mixi Girls Hackathon featuring Android 女子部開催――女性エンジニアたちがAndroid開発に熱中した1日

2011年8月6日、株式会社ミクシィAndroid女子部共催による「mixi Girls Hackathon featuring Android 女子部」が開催された。これは、女性エンジニアたちが一堂に会し、短時間の間にAndroidアプリを開発するというイベント。ここでは、その模様をお届けする。

そもそもハッカソン(Hackathon)って?

そもそもハッカソンとは何でしょうか? これはHack(ハック)とMarathon(マラソン)を掛け合わせた造語で、⁠マラソンをするようにハックし続けること」を意味します。ミクシィでは、田中洋一郎氏@yoichiroが中心となって、mixi Hackthonを開催しています。

今回、田中氏の部下でもある鈴木理恵子氏@asyoulike007が中心となり、この「mixi Girls Hackathon featuring Android 女子部」開催に至りました。

いよいよイベントがスタート。

開幕に先立ち、企画者の鈴木氏、Android女子部あんざいゆき氏の両名から挨拶が述べられました。

「今日は皆さんと一緒に、アプリ開発の楽しさを共有したいです」と語る鈴木氏
「今日は皆さんと一緒に、アプリ開発の楽しさを共有したいです」と語る鈴木氏
「ミクシィさんとこういう形でAndroid女子部がコラボで来て嬉しいです」と話すあんざい氏
「ミクシィさんとこういう形でAndroid女子部がコラボで来て嬉しいです」と話すあんざい氏

女性らしいアプリとは?

オープニングセッションは鈴木氏による「女子目線のアプリ⁠⁠。冒頭で、mixi Platformに関して基本的な解説が行われました。

mixi Platformとは、mixiのソーシャルグラフを利用してアプリやサービスをつくるためのプラットフォームで、大きく

  • mixi Graph API
  • mixiアプリ
  • mixi Plugin

から構成されます。詳しくは公式サイトをご覧ください。

mixi developer Center
http://developer.mixi.co.jp/

続いて鈴木氏は「皆さん、実は、mixi Platformは女性エンジニア向きなんです!」と、mixi Platformと女性エンジニアとの相性の良さについて話し始めました。会場からは当初「なぜ?」という声が聞こえてきそうでしたが、裏付けの理由がたくさんあるのです。

まず、mixiには幅広い層のユーザがいますが若い女性ユーザも多いということ。現在、総ユーザ数2,400万人、1ヵ月に1度以上ログインするアクティブユーザが1,600万人いるのですが、そのうち女性ユーザが52%と半数を超えています。また、サンシャイン牧場のような、女性にも使ってもらいやすいアプリがヒットする土台があることも理由の1つとのこと。

その他、女性エンジニア自身がmixiユーザであることが多かったり、これまでは個人で作成したアプリが少ないため、個人作成のアプリのユニーク性が評価されやすいといった、環境要因をいくつか紹介しました。

次に、⁠女性向けアプリのアイデアの出し方」として、次の項目を紹介しました。

  • mixiのアプリをいろいろ見る http://mixi.jp/search_appli.pl
  • 他のプラットフォームのアプリもいろいろ見る
  • すでにヒットしているアプリに女性要素をプラス
  • 大衆に訴求するより、ニッチに
  • 女ですもの、見た目は大事
  • ソーシャル化も忘れずに!(かわいいものは見せたい)

いくつかは「女性向け」に限らず、たくさんのユーザに向けても意識すべきポイントではありますが、たとえば「すでにヒットしているアプリに女性要素をプラス」⁠女ですもの、見た目は大事」というように、女性目線をどのように加えるか、それが1つのポイントになりそうです。

鈴木氏は、これらを踏まえたサンプルとして、下表のようなアイデアを紹介しました。

カレンダーアプリ+女子多色書きや、シール・写真を貼れるデコ機能を付ける
Run Keeper+女子トイレや着替えができる場所と紐付ける
診断メーカ+女子告白っぽい内容やデコレーションのような装飾機能を付ける
ForSquare+女子ケーキショップやカフェなど、女性好みの店舗と連動する

最後に「今日は楽しくアプリを作りましょう」とコメントし、プレゼンテーションを締めくくりました。

mixi API SDK for Androidの紹介

続いて、⁠mixi API SDK for Android」を開発したミクシィ菊間英行氏から、⁠mixi API SDK for Android」の解説およびコーディングの基礎について発表が行われました。

SDKダウンロード
http://developer.mixi.co.jp/connect/mixi_graph_api/android/download/

このSDKは、Androidアプリでmixi APIを使うためのツールキットで、事前登録すると利用可能となります。プログラム上で初期化、認可処理呼び出し、API呼び出しを行います。

このSDKを利用することのメリットとして、

  • mixi Graph APIを利用したAndroidアプリが作れる(ネイティブのmixiアプリが作れる)
  • シングルサインオンの利用など、ユーザの利便性が高められる
  • Consumer Secretをアプリケーション内に持たないのでセキュア

といった点が挙げられます。

菊間氏は、SDKの基本機能に加えて、登録手順について細かく解説し、最後は実際にEclipseのworkspace上で、mixi API SDK for Androidが使えるようにするところまでのデモを実演しました。

デモの実演のあと、菊間氏を中心にミクシィのチューター、Android女子部のメンバーたちが、携帯電話アドレスやクレジットカード登録、文字コードの設定など、初めての登録者がつまずくポイントを丁寧に解説しながら、参加者のコーディング準備が行えるようにサポートしました。

mixi API SDK for Androidを開発した菊間氏
mixi API SDK for Androidを開発した菊間氏

いざ、コーディング!その前に、ランチ&アイデアフラッシュ

ここまでで前半が終了です。ここからいよいよコーディング!となる前に、腹が減っては戦さができぬと、参加者、スタッフ、全員でランチタイム。この段階で、一般参加者のチーム分けが行われ、1チーム5名の全3チームとAndroid女子部の、計4チームが構成されました。

参加者は皆、お弁当を食べながらこれからつくるアプリのアイデアについて話し合い、午後のコーディングに備えました。初対面同士のメンバーだったり、初めてAndroidアプリを開発するといった参加者がいたのですが、皆、そういった垣根を越えて、ハッカソンに向けてリラックスしながら集中していたのが印象的でした。

ランチタイムで仲良くアイデアを出し合う参加者たち
ランチタイムで仲良くアイデアを出し合う参加者たち
Android女子部のチーム名は「チームお局⁠⁠?!
Android女子部のチーム名は「チームお局」?!

アイデア発表&最後のチュートリアル、そしてコーディング!

ランチ後は、各チームがどういったアイデアを考えたのか、チームごとに発表しました。たとえば、ボイスと連動して写真を表示させたり、ネイルの写真をまとめていったり、自分のマイミクに対するイイネ!やコメントの数を表示させたりなど、さまざまなアイデアが紹介されました。

チームごとにアイデアを発表。ホワイトボードを使い、本格的な企画会議さながらのチームも
チームごとにアイデアを発表。ホワイトボードを使い、本格的な企画会議さながらのチームも

WebサービスのAPIを利用した開発に慣れていない方向けに、SDKの認証認可の実装のポイントのお話がありました。

  • API利用時に認証認可処理が必要な理由
  • mixiは認証認可の世界標準仕様のOAuth2.0を採用
  • しかしSDKが代行するのでOAuth2.0の知識は不要
  • APIアクセスの前に、⁠1つのメソッドを呼び出すのみ」で認可を代行
  • SDK仕様ドキュメントの読み方

加えて、Android開発で躓きやすい点の説明がありました。

Android端末上でソーシャルグラフを利用する上で重要なのが認証。今回はSDKが認証認可の代行を行うため、OAuth2.0の知識は不要
Android端末上でソーシャルグラフを利用する上で重要なのが認証。今回はSDKが認証認可の代行を行うため、OAuth2.0の知識は不要

それから、チームに分かれて約3時間のコーディング大会、いわゆる「ハッカソン」がスタートしました。

集中力に合わせるように、タイピングスピードも早くなる
集中力に合わせるように、タイピングスピードも早くなる
参加者は、ミクシィのコラボレーションスペース内で、思い思いの場所、体制でコーディングを行った
参加者は、ミクシィのコラボレーションスペース内で、思い思いの場所、体制でコーディングを行った
ミクシィのチューターチームも、各々のハックタイムに
ミクシィのチューターチームも、各々のハックタイムに

発表、そしてエンディングへ

17:30、いよいよタイムアップ!「終了」の合図とともに、各チームのコーディングが終了しました。このあと、参加者全員による、コーディング結果の発表です。

今回、実際にAndroidアプリを開発したことがある経験者から、初めてAndroidアプリを開発した人まで、さまざまなスキルセットの方が参加していました。そのため、形になったアプリもあれば、コーディングの途中で終わってしまったチームもあります。

ここでは、その中から、いくつかピックアップしてご紹介します。

いよいよ発表タイム
いよいよ発表タイム

きょうのねいる

最初に紹介されたのは、⁠きょうのねいる⁠⁠。このチームは、アイデア段階からいろいろと工夫を凝らしていて、実際に自身のネイルの写真を撮って投稿する、というところまで開発を進めていました。が、実際は、投稿までは至らず、写真撮影→ボタン表示でタイムアップになってしまったとのこと。今後の開発に期待したいアプリでした。

「きょうのねいる⁠⁠。鮮やかなネイルの写真の表示、投稿、アップ……までもう一息!
「きょうのねいる」。鮮やかなネイルの写真の表示、投稿、アップ……までもう一息!

リアルmixiボイス

次は、リアルmixiボイス。Android端末の音声認識機能を利用し、入力した音声をmixiボイスにテキスト変換して表示させるというもの。このアプリは投稿結果まで閲覧できるようになっていました。

Androidの機能を活かした、まさにハッカソン的なアプリ。講評の時間では「声の大小」⁠感情の違いに寄る声色の変化」などから、文字サイズ、絵文字と連携させるとさらにおもしろい、というアイデアも出ていました
Androidの機能を活かした、まさにハッカソン的なアプリ。講評の時間では「声の大小」「感情の違いに寄る声色の変化」などから、文字サイズ、絵文字と連携させるとさらにおもしろい、というアイデアも出ていました

この後の3つは、チームお局こと、Android女子部のメンバーたちが作ったものになります。チューターも務めていたこともあり、参加者とはまた違った視点でのアプリが見られました。

血液型ログ収集アプリ

まずはじめに、kaoさんこと@cat_kaotaro氏の発表。今回、アプリへの実装までは至らなかったのですが、mixi APIから、マイミクの血液型を収集し、そのログを活用して相性などを調べるアプリを開発する予定だったとのこと。発表段階では、血液型の収集まで行い、あとはアプリへの実装というところまで来ていました。惜しい!

スクリーンの画面下部に、それぞれの血液型が表示されている。これらを統計的に計算することで、血液型相性占いなどいろいろな展開が行えそうだ
スクリーンの画面下部に、それぞれの血液型が表示されている。これらを統計的に計算することで、血液型相性占いなどいろいろな展開が行えそうだ

Android写真投稿アプリ

次に登場したのは、冒頭で挨拶を述べたあんざい氏。あんざい氏のアプリは、Android端末で撮影し保存した写真をmixiボイスにアップするというもの。実際にデモを観せたうえで「Twitterへの投稿と比較して、mixiボイスへ投稿させるほうが楽に実装できました」とのこと。

mixiボイスへのアップ時にはコメントも入れられるようになっていた
mixiボイスへのアップ時にはコメントも入れられるようになっていた

ぼくゴリラ for mixi

最後は、つぶやきをゴリラ語(例:ウホウホ)に変換して、mixiボイスに投稿させる「ぼくゴリラ for mixi⁠⁠。開発したのは@lychee氏。非常にシンプルかつ面白いアイデアで、デモンストレーション後には会場から笑いが上がっていました。その他、Android端末上にある複数の写真データを、一度にmixiフォトにアップするアプリへの開発にもチャレンジしていました。

mixiボイスにゴリラ語が(笑)
mixiボイスにゴリラ語が(笑)

つくることの楽しさを体感しよう!

以上、朝10:00からスタートし、18:00までの約8時間、座学形式のチュートリアル、アイデアフラッシュ、コーディングと続いた「mixi Girls Hackathon featuring Android」が終わりました。

終了後は、皆、もう少しコーディングしたかったと言わんばかりに、参加者同士で会話し、交流を深めていました。

ハッカソンの楽しさは、とにかく「つくること」に専念できること、そして、ハッカソンが終わったあとも、参加者同士で交流を深め、エンジニア間の新しいコミュニケーションを生み出せることではないでしょうか。

今回のハッカソンは、⁠つくることの楽しさ」⁠みんなでつくる楽しさ」の余韻を残しながら閉幕しました。

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