2010年7月16日、株式会社Speeeオフィスにて「第5回 gihyo.jp FreeBSD勉強会」が開催されました。この勉強会はFreeBSDコミッタである佐藤広生氏、後藤大地氏両名の立案がきっかけで開催されています。『Software Design』や『FreeBSD Daily Topics』を発行する技術評論社、会場提供元となる株式会社Speee、ハンドリングを行うオングスおよびFreeBSD実行委員会のご協力いただいております。
今回も盛況に行われ、Ustreamのライブ映像を見ている方も100名以上の視聴がありました。また、今回の発表者は実行委員ではなく一般参加の方が発表しており、今後のFreeBSD勉強会に有意義なものとなりました。
第5回 FreeBSDにおけるZFSのあれこれ─FFS/ZFSのベンチマーク
第5回は、河部展氏から「FreeBSDにおけるZFSのあれこれ─FFS/ZFSのベンチマーク」のもとFFSとZFSの概要を説明し、ベンチマークソフトウェアを使いそれぞれの比較を行った結果が発表されました。また、河部氏のFreeBSDを利用するきっかけになった事柄も紹介され、それがソースコードにあり、新人教育や自らの勉強、コーティングの基礎、ネットワーク実装のすばらしさといった点を挙げていました。
まず、河部氏はUFS2のパーティションニングに悩む点、音楽や画像といった大容量になるデータを扱いたい点、データ保全にミラーリングを行える点などを挙げ、ZFSに惹かれた理由を述べていました。今回の実験ではi386版の8.0-RELEASEで2つのSATAのHDDを使ったと説明があり、ベンチマークソフトウェアとしてIOzone、Postmarkの2つを使って比較した結果を発表しました。
河部氏の意見としてベンチマークによる結果をふまえて、UFSではブロックサイズに関係なくどれも同じような結果になり、ZFSではブロックサイズごとに結果がかなり異なることが紹介されました。傾向としてブロックサイズが小さくなるとFFSが優勢で、ブロックサイズが128KB~512KBの間ではZFSに軍配があがるのではないかと言及されていました。
ZFSのチューニング方法も説明され、チューニングした状態でZFSを試して結果、システムが落ちたことやカーネルの割り当てを増やした結果、性能が向上したことなどが紹介されました。途中、閑話休題として8.0-RELEASEでSATAの活線挿抜を試してパニックせず抜き差しできたことを発表し、会場を沸かせました。
当日の発表資料は以下リンクからダウンロードできます。
- 河部展氏の発表資料
- FreeBSD_05.zip
佐藤氏によるZFSの補足及び日本のFreeBSDコミュニティについての提案
河部氏による発表の後、実行委員の一人である佐藤氏によるZFSの補足事項や質疑応答が行われました。たとえば、佐藤氏の説明では、河部氏が使用したベンチマークも悪くないがraidtestが良いのではないかと説明がありました。スレッド数の影響やFreeBSDのバージョン、amd64版によって結果は異なるはずであるという指摘もありました。
また、ZFSは仮想メモリをくうため4Gのメモリ空間しかないi386版ではあまりいい性能がでない点やi386版でZFSのを使う場合はvm.kvm_sizeとvm.km_freeのバランスが重要であり、この数値のもとarcの値を決めるべきであると説明がありました。
佐藤氏による発表の中で佐藤氏が開発したZFSが使っているメモリの簡易チェックを行うスクリプトが公開され、即興ということでi386版ながら実演がありました。
このスクリプトを実行することで簡単にカーネルメモリやZFS関連メモリの情報を取得できます。このスクリプトは前から公開されているそうで、http://people.allbsd.org/~hrs/FreeBSD/zmemcheck.shから取得できます。ZFSを使っている方や興味のある方はダウンロードして使ってみてください。
最後に佐藤氏から国内のFreeBSDコミュミティが減少傾向にあることを改善したいという発表がありました。具体的にFreeBSDコミュニティを改善し、FreeBSDのプロモーションも行っていきたいという説明もありました。FreeBSDが仕事で使えるOSであることをアピールしたいが現状どのような場面でFreeBSDが使われているかわからない点、FreeBSDで何がしたいか困っているユーザーに対して佐藤氏が窓口となりFoundationに掛け合うといった提案が参加者に投げかけられました。
次回のgihyo.jp FreeBSD勉強会 定期開催日について
第3金曜日を開催日としてきましたが、次回のFreeBSD勉強会については第4金曜日となる8月27日を開催日とする運びとなったことをここでお知らせいたします。FreeBSD勉強会では日本国内のFreeBSDのコミュミティレベルでの議論する場としても利用していきますので、今後のFreeBSD勉強会もふるってご参加してください。