Jobs不在が際だつ基調講演
今年で最後となるMacworldに今回初めて参加してきました。サンフランシスコは例年よりも寒いらしく、夜には零度近くまで冷え込んでいます。開催前日(1月4日)の夜7時ごろに事前に入場パスを受け取りに行くと、さっそく一人の少年が会場前に並んでいてビデオチャットをしていました。
翌朝、9時から行われる基調講演前の行列を見てみようと8時過ぎに行ってみると、すでに会場前はガラガラで参加者は全員会場に入った後でした。Appleの参加が最後となるMacworldということもあってかなり盛り上がっているかと思いましたが、Steve Jobs不参加の影響か、それほど人が集まらなかったようです。
基調講演に参加するためのチケット料金が、通常料金の49ドルに対して299ドルとかなり価格に差があったということも大きいかもしれません。昨年はモニタで講演の様子を中継する第二会場が用意されたということですが、今年はそのようなこともなく、開始直前に入場してもスムーズに座れたようです。Steve Jobsの人気を違った意味で知ることになりました。
私が持っていたのは一番ランクの低い無料招待チケットだったため、この基調講演には参加できず、近くのホテルからWeb経由でイベントの情報をリアルタイムで確認するのにとどまりました。
基調講演の内容は、他ニュースサイトでも報じられているとおり、17インチのMacBook ProやiPhotoなどの大幅な機能改善といったものにとどまり、周りでもそれほど盛り上がっていません。Macworld会場から5分ほどの距離にあるサンフランシスコのAppleStoreで新製品をすぐに買って帰ろうと考えていた海外からの参加者にとっても、期待はずれな結果となったようです。
盛況のExpo会場
会場に入ってみると、結構熱気があります。例年と比べるとどうなのかがわかりませんが、大企業による出展はそれほどなく、比較的小規模の企業による出展者が多く見受けられました。会場の中央には、巨大なAppleのブースがそびえたっており、新しくなったiLifeや注目のiPhoneアプリを紹介するセッションが行われていました。
このセッションで紹介されていたのが、ゲームアプリの「IronMan」 、「 Hero of Sparta」,「WordFu」の他、「 ABC Animals」 、「 Fandango」 、「 Mint.com」 、「 Snocator」 、「 Nike Training Club」などです。
「ABC animals」 は子供向けの教育アプリで、アルファベットの文字と、その文字で始まる動物などのイラストが表示され、その単語が発音されます。画面をタップすると、手書きでアルファベットの各文字の書き方を練習することができ、価格は1.99ドル。
「Fandango」 は近日リリース予定の映画上映情報を簡単に調べることができるアプリ。近くで上映されている映画を調べたり、映画の情報をチェックし予告編を視聴することもできます。
「Mint.com」 は複数の銀行口座の残高情報などを取得し、現在の所持金学の合計金額を表示したり、その月の項目別予算の利用状況などを入力して今の自分の財政状況をひとめで把握することができるという無料アプリ。
「Snocator」 はスキー場の積雪情報などを調べることができるほか、ゲレンデマップを表示して、GPSでゲレンデ上のどこにいるかを確認することができる情報系のアプリ。現在は期間限定にて1.99ドルで販売されています。
「Nike Training Club」 は女性をターゲットとしたアプリで、1日にどのようなトレーニングが必要か表示され、各トレーニングの仕方をムービーで確認することができます。トレーニングしたものはチェックボックスで完了させていくことで、トレーニングの進捗がわかるようになっており、友人などと進捗が競いあえるようになっているのが特徴。こちらのアプリは近日公開予定とのこと。
iPhoneアプリへの注目は会場でも非常に高く、アプリ紹介のセッションは常に満席となっていました。
小規模ブースの中にはiPhoneアプリ開発の会社も10数社ほど見受けられました。日本から唯一参加していたのがユビキタスエンターテイメント。ここではZeptoPad、ZeptoLinerといった同社の製品を紹介する合間に、日本発のiPhoneアプリを海外に向けてグループでPRしようとやってきた日本人開発者らが、翌日に行われるプレス向けイベントのリハーサルを兼ねて、会場に来ていた人に対して交互にプレゼンを行っていました。つたない英語でも意外に多くの人が立ち止まって話を聞いており、逆にイベント参加者からプレゼンの仕方についてアドバイスを受けるといった一幕も。
Macworldの今後については、Appleが参加しなくなった後も継続して開催していく意向を主催者のIDGは出しています。Macworld公式サイト にアクセスすると、トップページにオーバーラップして2010年開催の告知が表示されます。会場では参加者によるMacworldへのSteve Jobsの復活を望むビラが配られていました。果たしてこれが最後のMacworldとなるのか。少し盛り上がりに欠けつつも、参加者は精いっぱいイベントを楽しもうとしているようでした。