「2004年頃を境として、デスクトップアプリの分野では目立ったアプリケーションは登場しておらず、それに変わってSaaS, クラウドという言葉に代表されるWebアプリケーションが目覚ましいスピードで進展しています。更なるWebアプリケーションの進化に必要なプラットフォームとしてhtml5は登場し、 Googleは今後も積極的に貢献してゆく」といったイントロから、注目すべきトピックとして、フリーのビデオコーデックであるWebMや、Webアプリのマーケットプレースとして提供を予定しているChrome Web Store、また、ブラウザでの音声認識/合成について仔細を報告いただきました。
よく取りざたされるFlash vs. canvasの話にしても、AdobeはDreamweaverやIllustratorなどの開発ツールが事業の柱であり、実際これらの製品では、すでにHTML5への対応を進めています。このように考えると、AdobeはHTML5にコミットする主要企業であり、キャッチーな話題だけで見ることはできないといった話が特に印象的でした。
羽田野さんより、W3Cで検討が始まったばかりのAudio Data APIについて講演をいただきました。従来のHTML5のaudioでは、再生・停止などの 音楽の操作はできるものの、音楽データを取得して解析することや音楽データを生成することはできない仕様となっていました。したがって、よく見られるような 音楽再生にあわせて画像が変化するようエフェクトを用いたWebサービスを作ることは至難の業でした。
しかし、最近Mozillaが音声データの取得・解析や生成を可能にするAudio Data APIを提案し、実験的に実装を進めていることから、 それらの説明とデモを紹介いただきました。音楽再生時に、そのデータよりFFT(高速フーリエ変換)を行い、スペクトラム変化のエフェクトを表示するデモや、マウスのクリックに対応して音声データを生成し、さまざまな音色を奏でるデモを紹介されました。ユーザーのアクションに 同期して音が流れるのは、やはり気持ちのいいものです。
Audio Data APIは、まだ検討が始まったばかりであり、最近もAPIが変わり、従来のコードが動かなくなったなど、まだまだ未知数の部分も多い状況とのことでしたが、とても興味深いAPIであり、アプリケーション開発の幅を広げてくれるものだと感じました。