特別セッション:アストロ コーダー
「Web Directions East 2008」のカンファレンスでは、長めのランチタイムが取られた。このランチタイムの後半では、John Allsopp(ジョン・アルソップ)氏によるライブコーディングが行われた(鉄腕アトムが大好きというジョン氏にちなみ、セッション名が「アストロ コーダー」と名付けられていた)。
ライブコーディングの内容は、CSSエディターである「Style Master」を利用して、Apple Storeのメニューインターフェースを、画像を利用せずにCSSのみで制作するというものだった。
以下の動画は、このライブコーディングの最初のさわりの部分である。
アンディ・バド氏『Guerilla Userbility Testing─高効率・低コストで行うユーザビリティテストの仕組み』
ランチタイムが終わり、4番目のトラックでは、Andy Budd(アンディ・バド)氏による、『Guerilla Userbility Testing─高効率・低コストで行うユーザビリティテストの仕組み』と題した講演が行われた。
アンディ氏は、ユーザビリティテストの必要性について、まず、「コンピュータが高処理になり、新しい技術が発表されるたびに、簡単に使えるものではなくなっている。ユーザーはそれらを使用するためにフラストレーションを感じることになる。多くのユーザーはそれを自分が機械音痴だとか、機械のせいにする」と語る。
たとえば、「日本の切符券売機は使い方がまったくもって理解できません。どのボタンをおせばどこまでの切符が購入できるのか、そのように当たり前のことが、全く考えられていない」と苦言を呈した。「しばしば、ユーザーはマニュアルを読もうとしません。ユーザーは新しいものが出てきても、今までのシステムや使い勝手を思い出して、なんとかそれを動かそうと試行錯誤します」と示した。
そして、「Webに関して言えば、ユーザーは一つのコンテンツを意識してを見ているとは限らないのです。ほとんどの場合、様々なことに意識を捕らわれて、目をあちこち移動させながら飛ばし読みしています。開発者は、ユーザーがどのような行動をとるか予測して設計しなければなりません」と語った。
続けて、人気オンラインゲーム、Halo3のユーザビリティテストを事例に挙げた。彼によれば、Microsoft社はHalo3の開発で 600人の3000時間のテストを実施し、ベテランユーザーとビギナーユーザーの動向を調査。それによってゲームバランスを調整し、結果的に3億ドルの売り上げに繋がったと述べた。
アンディ氏は、「マジックミラーを採用した大規模なラボや、資金・時間がなくても、ユーザビリティテストは行える」とし、ローコストで行うことができるテストと、そのポイントを紹介した。「時間がなければタスクを整理し、重要な順に行うこと。SMSなら登録までの流れだとか、ショッピングサイトであれば実際に購入するところまで。ユーザビリティテストで重要なことは、客観性が重要です。例えば、“ユーザーに、ここはどうだろう?”とか、デザインが悪いんじゃないかとか、感想を聞く必要はありません。あくまで、彼らがどうしたいのか、そのリクエストの時に彼らはどういう行動にでるのかを直接調査し、テストの対象者に具体的に何をするかを教えてはいけません。ルール・目標だけを与えるのです。そして、終わったらなるべくはやくそのフィードバックを取り込むこと」と述べた。
最後に、アンディ氏は自身が制作したユーザビリティテストソフト「silverback」をデモした。ユーザーの動向を全て保存することのできるソフトであることを紹介した。