5月23日、マイクロソフトは東京、品川インターシティホールにて、開発者を対象にした特別イベント「Microsoft Developer Forum 2011」を開催した。このイベントに米Microsoftの最高経営責任者スティーブ・バルマー氏が来日し、日本の開発者に向けた熱いメッセージを贈った。
「30年前にMicrosoftに入ってから、18ヵ月も日本に来なかったのは初めて」と切り出したバルマー氏は、日本はMicrosoftにとって世界で2番目に重要なマーケットであり、このたびの震災や津波による被害についても最大限の支援を行いたいと表明した。そして「こんな時こそITが新たな体験を生み出す好機なのです」と続けた。
本題に入り、まずバルマー氏は今後同社が投資していく5つのコアテクノロジとして「ナチュラルユーザインターフェース」「自然言語処理」「HTML/JavaScript」「ICチップとフォームファクタ」「クラウド」の5つを挙げ、それぞれの重要性を紹介。HTML/JavaScriptについては、今までは.NETを中心に開発環境を整えてきたが、Webアプリでは世界中の開発者が使っている環境としてサポートしていきたいと表明した。またクラウドでは、先ごろMicrosoftが買収したSkypeをAzureやOffice365などと並ぶ重要な柱として紹介した。
Windows Phoneについても触れ、キャリアやデバイスの供給を含め、日本での展開について近々発表を行うこになるだろうと語った。
後半は日本マイクロソフト執行役 統括本部長の大場章弘氏が登壇し、来場者から事前に集めていた質問に答える形式でセッションが進行した。
コンシューマに向けた開発のイノベーションがエンタープライズに影響を及ぼした点についての質問にバルマー氏は、人が使おうと思うテクノロジは家庭かエンタープライズかで切り分けはできないとし、Microsoftはコンシューマでやってきたが、最終的にはどちらか一方ではなく両方で使える技術を目指していくと答えた。
Microsoftのような巨大企業を経営し、成功させる秘訣を聞かれると「簡単なことではない」としながらも、現場の意向や上がってくる情報などをスピードを持って意志決定できることだと述べた。「俊敏性と各部署との連携を両立させる必要がある」。また優秀な人材やチームを確保することは経営者を確保するより重要だとも述べ、例としてKinectの開発者Alex Kipmanや検索エンジンBingの開発チームを挙げた。
また、タブレットやスマートフォン戦略についても質問があった。バルマー氏はWindowsタブレットやWindows PhoneがiPadやAndroidのようになるにはもう少し時間がかかるとしながらも、先行するデバイスにはセキュリティなどにまだ問題が残ると延べ、もっと先に立つコンシューマからの声を聞き、これから追いついて行きたいと答えた。
最後に、日本には世界でもトップのハイテク市場が育っているが、ハードに比べてソフトウェアでは成功していないとし、今後は日本のマーケットのみ、あるいは米国、ヨーロッパ市場のみで成功することはありえない、日本で成功したら、クラウドなどを使ってさらにグローバル化していくことが必須だ。その鍵を握るのは開発者だ、多くのイノベーションの機会が目の前に広がっている、と日本の開発者を鼓舞して講演を終えた。