5月29日(土)に、「第5回 CakePHP勉強会@Tokyo」が開催されました。筆者は、司会進行と、セッションでの発表を行いました。本稿では、本勉強会のレポートをお届けします。
今回のCakePHP勉強会@Tokyoの概要
CakePHP勉強会@Tokyoは、年に1回のペースで開催されており、年々参加者数が増えている勉強会です。今回は、トライコーン株式会社様に会場を提供していただきました。
最近はUstreamを使ってCakePHP勉強会を何度か配信しており、今年もUstreamでのライブ配信が行われました。今回は有志によって札幌、名古屋、福岡の3サテライト会場が設置され、各地でUstreamを一緒に見ながら親睦を深めるという面白い試みも行いました。メイン会場からSkypeを用いたビデオチャットにて、各サテライトとの交流も行い、その様子もUstreamで配信しました。
そしてSkypeの画面共有機能を利用し、ニューヨークから安藤さんの発表、福岡サテライトから小山さんの発表が行われ、発表者も距離を越えて参加するという、新しい形を作ることができました。
参加者数はメイン会場60人、3サテライト計28人、Ustream視聴50人程度でした。メイン会場には大阪や京都、名古屋、新潟など、遠方からの参加者もおり、全国規模の勉強会になりました。
メインセッション:
それでは、各セッションの内容を簡単に紹介します。
安藤さん「特報目玉イベント2010」
ニューヨークからSkypeを使っての安藤さん(@yando)の発表です。ニューヨークとの距離を感じないセッションでした。
去年10月に開催したイベント「CakePHP Matsuri」の報告と、今年開催予定のイベント「PHP Matsuri」の告知がメインでした。
「PHP Matsuri」は2010年10月2日・3日の2日間にわたり開催予定で、特徴はオールナイト開発、各種コンテスト、海外の開発者の講演です。
24時間ぶっ続けで皆でワイワイ開発して楽しもうという趣旨で、誰でも気軽に参加して開発者同士の輪を広げられそうな熱いイベントになりそうです。勉強会の参加者からも面白そう、是非参加したいという意見が出ていました。
興味がある方は @phpmatsuriをフォローしてみてください。スポンサーや運営スタッフも募集中です。
市川「CakePHP1.3 stable」
筆者(@cakephper)の発表です。最近リリースされたばかりのCakePHP1.3 stableについて発表しました。
新しく追加された機能や、Ver1.2からの移行に関しての注意点などを紹介しました。ルーティングに追加された新機能や、バリデーションのローカライズのあたりは興味を持ってもらえたようです。
最後に“CakePHP1.3を使っている方はどれぐらいいるか?”というアンケートをとったところ、メイン会場60人中15人ぐらいでした。リリースされたばかりにも関わらず、利用者が多いなという印象でした。
滝下さん「Ktai Library on CakePHP1.3」
Ktai Libraryの作者である滝下さん(@ecworks_masap)の発表です。Ktai LibraryはCakePHPに限らずPHPのライブラリとして動作し、面倒な携帯機能もこのライブラリを使うと簡単に実装できるためオススメです。
Ktai Libraryバージョン0.3を公開し、バグ報告を受け付けるサイトを用意したり、開発セットをまるごと一式配るなど、最近活発に活動している様子が発表から伝わってきました。
発表では、CakePHP1.3でも問題なくKtai Libraryを利用できること、Ktai Libraryバージョン0.3の特徴紹介があり、その他にもKtai Libraryの凝った使い方など、作者ならではのアイディアを披露し会場を沸かせていました。
Ktai Libraryは非常に便利で人気があるため、勉強会参加者の中にも、たくさんの利用者がいたのが印象的でした。
清水さん「コアライブラリのエレガントなハック」
Cake CookBookの翻訳や、便利なライブラリの公開、CakePHP本家へのパッチの提供など、多方面に活躍しているヒロミさん(@hiromi2424)の発表です。ヒロミさんには、いつか勉強会で発表していただきたいなと思っていたので、今回の発表は非常に楽しみでした。
発表内容は難易度が高く、追いかけるのが大変でしたが、CakePHPコアライブラリを追いかけたことがある人や、コンポーネントなどの呼び出し順序や初期化タイミングで苦労したことがある方は、ウンウンとうなずいて楽しそうに発表を眺めていたのが印象的でした。
谷井さん「twitterとcloud serverとcakeで新規サービス」
ツイート君の開発者である谷井さん(@takamunetanii)の発表です。
ツイート君を開発するにあたっての苦労話や、使っているRackSpaceというサーバの話など、サービスを構築して運用していくために通る道を、ストーリを持って話してくださり、非常に面白い発表となりました。
サービスを作るために参加した仲間への謝辞や、Twitterアプリへの熱い想いなども語っていて、ツイート君への愛を感じました。今後は起業してサービスに集中するそうなので楽しみです。
LTセッション:
メインセッションの他に、一人10分質疑応答無しの、LTセッションを行いました。
原さん「WordPressとCakePHP連携」
WordPressとCakePHPを連携させるという、原さん(@kara_d)の発表です。
CakePHPからWordPressのDBを操作するのはよく見るのですが、WordPressの方からCakePHPを呼び出すというのは、今までに見たことがありませんでした。
グローバル関数のバッティングなどもあり、ある程度の制約はあるが実現可能だとのこと。すごく便利だと思いますので、興味のある方はぜひ資料を確認してみてください。
nano_eightさん「CakePHPでjQueryを使ってみた」
大阪から発表者として参加してくださったnano_eightさん(@nano_eight)の発表です。Twitter経由で就職されたそうで、なかなか興味深い経歴の持ち主です。
CakePHPでjQueryを使うという内容で、CakePHP1.3の新機能であるJsHelperの話や、datepicker、jGrowl、qTip、FlexigridをCakePHPで簡単に扱うようにするためにヘルパー化した話など、すぐに実践で使えそうな話をされていました。
エバートンさん「Cakephp tips for my next projec」
名古屋から来ていただいたエバートンさん(@evert0n)の発表です。エバートンさんは母国語がポルトガル語で、普段は日本語を話さないため、英語での発表をお願いしました。
プロジェクトでCakePHPを使っていて気をつけていたことや、便利なライブラリの紹介、よく見ているCakePHP関係の英語ブログの紹介など、日本ではあまり聞かないような情報もあり面白かったです。勉強会の参加者にも英語セッションの雰囲気を味わっていただけなのではないかと思います。懇親会でも何名かは英語で彼と話しているのをみて、世界と日本の垣根はどんどんなくなってきているなと感じました。
leebennyさん「あのCMS eZ publishをCakePHPのModelにしちゃう」
中国から来ているleebennyさん(@leebenny)の、流暢な日本語での発表でした。
CMSであるeZ publishとCakePHPアプリケーションの、設計の違いを分かりやすく説明されていて、初めてeZ publishを聞いた人でもすぐに理解できる素晴らしい発表でした。内容は、eZ publishが用意しているAPIを、CakePHPからアクセスして操作するというものでした。CakePHP用のDatasourceを作ってAPIを操作するようにしたため、普段のCakePHPで用いているModel::find()やModel::save()をそのまま利用できるのも特徴的でした。
小山さん「実"戦"CakePHP Plugin」
福岡サテライトからSkypeを使って遠隔でプレゼンした小山さん(@k1LoW)の発表です。
数々のプラグインを開発、利用した話をたくさん盛り込んでいて、彼のことをプラグインマスターと呼びたいほどでした :)
Fusic社の社内で開発した便利なプラグインの話では、誰もが面倒だなと思うポイントを解決する内容もあり、公開が待ち遠しい発表でした。
市川「Web Application Firewallの話、CakePHP IRC集会の告知」
LT枠が一つ空いていたので、再度発表をさせていただきました。
CakePHPとはあまり関係のないSaaS型のWeb Application FirewallであるScutumの話と、筆者が定期的に開催しているCakePHP IRC集会の告知をしました。
Scutumは手軽にWebアプリケーションのセキュリティを高めることができる素晴らしいサービスのため、ぜひ紹介したいと思っていました。筆者が関わったCakePHPのアプリケーションにもいくつか導入しています。
CakePHP IRC集会は、距離を越えて特定日時にIRCチャットをして交流しようという趣旨で、1年前から今まで6回開催しました。Webブラウザを利用しても参加できるので、興味があれば、ぜひご参加ください。
最後に
各発表とは別に、私が行ったオープニングトークや、ノベリティを配る前に行った@kaz_29さんのプレゼンの動画もありますので、興味がある方はぜひご覧ください。
今回のノベリティはCakePHP マシュマロで、参加者全員に配りました。非常にうけがよく、食べるのがもったいないという声もありました :)
イベント終了後、メイン会場では懇親会を行いました(40人程度参加)。その後、2次会や、人によっては朝まで飲んでいたり、次の日の日比谷オクトーバフェストにビールを飲みに行ったりと、イベントをきっかけに参加者同士の交流が深まったことが本当に嬉しかったです。
このように、CakePHPのイベントは去年から「交流」に力を入れて活動しています。勉強会を一つのきっかけとして、人と人との繋がりを強くし、CakePHPコミュニティの発展に寄与できれば、こんな嬉しいことはありません。
今後もPHP Matsuriのような大きなイベントが控えていますので、もっと交流したい方は参加していただけると幸いです。