力消費を抑える「Green by IT」です。たとえばCPUパワーをうまく使って電力を使わないシステムを構築したり、アプリケーションやインターフェースもより操作しやすいものにして使用時間を短縮するといったことを指し、IT作業自体の効率を上げることで、間接的にCO2削減に貢献できるというわけです。これはつまるところ、良いソフトウェア、システムを作りましょうということになります。こうした活動は一般的にはなかなか「グリーンIT」とは認められませんが、みんなで活動やアナウンスを積み重ねることによって、社会や人々の考え方にイノベーションを起こすことができるのではないか、それを標榜する「グリーンIT」ならば意味もあるという結論でセッションを結びました。