こんにちは、芝田です。
台湾で開催されたPyCon APAC/Taiwan 2015の参加レポートもいよいよ最終回です。今回はカンファレンス最終日の様子をお届けします。
3日目
Wei-Ting Kuo:Sentiment Analysis by NLTK
写真1 Wei-Ting Kuo氏によるNLTKを使った感情分析
このセッションではNLTK(Natural Language Toolkit) を使って英文のポジネガ判定を行う方法を解説していました。ポジネガ判定というのは、文章がポジティブかネガティブか判定するものです。例えば、ある書籍に「This is a good book!」という感想があれば、「 good」というポジティブなイメージを持つ単語が含まれていることから高く評価されているということがわかります。
NLTKを使うと、センテンスや単語の分割からモデルの生成まで手軽に出来るようです。簡単なサンプルコードをベースに解説していて、NLTKを初めて知った筆者にもイメージがつかみやすかったです。日本語や中国語は英語に比べ、複雑で解析が難しいとされていますが、筆者も日本語で試してみたくなるセッションでした。
参考リンク
Sentiment Analysis by NLTK - Wei-Ting Kuo
Sentiment analysis-by-nltk - slideshare
Summit Suen:Play Data, Play Ball!
写真2 Summit Suen:Play Data, Play Ball!
このセッションはセイバーメトリクスの紹介から始まり、野球のデータを収集する方法や可視化する方法について解説されていました。セイバーメトリクスとは、データを統計学の観点から客観的に分析し、野球選手の評価や戦略を考える分析手法のことです。野球データとして「Lahman 」と「MLBAM 」があります。しかしそこで公開されているデータはメジャーリーグのデータしかないため、日本や台湾の野球データはクローリングによって集めているとのことでした。
日本の野球データも扱いやすい形式で公開されると、セイバーメトリクスがどんどん盛り上がりそうですね。
参考リンク
Play Data, Play Ball! - Summit Suen
Play Data, Play Ball! - pyconapac2015: Slides
清水川貴之:Sphinx autodoc: automated API documentation
写真3 清水川氏によるSphinx autodocの解説[1]
PyCon APAC最後のセッションは清水川(@shimizukawa )氏によるSphinx autodocの解説でした。Sphinx autodocはソースコード内のdocstringsと呼ばれるコメントからAPIドキュメントを自動生成する機能です。筆者もSphinxの中で特に好きな機能の一つで、本当に簡単にAPIドキュメントが生成できます。
またdocstringsはドキュメント生成に使われるだけでなく、特定のフォーマットに従えばテストとして実行可能です。このセッションでは、autodocだけでなくdocstringsによるテストの実行方法やカバレージの出力方法まで解説されました。最後のセッションということもあり、多くの方がこの会場に集まっていましたが、この発表を通してSphinxに興味をもった方がたくさんいるのではないかと思います。
清水川氏は2日目にもトークセッションを1つこなし、忙しい中でしっかりと準備を進めていました。筆者も清水川氏のように積極的に英語によるトークに挑戦していきたいと思いました。
参考リンク
Sphinx autodoc: automated API documentation - Takayuki Shimizukawa
Sphinx autodoc - automated API documentation (PyCon APAC 2015 in Taiwan) - Slideshare
Lucky Draw・ビンゴ大会
セッションが全て終わると、プレゼント大会が開催されました。プレゼント大会は前半はくじ引き(Lucky Draw) 、後半はビンゴの形式で行われました。Lucky Drawの景品にはスリッパや大きな看板など笑いを誘う商品も多い中、日本から参加した中村真人(@masahito) 氏が見事Google Tシャツをゲットしていました。
写真4 Google Tシャツを受け取る中村真人氏
ビンゴ大会では、スクリーンに表示されたURLをスマートフォンで開き、自分の名札に載っている番号を入力するとビンゴのカードが表示されました。どうやらスポンサーブースなどにある多くのRFIDリーダにかざせばかざすほど、多くのビンゴの枠が最初から埋まっている仕組みだったようです。残念ながら日本から来たメンバーでビンゴになった人はでませんでした。ただし、ビンゴのシステムは非常によく出来ていて見ているだけで楽しめました。PyCon JPでもこういう遊び心にあふれたシステムが導入できるといいですね。
写真5 ビンゴ大会で使われたシステム[1]
クロージング・記念撮影
写真6 クロージング
クロージングでは、イベント中に撮影された写真がスライドショーにして表示され、PyCon APAC 2015をふり返りました。3日間という短い期間でしたが、非常に内容の濃い3日間となりました。イベント中に撮影された写真は下記URLで公開されています。
最後にPyCon Koreaの代表者がステージにあがり、来年のPyCon APACが韓国で開催されることを発表しました。これまで韓国でPyCon APACは開催されたことがありません。どのようなPyCon APACになるのか期待です。
クロージング後、会場のエントランスに集まり参加者全員で記念撮影を行いました。
写真7 全員で記念撮影[1]
また既に帰った方もいましたが、日本から来たメンバーも記念撮影をしました。みなさんお疲れ様でした!
写真8 日本から来たメンバーで記念撮影
スタッフ・スピーカーディナー
記念撮影の後、PyCon APACスタッフ・スピーカーのディナーに招待していただきました。会場は宿泊施設と同じ建物で、普段朝食に利用していたレストランでしたが、朝食より豪華なメニューが並び非常に美味しくいただきました。
せっかくの機会なので、現地のスタッフともお話しました。このように自分から英語で話しかけるのは初めてでしたが、台湾では日本のアニメやゲームの文化がかなり浸透していてとても盛り上がりました。
写真9 現地のスタッフとお話
これで筆者のPyCon APACレポートは終了です。このイベントを振り返ると、会場の設備は整っていてご飯も美味しくとても快適でした。日本からの参加者として、ほぼ全ての時間帯に英語のセッションが入っていたことが非常にありがたかったです。現地のスタッフのみなさん、興味深いセッションをしてくださったスピーカーの方々には感謝いたします。とても貴重な体験になりました。
PyCon JP 2015のお知らせ
最後に宣伝です。筆者もスタッフとして参加しているPyCon JP 2015 が10月に東京国際交流館プラザ平成 で開催されます。スケジュールは以下のとおりです。
チュートリアル
2015年10月9日(金)
カンファレンス
2015年10月10日(土) 、11日(日)
スプリント
2015年10月12日(月)
PyCon JP2015の参加チケットはこちらのページ で販売中です。
またトークセッションの演題を募集中です(詳細はこちら ) 。今年のテーマは“ Possibilities of Python” です。みなさんの考えるPythonの可能性についてのトークをお待ちしています。キーノートスピーカーには、PyLadiesサンフランシスコ支部の創設者として知られるLynn Root氏、BeProud代表取締役の佐藤治夫氏を迎えます。今後もイベントに関する情報はPyCon JP Blog やTwitter公式アカウント にて随時発信していきます。
筆者にとっても初のPyCon JPになります。楽しみですね! それではPyCon JPでお会いしましょう。