Google Waveはチャットのようなリアルタイム性を持ちつつも、ツリー型BBSのように遅れてやりとりに参加した人ともコンテキストを共有することができ、メールのようにまとまった文章をやり取りしつつ、Wikiのように同一文書を複数人で編集し、その変更履歴をたどることもできます。たしかに一つ一つの機能が飛びぬけて新しいわけではありませんが、既存のサービスの長短をよく把握してそれらの機能を破綻なく一つのサービスにまとめるのは並大抵のことではありません。Googleサービスの統合と進化を同時に見せてくれたGoogle Wave。今後も大いに注目すべきサービスです。
Android
順番が前後しますが一日目のキーノートの一番の目玉はこのAndroidでした。キーノートの最後にAndroid Developer Challenge 2の開催と、AndroidのDeveloper Phoneと30日間の無料データ通信つきSimカードの参加者全員へのプレゼントがThree More Thingsとして発表された瞬間、事実を反芻するため少し静まり、そして割れるような拍手。本当にサプライズでした。配布は午後からでしたが、それ以降は開催期間中を通じてAndroidを真剣に触っている参加者がそこかしこに見られました。
これまでプライベートβとしてアカウント数に制限のあったApp Engine for Javaがついに一般公開されました。これまで日本国内ではマイナーなPythonしか使えなかったせいでApp Engineの利用をためらっていた方はこれを機会にぜひ試していただきたいと思います。
以降、少し偏った話になりますが、多くの人が指摘しているようにApp Engine for Javaという名称には少し問題があります。実際はJavaに限らずともJVM上で動く言語であれば全て実行可能ですので、App Engine for Javaではなく、App Engine for JVMと呼ぶのがより正確です。この「App Engine上でJava以外の言語を動かす」というのは本当にホットな話題で、今回のGoogle I/OではApp Engineに関係するセッション12枠のうちの2つのセッションでJRubyを初めとするJVM上で動作する言語をApp Engineで使用することがテーマとなっていました。
またエンタープライズ枠でApp Engine for Javaについて講演したThoughtWorksのマーチンファウラー氏もApp Engine上でJRubyを動かすことに興味があると話をしており、このJVM上で他言語を動かすという課題はプログラマの技術的興味だけではなく、エンタープライズの立場からも検討に値するものであることがわかります。