パソナテックカンファレンス2008レポート

1日目PM 「チームコラボレーション~組織の力を最大限に発揮する~」「これから学ぶグリーンIT~人、組織、社会そして地球にやさしいITへ~」

1日目メインセッションの後、2つの会場で計7つのセッションが行われました。このうち、UDXシアターで行われた最後の2つのセッションをレポートします。

上記のほか「オープンセッション」と呼ばれるブースでのセッションも行われました。このブースの入り口では飲み物なども配られています。
上記のほか「オープンセッション」と呼ばれるブースでのセッションも行われました。このブースの入り口では飲み物なども配られています。

1日目PMセッション「チームコラボレーション~組織の力を最大限に発揮する~」

尾藤正人氏
尾藤正人氏

1日目の3番目のセッションは「チームコラボレーション~組織の力を最大限に発揮する~」と題して、ウノウ⁠株⁠CTOの尾藤正人氏による講演です。同社はオープンな開発と自由な社風で知られるベンチャーですが、同社で行われている開発のスタイルや仕事の進め方について紹介したあと、同社がどのようなエンジニアを採用し、求めているのかについて言及しました。

同社ではプログラムの管理にはバージョン管理システム、開発案件の管理にBTS(バグトラッキングシステム),情報共有にWikiなどを使っています。これらのツールによる効率性をデモを交えてわかりやすく紹介しました。

どの管理フェーズでもExcelなどを使う組織がありますが、Excelではデッドロックが起こり、限られた人にしか更新できないなど問題が多く、開発の効率に著しい差が出ます。それぞれのシステムに馴れるのに多少の習熟が必要ですが、こうしたツールの利用に積極的かどうかで、その組織の生産性は大きく変わります。

ではそういう組織にするためには、どんな人材のどこに目を付けて採用すべきでしょうか。同社の採用面接のほとんどに立ち会う尾藤氏によると、⁠学歴」⁠資格」⁠勤続年数」は参考にしないそうです。それよりも過去にどんなプログラムを作ってきたか、そして何よりも重視するのはプライベートでどのような活動をしているかです。技術が好きな人は仕事以外でもオープンソースプロジェクトで活動したり、技術的な勉強会に出る人が多く、これらの個人的活動によって技術力を磨くこともできます。またそうした人の考え方は「オープン」であることが多く、これも同社や尾藤氏の考え方に合っていると言います。

LinuxやApacheなど、いまWebサービスなどで企業に標準的に使われている技術はすべて公開によって発展してきました。こうした姿勢に大いに共感しているとのこと。同氏はこれを「give & takeは『give』から始まる」と表現しています。

そして、エンジニアとして最も重視するのは「コア技術」を生み出す力を持っているかという点です。それを見抜くにはその人の技術力を判断するしかありません。そのためには、採用権をもつマネージャも技術を理解する必要があると、尾藤氏は説きます。

講演の模様
講演の模様

セッション後の質問コーナーでは、技術力やセンスのある開発者の見分け方や見つけ方についての質問が多く寄せられましたが、これについては経験を積むしかないようです。その一環として尾藤氏が勧めるのが、外部の勉強会や技術者交流会に参加して、技術力のある人と交流を持つことです。少々畑違いでもがんばって参加してほしいとのことでした。

1日目PMセッション「これから学ぶグリーンIT~人、組織、社会そして地球にやさしいITへ~」

岡田良太郎氏
岡田良太郎氏

1日目最後のセッションは「これから学ぶグリーンIT~人、組織、社会そして地球にやさしいITへ~」と題した⁠株⁠テックスタイルの岡田良太郎氏による講演です。⁠グリーンIT」とは最近よく大企業が唱えるお題目のひとつですが、イメージが先行し、はっきりとした姿は見えません。これをわかりやすく提示するセッションでした。

よくグリーンITを計る目安として取り上げられるPUE(Power Usage Effectiveness)という数値があります。これはデータセンターやサーバ室が消費した電力をIT機器が消費した電力で割った値で、企業の電力消費効率を表す指標です。これが2.0を切ると効率が良いとされますが、Googleのデータセンターはこれが1.2だそうで、驚異的な値と言えます。ただ、いくらこうした効率を上げても、もとの電力消費量が多くては意味がありません。他にもテレワークやペーパレスなど効率を上げる方策はありますが、こうした直接的な「Green on IT」ではCO2の削減効果は限られてしまうのです。これはITという活動自体が電力消費を必須としたものだからで、その意味でITはCO2を増やす方向にしか働きません。

その代わりに岡田氏がお勧めするのは、ITを使って電力消費を抑える「Green by IT」です。たとえばCPUパワーをうまく使って電力を使わないシステムを構築したり、アプリケーションやインターフェースもより操作しやすいものにして使用時間を短縮するといったことを指し、IT作業自体の効率を上げることで、間接的にCO2削減に貢献できるというわけです。これはつまるところ、良いソフトウェア、システムを作りましょうということになります。こうした活動は一般的にはなかなか「グリーンIT」とは認められませんが、みんなで活動やアナウンスを積み重ねることによって、社会や人々の考え方にイノベーションを起こすことができるのではないか、それを標榜する「グリーンIT」ならば意味もあるという結論でセッションを結びました。

講演の模様
講演の模様

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