現地時間7月2日、ツアー一行はサンフランシスコに到着しました。
快晴のサンフランシスコ
7月のサンフランシスコは、とても天気が良く湿度もなくて過ごしやすい天候です。ただ、日本の7月に比べて気温が低いため、半袖ではかなり涼しい状態でした。
さて、まず到着後、サンフランシスコの観光スポットの1つであるフィッシャーマンズワーフにて昼食を取りながら、参加者の自己紹介が行われました。今回の参加メンバーは、パソナテック登録スタッフ、パソナテック代表取締役社長森本宏一氏およびパソナテック社員、メディア関係者のそうぜい27名となっております。この先3日間、それぞれが訪問先の企業で見聞を広め、アメリカ西海岸、そしてシリコンバレーの雰囲気を体感することを目的にツアーがスタートしました。
“MANGA”がワールドワイドに進出―VIZ Media, LLC
映画館を改築してオフィスに
最初の訪問企業は、小学館、集英社、小学館集英社プロダクションの3社が出資する日本のマンガコンテンツプロバイダ「VIZ Media, LLC」です。小学館や集英社のマンガを中心に、日本のコンテンツの翻訳書の販売、キャラクターライセンスの販売および関連商品の展開を行っています。
同社は1986年、小学館の100%子会社として設立しました。オフィスはフィッシャーマンズワーフに近いベイエリアにあり、当時映画館だったビルを改築したそうです。
全4フロアに、編集や制作、デザインチームが働く
このオフィスは全4フロアから構成されていて、
- 1F:編集、翻訳、デザイン、印刷、マーケティング、Webオンライン関係
- 2F:TV番組制作、雑誌関係、関連商品監修チーム
- 3F:人事、法務、経理
- 4F:ブレイクルームおよび管理部、総務部
といった配置になっています。各フロアとも、日本のマンガや関連グッズ、翻訳版のマンガなど、マンガに関係したものが所狭しと並んでいます。ワークスペースは1人に十分な場所が与えられており、それぞれが自分の責任範囲の業務を行っています。
今一番人気があるのが『NARUTO』
社内見学をさせていただいた後、アメリカ国内におけるマンガ市場および関連について、漢城まどか氏によるプレゼンが行われました。まず、アメリカ全体のグラフィックノベル(マンガの他、韓国のマンワや一部アメコミを含む)の売上市場は、2007年時点で推定390億円、そのうちマンガが210~260億円とのことです。出版市場全体で見て約3%程度を占めており、出版市場が冷え込む中、右肩上がりで伸びているそうです。
その中でも、全米で今最も人気があるのが、『週刊少年ジャンプ』でもおなじみの『NARUTO―ナルト』とのことで、アメリカ版の第1巻は累計で約30万部売れているそうです。
日本と異なるアメリカの文化をふまえて全米展開を目指す
このように、順調に伸びを見せている漫画史上に関して、漢城氏は、「伸びているとは言ってもまだまだ全体から見れば少ない数字で、これからさらに伸びていくものと期待しています。それから、コンテンツそのものに関して言うと、日本とアメリカを比較した場合、表現に対する反応が違います。たとえば銃を持つなどの暴力シーンや性表現に対して、日本ではOKでもアメリカではNGというものがあります。この部分について、VIZ Mediaでは修正などの対応を行い、アメリカの文化に取り入れられるようにしています。
現状、マンガが受けいられているのは、東西海岸地域、いわゆる外国文化を受け入れてくれやすい地域がほとんどで、アメリカ中央まで浸透したのは『ポケモン』のみです。今後、アメリカ全土に普及できるようなコンテンツが必要になっていくと思います」とコメントしています。
アメリカで働くには?―VIZ Mediaの場合
最後に、VIZ Mediaで人事担当をしているJeanine Egan氏に、VIZ Media、そしてアメリカで働くために必要なことを伺ったところ「フレキシビリティ(柔軟性)」という答えが返ってきました。一般的に、日本の出版業界は再販禁止や取次によるシステムなど、海外の出版業界とは異なる部分が強く見られます。そういった企業とのやりとりをするうえで、それぞれの違いを受け入れて仕事を進められることが重要だと述べました。
また、アメリカにおけるマンガ業界はまだまだ新しく、いわゆるベンチャー企業の雰囲気に近いものがあるそうです。そのため、拡大していくときに起こりうるきしみのようなものに対して、エキサイティングだと感じて前向きに、フラストレーションを溜めないで働ける人ほど、こちらで働くことに適しているとコメントしました。
また、こちら(アメリカ)では勤務時間とそれ以外がはっきり分かれていることも特徴と述べ、ライフワークバランスが取りやすいことが、アメリカで働くことのメリットだそうです。