YAPC::Asia Tokyo 2012 スペシャルレポート

27日から開催される、YAPC::Asiaの見どころを紹介(前編)

こんにちは。YAPC::Asiaに関わって5年目, 今年gihyo.jpのレポーターにデビューする中村です。

開催7回目にして来場者700名を突破する予定のPerlのお祭りYAPC::Asia Tokyo 2012が9月27日(木⁠⁠、28日(金), 29日(土)の3日間にわたり開催されます。場所は、今までの東京工業大学大岡山キャンパスから拠点を移動し, 東京大学伊藤国際学術研究センターです。

本稿では、YAPC::Asia Tokyo 2012の見どころ, そして今年積極的に試みられている様々なサブイベントなどを前後編に分けてご紹介します。

来場者見込み700名!今年のYAPCは新たなステージへ

昨年のYAPC::Asia Tokyo 2011のクロージングトークにおいて、YAPCを運営するJPAの牧さんが「来年のYAPC::Asiaの開催は今のところ未定」と言及していたように, 今年3月正式アナウンスがあるまで開催されるか否かは不透明でした。

昨年のYAPC::Asia(http://30d.jp/yapcasia/4/photo/88 (c) Japan Perl Association)
昨年のYAPC::Asia(http://30d.jp/yapcasia/4/photo/88 (c) Japan Perl Association)

しかしながら今年, それを打破するように「Take A Step Forward―さらなる進化」というテーマを掲げて開催する運びとなりました。

JPAの櫛井さんが今年のYAPCに対する思いを次のように表明しています。

今年はPerlという言語の次のステップ, ツールの進化, コミュニティの進化など, それが大きくても小さくても一歩を踏み出していくトークを是非聞かせて欲しいと考えています。それと同時に Perlエンジニアを採用したい企業と, 新たな自分の可能性を模索しているエンジニアとが話せる場所を提供したいなと思っています。 また, 前進していくためには常に若い力が必要不可欠ですので, 昨年から始めた学生の参加無料化も継続いたします。来たれ若人!君こそが新たなる希望だ!

YAPC::Asiaは日進月歩のPerl, そして開発言語だけではなく, それを取り巻く人にも是非参加していただきたいイベントです。エンジニアとして第一線で活躍しているスターのトークが聞け, そしてそのコミュニティと触れられるだけではなく, エンジニアと一緒に業務をしているあらゆる人のニーズを満たしてくれるイベントになることは間違いありません。是非お越しください。

残念ながら、チケットは既に売り切れとなっています。ただし, 個人間でのチケット譲渡は問題なしと公式にアナウンスされています。チケットが売り切れて行けない!とあきらめていた方は, Twitterで#yapcasiaのハッシュタグをつけて投稿してみてはいかがでしょうか。なお、今年は規定により当日会場周辺での物販が禁止されており, 当日券の販売は行われません。事前にチケットを入手して会場へお集まりください。

例年とはひと味違うゲストスピーカーがなんと5名も登壇

例年, YAPC::Asiaのゲストスピーカーは海外エンジニアを招聘していましたが, 今年はひと味違うスピーカーが登壇します。

日本からは、paperboy&co.テクニカルマネージャーの宮下剛輔(mizzy)氏。海外からは、初来日のDBI.pm作者Tim Bunce氏と, Strawberry Perl, Padreを生み出した鬼才Adam Kennedy氏。加えてPerlの生みの親, 我らのLarry Wall氏。そして4年ぶりの来日となる常識を打ち破るPerlモジュールを送り出し続けるIngy döt Net氏。総勢5名の豪華なメンバーがゲストスピーカーになっています。

宮下剛輔

宮下剛輔(mizzy)氏は、まず前夜祭である27日に「Sqale の裏側」という発表を行います。mizzy氏が所属するpaperboy&co.が提供するPaaSであるSqaleの裏側のアーキテクチャについて語っていただきます。Rubyしか対応していないSqaleですが、今後のPerl対応の可能性も含め期待が高まる内容です。また, このセッションでは対応言語は関係なく, サーバ構成, 利用しているミドルウェア, ミドルウェアをどのようにカスタマイズしているのかといった, Sqaleの裏側で利用されている技術全般についてのトークを予定しているとのことです。

mizzy氏は最終日29日のクロージングキーノートにも登壇します。タイトルは「How Perl Changed My Life⁠⁠。現在テクニカルマネージャーをつとめているmizzy氏ですが、PerlやPerl コミュニティとどのように関わってきたか、そして技術者としてどのような人生を歩んできたかについて話していただきます。この発表から伝わる熱量いっぱいのトークも楽しみです。

Larry Wall

Larry Wall氏は28日10:20から、初日のキーノートをつとめます。昨年はPerl 6についてのトークでしたが, 今年は「What Does Your Code Smell Like?」と題し, 25年のPerl歴で自身のコーディングがどのように変遷したかなどについて語っていただきます。

Ingy döt Net

Ingy döt Net氏は「Acmeism, Pegex and CoffeeScript on CPAN」というタイトルで, Perl 5とPerl 6, そしてそのコードをCPANと6PANにアップロードするために必要なAcmeismやPegex、CoffeeScriptについて語ります。既にCPANデビューしているPerl Mongerをはじめ, いつかはCPANデビューを!と野望を抱くすべてのエンジニアにオススメのトラックです。氏が2010年にトークした「Pegex - Perl 6 Rules for Everyone」「TestML - Write Once, Test Everywhere」を再度YAPC::Asia 2010公式サイトで振り返って臨むと、より一層2010年からの変化を感じることができるでしょう。

Ingy氏は28日16:20にも「Stackato - ActiveState's new host-your-own-PaaS」というタイトルで発表します。

Tim Bunce

Tim Bunce氏は28日15:30から,「Profiling memory usage of Perl applications」というタイトルで発表します。Perlアプリケーションに必要不可欠なメモリ領域はそのチューニングや設定に高度なテクニックが要求されます。なぜ高度なテクニックが要求され, そしてメモリ・プロファイリングが必要なのかを語ります。

Tim氏は29日15:50にも「Performance Profiling with Devel::NYTProf」というタイトルで発表します。

Adam Kennedy

Adam Kennedy氏は最終日29日11:20から、⁠Padre - The Perl IDE for Normal People」というタイトルで発表します。Perlアプリケーションに新機能を追加することができるプラグインであるPerl IDEについて語ります。なお, Adam氏はこのセッションのみの登壇ですので, 要チェックです。

会期中の詳しいトークリストおよびタイムテーブルは、公式サイトをご覧ください。なお, 時間は変更される可能性もあるため、YAPC::Asia公式Twitterアカウント@yapcasiaやハッシュタグ#yapcasiaは随時確認することをおすすめします。

2010年から芽吹いた地方ユーザーベースの確保とカジュアル層の開拓

JPAでは2010年から東京一極集中ではない地方ユーザーベースの獲得を積極的に行なっており, 地方pmへの支援やコミュニティ企業の橋渡しを行ってきました。昨年の2011年から北海道帯広に本社を構える株式会社スカイアークをスポンサーとする遠方からの参加者支援制度を企画しています。

さらに今年はHachioji.pmとタッグを組み, 会期中サブイベントとしてLTソン(LTThon)を開催します。こちらはHachioji.pmのメンバーが運営を務め, YAPC名物のライトニングトークだけをひたすら披露する、ストリートな内容です。

YAPC::Asiaは年々その規模が大きくなり, 700名規模のイベントとなりました。一般トーク枠の40分・20分をそのオーディエンスに向かって披露するのはとてもハードルが高い。ライトニングトークも毎年応募が殺到してしまう。スピーカーを固定化せず, 積極的に登壇してさらにYAPC::Asiaを楽しんでほしいという思いからLTソンの企画が生まれました。まだまだ参加者を募集していますので, まずはLTソンから気軽にチャレンジしてはいかがでしょうか?

見どころ紹介は続きます

紹介しきれないトークやサブイベントが目白押し。明日次回は、⁠ハードなPerl Monger」必見トークと「非Perl Mongerとビギナー向け」のトークをご紹介する予定です。

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