「Web Directions East 2008」カンファレンス レポート

#6マイク・ミジャースキー氏Visualization A Web Of Data─Web上における情報データの可視化』

「Web Directions East 2008」のカンファレンス、最後のトラックでは、Mike Migurski(マイク・ミジャースキー氏)氏による、⁠Visualization A Web Of Data─Web上における情報データの可視化』と題した講演が行われた。

写真1 マイク・ミジャースキー氏
写真1 マイク・ミジャースキー氏

マイク氏は、いくつかの制作事例をもとにWEBにおける大量データの可視化について、三原則としてLive, Vast, and Deepを提示し、⁠データの可視化におけるポイントはデータが常に最新であるか、そして広範囲をカバーできているか、そして深さ。つまりどの程度の過去までさかのぼって情報を掘り下げていけるかが重要」と述べた。そして、⁠可視化(グループ化、セレクタ化)することで、ユーザーがその事象についての過去や将来が予測しやすくなり、興味を煽る」と示した。

マイク氏が参加したプロジェクトについて、以下にその一部をまとめた。

Casualties of War

イラク戦争におけるアメリカ軍の戦死者数。戦闘が発生した詳しい場所、所属軍、どのような人種・出身など、ユーザーがさまざま切り口からデータを参照することができる。

写真2 ⁠Casualties of War」
写真2 「Casualties of War」
digg labs

トレンドの話題を可視化したもの。リアルタイムで更新され、突然話題にあがったニュースも一目でわかるため、マイク氏も「非常にliveだ」と評している。

写真3 ⁠digg labs stack⁠⁠。現在盛り上がりを見せているキーワードデータを元に次々とグラフが積み上がっていく

写真3 「digg labs stack」
写真4 ⁠digg labs swarm⁠⁠。ユーザーのキーワードを元に、他のキーワードと関連づけ、それぞれを集約していく
写真4 「digg labs swarm」
hindsight

住宅価格の変動を広範囲で一覧できるようにマップで示したもの。年度別にアニメーションすることで、ユーザーは直感的に理解することができる。ズームインアウトを可能にすることでより範囲を絞って閲覧できる。

写真5 ⁠hindsight」
写真5 「hindsight」
Trulia snapshot

不動産情報マップで見せるのは前述のサイトと同様だが、こちらはより狭く範囲を絞り、物件の画像を見ることができる。ナビゲーションから価格帯で絞り込むこともでき、直感的。マイク氏は「とにかく様々なことを試した。膨大なデータを以下にわかりやすくするかが鍵だった」と述べている。

写真6 ⁠Trulia snapshot」
写真6 「Trulia snapshot」
Sfmoma

カタログ一覧形式で、美術作品を閲覧検索することができる。ルーペのようなインターフェースで、マップをパンやズームなど、既存に存在する動作で深く掘り下げて時系列に絞りこむことができる。

写真7 ⁠Sfmoma」
写真7 「Sfmoma」

マイク氏も述べているように、膨大なデータを可視化することは並大抵のことではない。様々な試行錯誤と、より良い設計、ユーザビリティの追及が必須であるといえるだろう。

誰もがアクセスできる普遍なきWebへ

マイク氏の講演を終え、全てのカリキュラムが終了した。この後、レセプションパーティーの準備まで、別室にて、OperaのAndreas Bovens氏からOperaが対応しているCSS拡張の解説と、W3CのMichael Smith氏のHTML5の解説が行われた。

写真8 OperaのAndreas Bovens氏
写真8 OperaのAndreas Bovens氏
写真9 W3CのMichael Smith氏
写真9 W3CのMichael Smith氏

そして、レセプションパーティーでは、イベント参加者たちがWebの巨匠たちと談笑した。

写真10 オーガナイザーであるJohn Allsopp(ジョン・アルソップ)氏による乾杯の挨拶
写真10 オーガナイザーであるJohn Allsopp(ジョン・アルソップ)氏による乾杯の挨拶
写真11 レセプションパーティーの様子
写真11 レセプションパーティーの様子

今回のカンファレンスで誰もが感じたこと。それは今後Webは世界中のあらゆる人に対してオープンになっていくということだろう。現在のように、何かに縛られることなく、デバイスを問わず、プラグインすら必要ない、ティム氏がかつて提唱した時代が、先進国だけでなく、本当の意味ですべての人類へ開かれようとしている。それを開発していくのは、何者でもない自分であるのだと。そう思わずにはいられないカンファレンスとなった。

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