前回はPerlの過去、現在、未来という軸に関連したセッションを紹介させていただきました。
さて、今年のYAPCは昨今の話題の中心となっているソーシャルゲーム関連のトークおよびそれらに関連するスケーリングに関してのトークがたくさん集まりました。そこで今回は、このテーマに関するトークを紹介していきます。
あの三大巨頭が登壇
まずDeNA社からは「Inside mbga」というタイトルで、モバゲーを支える技術を解説していただきます。モバゲーで使っているPerlモジュール、考え方、これまでの苦労やこれからの発展について興味ある方は必見です。またモバゲー関連では「ソーシャルアプリ向けシステム監視の勘所」として、モバゲーオープンプラットフォーム運用側の視点からのノウハウを共有できるセッションがあります。大規模なシステムの運用はなかなか体験したくともできるものではありませんが、この機会に是非そのノウハウを吸収していってください。
mixi社からは「mixiチェックインの裏側」で先日発表されたばかりの位置情報サービス"mixiチェックイン"について語っていただきます。緯度経度をコンパクトに表現するためのジオコーディング手法geohashの使い方やそれをうまく使うための工夫や高速化の手法について解説していただける予定です。また他にも「Inside Mixi」では普段皆さんが使っているmixiを動かすために行われている工夫やそのための苦労などについて語っていただける予定です。
GREE社からは先日転職したばかりの元はてなCTO伊藤直也氏が「PerlプログラマがPHP大規模開発の会社に入って」と題して、PerlエンジニアがPHPメインの業務に関わることについて語っていただきます。個人的には伊藤氏の久しぶりのYAPC登壇でどのような内容を伝えていただけるのか、とても楽しみにしています。
このように今回のYAPC::Asiaでは業界の三大巨頭であるDeNA、Mixi、GREE社の3社が揃うことになります。それぞれライバル同士が揃ったら何か起きるのかと妄想するだけでも楽しいですが、参加者の皆様にとってはそれぞれの会社がなにを重要と考えているのか、今後どのような方向に進んでいくのかを肌で感じられる良い機会です。トークの内容もそうですが懇親会等で発表者の皆さんと知り合うことのできる良い機会でもありますので、この業界に興味があるなら是非参加してみてください。
ソーシャルアプリ関連技術
ソーシャルアプリと言えばVPSを活用することが多いですが、「Modern Perl Web Development on Amazon EC2」ではEC2上で最新のPlack/Starmanを使って開発・運用する手法を解説していただけます。スケーラビリティを必要とするアプリケーションを開発している方には貴重な情報ですので是非どうぞ!
「Cloud Forecastの紹介」では前述のVPS環境のような状況で複数サーバーを監視するためのツールCloud Forecastについて語っていただきます。Cloud Forecastはすでにlivedoor社内で使われており、1,000台以上ものサーバーをリアルタイムに監視している優れものです。
スケールするためには監視を行いつつさらに効率的にサーバーを運用していく必要があります。「省サーバ運用」ではPerlbalやMogileFSなどを少ない台数のサーバで抑えつつPlack等を有効活用して仕組みを組み立てていく話をしていただきます。今回のお話ではサービスイン後、スケールする必要が出てきた際のコツなどが聞けそうです。
ソーシャルアプリを構築する上でネックになってくるネットワーク処理の効率化のため、ひとつの解として使われることがある非同期I/O処理に関する話題も盛りだくさんです。「非同期タスクの通知処理 with Tatsumaki」と「Real-time PSGI web apps with Web::Hippie」では、それぞれPlack/PSGIを利用した非同期I/O HTTPサーバーの開発について語っていただけます。どちらも似たような問題を解決するフレームワークです。websocketやロングポールなど、最近重要度が増している通信方法について知りたい方は必見です。 Web::Hippieのセッションは、SVK等で著名なChia-link Kao (clkao)氏がプレゼンするため英語ですが、逆に言うと他にこの技術に関して詳しく聞ける機会はまだ多くありませので、この機会を逃さないでください!
是非懇親会も!
先述した通り、これらの技術は大規模な運用に携わって初めて対処する機会のある技術であるため、実際にそれに関わった人たちから直接話を聞ける機会は大変貴重です。また、ソーシャルアプリやそれに関連する技術は現在注目度が高く、その内容もさることながらそれを採用している会社や実際に運用・開発している方々とふれあえるYAPC::Asiaは他のカンファレンスとひと味違うカンファレンスであると確信しています。
そのようなイベントですので、トークだけではなく是非懇親会に来て直接発表者の皆様と話してみてください。エンジニアの皆様にとってきっと有意義な時間になるはずです。
懇親会は10月15日18:30頃より、東京工業大学内で行われる予定です。参加希望の方は、事前にこちらのフォームより参加申し込みをお願い致します。
YAPC::Asia Tokyo 2010の見所を紹介する本記事もいよいよ次回で終了です。次回は前回、今回のテーマの枠組に入りきらなかった様々なセッションを紹介する予定です。