11月22日、オライリー・ジャパンから刊行されている雑誌『Make(日本語版)』の世界観を実際に体験できるイベント「Make: Tokyo Meeting(MTM)04」が、東京工業大学大岡山キャンパスにて開幕した。ここでは、その模様を写真とともにお届けする。
大切なのは楽しむ心―技術力と表現力の融合
MTMは今回で4回目となるイベントで、フラッグシップ雑誌となっているMakeが持つ、DIY、電子工作、サイエンス、アート、クリエイティブなどのコンセプトを、実際に表現し発表することを目的に開催されている。
2008年4月に第1回目が開催され、当日の展示での交流はもちろん、その場から新しいつながりが生まれ、ものづくりの原点となる技術力と表現力を醸成するイベントとして注目を集めている。
体験型作品が多数出展、触って楽しむ展示会場
第4回目となったMTM04。その中からいくつかの展示を紹介する。
DNPAC Project Stage1:写心機ProtoType
大日本印刷とワンパクのコラボレーションユニットDNPA(ドンパク)のプロジェクト第一弾のプロトとタイプとして写心機が展示された。これは、iPhoneを入力デバイスとし、そのデータを特殊スクリーンで読み込むというインスタレーション。手書きした文字が認識され、それがスクリーン上の日本地図に投影されるという体験を楽しめる。
Craftive ── インタラクティブなクラフト
ワンパクからはもう1つ出展が行われていた。こちらは、AXIS designとの共同プロジェクトで、インタラクティブをテーマにしたクラフトを展示。まずはアイデアありきで動き出した実験的な内容となっているが、技術的な仕組みにも凝っており、これからのさらなる展開が楽しみだ。
ニコ生放送スタジオへようこそ
西9号館会場には、ニコニコ生放送のメンバーによる「ニコ生放送スタジオ」が設置されていた。ここでは、ニコニコ生放送の技術を駆使して、実際にさまざまな生放送が行われていた。
新世界『透明標本』
会場内の展示の中でも、異彩を放っていたのがこの新世界『透明標本』。誰もが一度は目にしたことがあるであろう標本を題材に、新しい表現として「透明な標本」として作成している。会場では標本や標本を撮影した写真を使ったカレンダーなどの販売も行われており、たくさんの来場者が集まっていた。
オンライン珈琲メーカー「萌香たん」
日本最大のSNS「mixi」からも作品が展示されていた。現在mixiのエンジニアとして活躍している井上恭輔氏が開発したオンライン珈琲メーカー「萌香たん」である。今回は通電未踏組の一員として参加している。萌香たんについてはmixi Enginner's Blogを参照。
チームラボMake部
今回、Web系企業やネットサービス系企業からの出展が多数あった。そのうちの1つがチームラボMake部による展示。同社独自の視点でさまざまな作品が出展されていた。
アイデア勝負のネタ系から流行りのものまで
その他、アイデア勝負のネタ系の出展や「ものづくり」の王道を行くロボット、最近主流となっているフィジカルコンピューティングArduinoなど、この時代だからこそ実現できた多彩なアイデアの博覧会とも言える場となっていたのが印象的。
音とクリエイティブの世界
西9号館にあるデジタル多目的ホールでは、「音」と「クリエイティブ」をテーマに、「サウンドイベント」が開催され、ものづくりライブが行われていた。
興味のある人はぜひ参加を
会場には、工学系の人間や工作好きの人間だけではなく、小さなお子さんと一緒の家族連れなど、幅広い世代の来場者が集まっていた。まさに「ものづくり」が持っている楽しさ、魅力によるものだろう。
ここ数年、SNSやブログなどのWebの浸透や、携帯電話端末やiPhoneなどユーザに身近なデバイスが登場したことにより、インターネットとユーザの距離感が縮まってきている。さらに、その裏側を支えるインフラやハードウェアが進歩することで、開発者やクリエイターたちの表現の幅がどんどん広がってきている。その動きは今回のMTM04の展示からも見ることができ、原点は工作ではあるものの、その先にあるインスタレーションやデジタルサイネージといったクリエイティブの“今”のトレンドにまでつながっている作品が多数見られた。
イベントは、明日23日まで開催される。興味のある人はぜひ参加してみてはどうだろうか。また、今回参加できなかった方も、次回はぜひ足を運び「ものづくり」の楽しさを体感してほしい。
- Make: Tokyo Meeting 04
http://www.oreilly.co.jp/mtm/04/