最終日!
2日日は組込みイベントの達人に「ET2007」の回り方を指南いただいた。最終日となる3日目は、各ブースをダイジェストでお届けする。最初は、入り口付近に配置し、多くの人で賑わっていたPLDベンダの「ザイリンクス」からだ。
達人曰く、FPGA[1] に携わっている人の数が多く、今現在、ASIC[2] を発注できる立場にある人なんて、大手に所属する一部の人だったりするそうだ。たしかに金額ベースでは、ASICもまだまだ大きい割合を占めるが、取り扱っている人の数を考えた場合にはFPGAは大きいと言える。
ザイリンクス( 株)
「ザイリンクス 」のブースの来場者は、具体的に「○○のようなことをしたい」ということの問い合わせやヒントを求める人が多い。特に先日発表したばかりの「MicroBlaze v7」でフルLinuxに対応できるデモには、多くの来場者が興味を持っていた。また、Platform Studio(XPS)では、そのグラフィックなどを見ると、ある意味、自分の好きなプロセッサを作る敷居が低くなっているのが実感できる。
Platform Studio統合開発環境 (IDE)
また、多くのパートナー企業の出展があり、Apical社ではiridix技術を利用したダイナミックレンジ補正のデモがあった。これは、24時間の監視カメラなどで応用できるそうだが、暗部からハイライト部分まで幅広く認識できる人間の網膜原理を応用して、ピクセル単位で別々のカーブを適用し輝度レベルだけを最適化するという。
Apical社のダイナミックレンジ補正デモ -Before(暗い部分は何も見えない)
-After(明るい部分はそのままに暗い部分も見えるようになる)
次回以降は車載システムや画像処理などのアプリケーションを充実させた展示を行うことで、より来場者の目的にフィットした見せ方をするという。
TOPPERSパビリオン
組込みシステム開発に有用な高品質のオープンソースソフトウェアと教育コンテンツを開発し、組込みシステム開発に新しいスタンダードを提案する「TOPPERSプロジェクト 」は、会員企業13社と共同でパビリオンを運営していた。
TOPPERSパビリオン
日本アルテラ( 株)
「日本アルテラ 」では、市場の変化に迅速に対応し、システムの性能と設計生産性を向上させるFPGAデバイスや開発ツールに加え、高速デザイン、ビデオ/画像処理といったプログラマブル・ソリューション群がパートナ各社と一体になって紹介されていた。
日本アルテラ
( 株) 東陽テクニカ
組込み機器用ハードウェア開発とソフトウェア開発を支援する計測器や解析ツールの販売や各種サービスを提供する「東陽テクニカ 」では、「 ソフトウェア開発における品質、生産性の向上」と「高速シリアル、インタフェース解析、評価ツール」をテーマに出展していた。
東陽テクニカ
( 株) ソフィアシステムズ
マイコン開発支援装置の総合システムメーカー「ソフィアシステムズ 」では、マーベル製PXA310プロセッサ624MHzを搭載した携帯情報端末/IP電話向け開発プラットフォーム「SandgateⅢ-P」を展示していた。SandgateⅢ-Pは、ハードウェアの完成を待つことなく、並行してソフトウェア開発が可能になり、開発期間全体の短縮化を実現するなど、さらにパワーアップした第2世代の開発プラットフォームと位置づけられる。
ソフィアシステムズ
サンウェイテクノロジー( 株)
「サンウェイテクノロジー 」では、米SUPERMICRO製品のほか、同社製品をベースとしたオリジナルのサーバソリューションなどを展示していた。
サンウェイテクノロジー
( 株) ジェピコ
LSI開発受託からシステムインテグレーション、テクニカルサポートまで幅広く提供する「ジェピコ 」では、Windows環境下でもリアルタイム処理を可能するWindows対応リアルタイムサブシステム「Hyperkernel」( 開発元はアークシステム社)を展示していた。
ジェピコ
アーム( 株)
「アーム 」では、最新のグラフィックIPソリューション「Mali200」とソフトウェアの性能とコード・カバレッジに影響を与えずに解析するツール「RealView Profiler」などがデモ展示されていた。また、同社ブース内では、多く企業がARM向けのツールや評価ボードなどを展示し、終日、多くの人が詰めかけた。
アーム
( 株) コンピューテックス
マイコンによる製品開発でのプログラムデバッグのための開発支援装置の開発から製造、販売を行う「コンピューテックス 」では、小型軽量化し、従来比で3倍に速くなったPALMiCEシリーズの新製品「PALMiCE3」を展示していた。SuperHとH8S、H8SXを相互オプションソフトで対応する汎用設計を実現したという。
コンピューテックス
日立グループ
日立グループでは、組み込みデータベース「Entier 」の機能紹介や説明のほか、同製品を活用したデモが展示されていた。「 楽曲検索デモ」ではネットオーディオ向け汎用ボード上などで、約200万曲のタイトルから目的の曲を100msオーダーで超高速に検索されていた。そのほか、「 地図パッケージへの採用事例」や「画像検索」のデモがあった。多くの人が興味とともに、驚きながら見つめていたのが印象的だ。
日立グループ
NexWave( 株)
ソフトウェアのコンポーネント化技術とそのソリューションを提供する「NexWave 」は、GUIフレームワークの開発ツールやプロダクトラインの実装技術として注目されるコンポーネント化への開発ツールを展示していた。
NexWave
スパークスシステムズ ジャパン( 株)
組込み製品の高機能化が進む中、UMLやSysMLなどを利用した詳細で厳密なシステム設計の重要性が高まっている。これらを支援するツールを販売する「スパークスシステムズ ジャパン 」では、UMLモデリングツール「Enterprise Architect」や要求管理ツール「RaQuest」 、ソフトウェア資産の再利用支援ツール「ARCSeeker」が展示されていた。
スパークスシステムズ ジャパン
日本テレロジック( 株)
モデル駆動型組込み開発環境「Telelogic Rhapsody」を提供する「日本テレロジック 」は、同製品を中心に各種ソリューションなどを展示していた。また、新製品として「Telelogic Rhapsody for Automotive」も紹介されていた。車載システムの複雑性に対応し、AUTOSARやMISRA-C、OSEC、CAN、MOST、LIN、FlexRayなどに対応しているという。
日本テレロジック
( 株) アックス
技術雑誌の広告などでも見かける赤い携帯電話をブース正面に置いた「アックス 」では、組込みLinuxの「axLinux」や組込みVSD、組込みGUI「式神」などの展示のほか、ブース内セミナーで多くの人が詰めかけていた。
アックス
( 株) グレープシステム
組込み用リアルタイムOSの販売やポーティングのほか、ミドルウェアの開発を行う「グレープシステム 」では、USBソリューションなどが展示されていた。オーディオ機器向けのUSB/Fileソリューションとして、同時多国語ファイル名対応機能や高速ファイルアクセスを可能にする「GR-FILE」オプションが強化されたという。
グレープシステム
( 株) アフレル
自律型ロボットを利用した教育サービス事業を行う「アフレル 」では、分析・設計→UML実装→C、C++、Java、ROBOLABと受講者が全行程を疑似体験できる「組込みシステム開発体験コース」などが展示されていた。同社以外にも今回から新設された「技術者育成・教育支援パビリオン」付近では、各企業の教育担当者が熱心に聞いて回っていた。
アフレル
富士設備工業( 株)
ソフトウェアの再利用を体系的に行うための専用モデル環境構築ツール「MedaEdit+」を展示する「富士設備工業 」では、このほか昨今のソフトウェア開発で抱える問題を解消するためのテスト効率を改善するツール「LDRA」 、形式手法など用いて解析しモデル上の欠陥を検出する「T-VEC」なども展示されていた。
富士設備工業
まとめ
今回のET2007は、来場者数が1日目「6,890人」 、2日目「8,557人」 、最終日「11,196人」 、合計「26,643人」と多くの来場者で賑わった。
3日間の取材を通して、来場者の大きな目的である、新たな商材を見つけたり、課題を抱える開発現場への対処するヒントを探すということは、十分すぎるくらいに濃縮された場であったと思う。さらに、組込みという業界での“ 人と人とを繋げるお祭り” ということを再認識した。
なお、来年(ET2008)は、2008年11月19日(水) ~21日(金)にパシフィコ横浜で予定されている。では、会場でお会いしましょう!