TechCrunch40 はWeb2.0分野の優秀なスタートアップ企業40社を紹介するカンファレンスで、最優秀企業には5万ドルの賞金が送られる。いわばWeb2.0版「アメリカン・アイドル」だ。同時にマリッサ・メイヤーGoogle上級副社長を始め、20人の著名なエキスパートによるパネルディスカッションも開かれる。
「TechCrunch40」公式サイト:
http://www.techcrunch40.com/
主催はWeb2.0業界の動向を専門にカバーする大手ブログ(フィード購読者60万) 、TechCrunchのファウンダー/ライターのマイケル・アリントン(Micheal Arrington)とジェイソン・カラカニス(Jason Calacanis) 。カラカニスはEngadgetなど有名ブログを擁するブログ広告ネットワークWeblogs, Inc(AOLが買収)のファウンダーで、現在はソーシャル検索エンジンMahaloのファウンダー、CEO。
共同主催者ジェイソン・カラカニス奮闘中
共同主催者マイケル・アリントン(前列右端)
会場はサンフランシスコを代表する名門シェラトン・パレス・ホテル。
なかなか重厚なパレスホテル玄関
チケットは2日通しで$2,495という高額なイベントなのにメインホールの後ろのほうは椅子だけの席がぎゅうぎゅう詰めだ。実は当初参加者を400人くらいと考えていたのが、予想を上回る申し込みが殺到して、苦肉の策でスペースを作り出したのだそうだ(最終発表では来場者900人という) 。ラップトップを文字通り膝に乗せて1日過ごすのはつらいだろう。
文字通りラップトップで奮闘
午前8時半だというのに隣接のデモ会場では100社のスタートアップが朝イチですでに製品の紹介を始めている。
朝イチですでに混雑しはじめているデモピット
最後の瞬間になってテーブルの下にもぐりこんで調整に奮闘しているグループも。
ぎりぎりまで調整に手間取っているブースも
実は、TechCrunch40といっても、現在選ばれているスタートアップは39社。最後の1社は、このデモ会場の企業から来場者の投票によって選ばれる。最多票を得たスタートアップは壇上で製品を紹介することができ、 他の39社と同様に、5万ドルの賞金獲得の資格も与えられる。気合も入ろうというものだ。
headr.comのPR担当はスキンヘッドに大目玉で大迫力
セッションの内容はTechCrunch日本版 に刻々アップロードされているので、ご覧いただきたい。こちらの速報では会場の雰囲気と滑川の感想をご報告したい。
全スタートアップのトップバッターはPowerset。たぶん39社のなかでいちばん事前に話題をまいた製品だろう。自然言語解析技術を利用した検索エンジンで「Google危うし!」のようなかなりセンセーショナルな取り上げられ方をしていた。
Googleのマリッサ・メイヤー上級副社長をエキスパート・パネルに迎えて、いわば直接対決となったわけだが、もちろんPowerset側からはそんな挑戦的な言葉はなかった。当面はバーチカル(特定分野)での利用を目指していくようだ。"What did politicians say about Iraq?" ( イラクについて政治家はなんと言っているか?)というような検索フレーズや、*something* cause cancer(何が癌の原因になるか)のような例に優位性をアピールしていた。
左から、Wired Magazineのクリス・アンダーソン、マリッサ・メイヤー、Mosaic開発者(元NetscapeのCTO)のマーク・アンドリーセン
たしかにデモではうまく動くが、100億ページ単位の全ウェブを自然言語解析するのは(仮にできたとしても)膨大なコストがかかる。マーク・アンドリーセンから「自然言語理解は30年前に明日のテクノロジーとして大いにもてはやされたが、結局ほとんどモノにならなかったわけだが?」と厳しい質問。結局コンピュータのパワーが全体として桁違いにあがったという要素以外に、プログラミング、アルゴリズムの面でどのような進展があったのかについては(もちろん具体的手法は企業秘密だろうが)はっきりしたイメージが得られるような回答はなかった。
Powerset側では「サードパーティーにライセンスしてサイトへの訪問者に高度な検索機能を提供する」という利用法の例をあげていた。これはかなり現実的かもしれない。
結局このセッションでエキスパート側の反応がよかったのは動画検索のCastTVだった。地味だが確実に役に立つということか。
CastTVの評判がいい
CastTVで検索した結果、今週世界のWebで登場が多かった順のランキング。突如辞任の安倍総理が3位にランクイン
休憩時間にデモピットへ急ぐ。聴衆には円形のポーカーチップのような「投票トークン」が2個が配られ、1日に1個ずついちばん気に入ったデモに投票する。一回りしたらもう次のセッションの時間だ。いくつか面白そうなデモを記憶にとどめてメイン会場に急いで戻る。
Stixyは素人でも使えるマルチメディアWikiで、文字でも写真でも動画でもドラッグ&ドロップでページに追加して共有できる。デモピットで目立っていたので滑川も一票を投じた
ランチタイムも大混雑
日本人取材陣。左から桧山直樹さん(asahi.com) 、市村佐登美さん(NBonline) 、秋元裕樹さん(Broadband Watch)
(続く)