1月30、31日の両日、東京、目黒雅叙園で開催された「ソフトウェアテストシンポジウム 2008 東京」(JaSST '08 Tokyo/主催:NPO法人ASTER)。2日目の31日も朝から多くの参加者が来場し、チュートリアルやセッションに聞き入っていた。
JaSSTはテスト技術者が日ごろの研究を発表する場であるとともに、テスト技術者のお祭り的な側面も持っている。初日の夜開かれる「情報交換会」(という名のパーティ)をはじめ、日中のプログラムの中にも、お祭りらしく少しお遊び的な要素が加わったセッションが見られる。そんなセッションの1つが「テスティングライブ」だ。あらかじめバグを仕込んだソフトウェアを用意し、チーム対抗でその場でソフトウェアをテストしてバグの発見数を競うというもの。準備の大変さが忍ばれるが、毎年行われている人気セッションである。今年は、(株)豆蔵の有志が社内でRubyの研究用に作ったというショッピングサイト「Ferret」にバグを仕込み、バグの発見が競われた。
また、「自動化マン」と題されたセッションでは、テスト分野で長年のテーマとなっている自動化について、フリーソフトや、オープンソース、さらに自前のスクリプトなどを使ったカスタマイズを実践している方々から報告が行われた。自動化ノウハウについては市販のツールのほうが一日の長があるが、コストと案件の内容によっては、フリーソフトなどを利用したアプローチのほうが手間がかからず効果が高い場合があるという。比較検討の難しいこの種の情報をまとめて仕入れる機会としても、JaSSTは有効だ。
午後には基調講演と同じく会場を1つにまとめ、プロジェクト管理や品質など多岐に渡る活動や著作で知られる系統技術研究所代表の菅野文友氏による招待講演が行われた。「軟件製品の品質保証を巡る人間特性の諸問題」と題された菅野氏の話は、人間の性質や人間関係がソフトウェアの品質にどのように影響するかというテーマについて、ことわざや四字熟語を多用した独特のレトリックで進められた。聞きようによっては過激なユーモアも交え、普通のテクノロジカンファレンスではまずお目にかかれないタイプの講演であった。
招待講演の司会を務めた電気通信大学の西康晴氏によると、基調講演のCapers Jones氏のデータに基づくソフトウェア品質分析と、菅野氏の人間に起因する品質分析論は対をなすもので、この両面からのアプローチを参加者に提示するのが今回のJaSSTのテーマだったとのこと。参加できた技術者は、通常のITカンファレンスとは違った、ある意味非常に価値のある体験ができたのではないだろうか。
- JaSST ソフトウェアテストシンポジウム
- URL:http://www.jasst.jp/