Microsoftによる開発者・デザイナを対象としたカンファレンスREMIX07 TOKYOが、9月19日、東京国際フォーラムにて開催されました。MicrosoftのWeb・メディアテクノロジをテーマとしたカンファレンスMIX07の国内版となるREMIX、今年の主役はSilverlightでした。
今までにない大きな変化の時代
キーノートスピーチを行ったマイクロソフト社長Darren Huston氏は、マルチコアプロセッサ・ブロードバンドネットワーク・モバイル・限りないストレージなど、これからの時代に変化をもたらすテクノロジを挙げ、このデジタルの時代にMicrosoftがどのように対応して行くかを語りました。
次の世代のMicrosoftが目指す未来を「Software + Service」と定義し、それを担う新しいテクノロジとしてSilverlight、Expression Studio、Visual Studio 2008、Windows Server 2008とIIS7を紹介。さらに、米国で提供されていたGoogle Earthライクな立体地図表示が可能な地図・GISサービス「Virtual Earth」の日本向け提供を同日開始することを発表しました。
Macでの動作がSilverlightの強み
キーノートとそれに続くジェネラルセッションでは、直前に正式リリースされたSilverlight 1.0を採用する国内パートナー企業がデモを行い、すでに公開済みや開発中のサービスを披露しました。その中でも、正規映像配信サービスとしては国内最大手のGyaOを提供するUSENのジェネラルマネージャー松本武史氏が、GyaOの問い合わせ件数第1位がMac対応に関するものであり、Flashにない表現の自由度を実現し、高画質のメディア機能、DRM(デジタル著作権管理) 、そしてMacやクロスブラウザに対応している点がSilverlightの強みである点を強調していたのが印象的でした。
Flash対抗技術と目されることの多いSilverlight 1.0は、新しいUIマークアップ言語であるXAMLとJavaScriptにより実現されるWebブラウザ向けアプレットであり、Windows・Mac上でInternet Explorer・Firefox・Safariに対応。またMonoプロジェクトによるオープンソースSilverlight実装「Moonlight」に対し、オフィシャルにMicrosoftが協力することによって、Linux環境への対応も発表されています。
ExpressionシリーズはこのSilverlightやXAML開発のための新しいデザインスイートと考えるとよいでしょう。
Silverlightを使用したマッシュアップサービスPopflyによるTwitterとVirtual Earthの連携を実演
MicrosoftはNext Webを目指すのか?
当日の講演内容でも多く触れられていたように、Silverlight 1.0はまだまだ発展途上の技術であり、利用可能なパーツやオブジェクトが少なく、日本語フォントをまだ搭載していないなど未熟な点も見られます。しかし来年半ばにリリースが予定されている次のバージョン1.1では、アプレット上で.NET実行環境がクロスプラットフォームに実現され、C#やVB.NETによる開発がWindows以外のターゲットに対し可能となるだけでなく、JavaScriptに加えIronPythonやIronRubyなどのLL系言語を「混在」させて同時利用可能になるなど、昨今CSSやJavaScriptなどの互換性に苦しんでいるWeb系プログラマにとってはまさに異次元の世界が新しく生み出されつつあると言えるかもしれません。過去のしがらみにとらわれないマイクロソフトの次の一手に期待したいと思います。
Darren Huston社長によるキーノート