2月4日(金)、オブジェクト指向スクリプト言語Rubyについてのカンファレンス「東京Ruby会議05」を開催しました。本稿では、本イベントのレポートをお届けします。
カンファレンスのテーマ
東京Ruby会議05は地域Ruby会議のひとつで、東京地域では5番目、全国では20番目となります。このカンファレンスの開催にあたっては、「もっと会議を、もっと対話を、もっと挑戦を」をテーマとして、これからもっとRubyをたのしむようになること、参加者同士の話し合いを軸にアクティブにイベントや集まりに参加できるようなきっかけになることを主眼に置きました。
会場
会場として、渋谷・神泉にある株式会社ECナビの社内バー「AJITO」を提供していただきました。海賊船をモチーフとした造りとなっており、テレビや雑誌の撮影・収録もよく行われている、ユニークな施設です。
こういった場所であれば初めて会った人同士でも話しをしやすいかと思い、会場として使わせていただきました。金曜夜の渋谷に集まって、いい雰囲気のバーで軽食とお酒やソフトドリンクを片手に語り合うという、いつもとは趣が違うカンファレンスを開催できたのではないかと思います。
名札
Ruby会議に参加したことがなくても、勉強会やイベントなどでRuby会議の名札を目にしたことはあるという人は多いかと思います。東京Ruby会議05でもRuby会議らしい大きい名札を配布し、太いペンで名前を記入していただきました。
プログラム
プログラムは、トークセッションと、興味あるテーマごとに参加者が集まってお互いの考えや思いを話し合うのテーマトークの2本立てとしました。
トークセッション
トークセッションでは、90年代からRubyを利用し続けていて、日本Rubyの会の会長としても著名な高橋征義さんに、Rubyのたのしさについてお話いただきました。
高橋さんといえば、高橋メソッドというプレゼンテーション技法でエンジニアのみならず広く名が知れ渡っていますが、今回はスライドを使わず、ホワイトボードを使って参加者たちと近い距離で対話するような進め方となりました。
今日のRubyの発展は、他の言語では見かけない、なんとも名前の付け得ないたのしさというものにフォーカスしたことが繋がっているのではないかという話ののち、参加者に楽しいと感じるのはどこか、楽しいと感じないところはどこかを問いかけながら話を展開するという、双方向のセッションとなりました。そのなかでは、参加者同士でのオープンな応答で盛り上がる場面もありました。
高橋さんからの問いかけの中に、普段はどの環境でRubyに触れているかというものがあり、参加者の開発環境ごとの割合が明らかになりました。それぞれMac、Windows、Mac以外のUnix/Linuxなどで1/3ずつとなり、最近のRubyのイベントではMacユーザが多いというイメージとは異なる、面白い結果となりました。
テーマトーク
テーマトークでは、あらかじめ選んでいただいたテーマごとに集まってもらい、テーブルに敷いた模造紙にいろいろ書きながら話を進めるという方法で、参加者同士で対話していただきました。テーマはあらかじめ9つ用意し、来場時に参加者にそれぞれ興味のあるテーマを2つ選んでもらいました。
各テーブルでは25分話し合ってもらい、その後会場全体に向けて発表をしてもらいます。これを席替えを挟み、2回行いました。
ベテランRubyistから最近Rubyを始めたばかりの人が入り交じってテーブルにつき、それぞれのテーマごとに議論が盛り上がりました。テーマによって集まる人数にはばらつきがありましたが、トークの内容はどのテーブルもとても熱いものでした。
例えば、脱初心者テーブルでは、勉強会などで積極的にコミュニケーションがとれるような絡み力をつけましょうというという話が印象的でした。
プログラマが知るべき97のことテーブルでは、同名書籍の監修者である和田卓人さんを囲んで、Rubyに限らず広くプログラマの知識や考えについて知見を共有しあっていました。
あえて事前にテーマを設定しないフリーテーマテーブルでは、ベテランRubyistが集まってマニアックでコアな話題で盛り上がっていました。
人数的には、テーマトーク全体を通して、テストについてのテーブルが常に一番多く人が集まっていました。テストを重視するというRubyの文化が色濃くでていると感じました。
まとめ
平日の晩という短い時間での開催でしたが、「もっと会議を、もっと対話を、もっと挑戦を」というテーマ通りに、参加者同士でいろいろな事を話し合うことができたのではないかと思います。
参加者層としては、先に述べたようにベテランRubyistから最近Rubyを始めたばかりの人まで幅広い集まりになりました。そういう人たちが入り交じって様々な議論ができるというのは、まさにRubyのたのしさのたまものではないでしょうか。
また、最近のイベントやカンファレンスでは、TwitterによるつぶやきやUstreamによる動画配信などで、会場外の人を巻き込むということが増えています。しかし今回はつぶやきを促進せず、動画配信も行いませんでした。その分、会場内での交流にフォーカスを集中し、参加者同士の語り合いを重要視しました。
全参加者をトーカーとして位置付けたり、参加者同士が対話しやすいような会場やセッションの設計を行ったりしたことが工夫点です。それらの結果、顔を合わせて対話することの楽しさを改めて示すことができたのではと考えています。
これからの地域Ruby会議について
次の東京での地域Ruby会議として、4月に大江戸Ruby会議が、5月にはTokyuRuby会議03が予定されています。最新情報は地域Ruby会議のWebサイトから辿れる各ページ及び、Ruby会議日記をご確認ください。
それ以後の東京での地域Ruby会議がどのように行われるかについては、あなたの手にかかっています。東京Ruby会議シリーズはやりたい人が自ら挙手して開催するという流れになっているので、やりたいという人の手が挙がることで開催ができます。ちょっとやってみようかとか、アイディアがあるという方は、まずはRegionalRubyKaigiのWikiページをお読みください。
Rubyを使ったプログラミングはたのしいものですが、こういうイベントもまたRubyのたのしさのひとつと言えます。参加したり開催したりして、もっと一緒にたのしんでいきましょう。