こういった課題に対して自動車業界を挙げて取り組むために、2011年7月にトヨタ自動車はThe Linux Foundationへの参画を決定し、デンソー等の大手自動車部品サプライヤもそれに続きました[2]。そして、自動車業界の中でLinuxに対するより大きなモメンタムを巻き起こし、「Automotive Linux」のイノベーションの加速化をはかるべく、今回のAutomotive Linux Summitの企画が発足されました。
8月にはこのAutomotive Linux Summitの企画に賛同する、インテル、NEC、Genivi Alliance、デンソー、トヨタ自動車、日産自動車、それにルネサスといった自動車業界とIT業界を代表する企業によって、カンファレンスの企画チーム(ステアリング・コミッティ)が発足し、「自動車」と「Linux」の共同作業が本格的に開始されました。
このようにしてAutomotive Linux Summitと『Automotive Linux』の記念すべき第一歩は踏み出されたのです。
自動車業界にコラボレーションを
自動車の世界にLinuxやコラボレーションに対する理解を促進し、自動車業界全体にオープンなイノベーションモデルに対するモメンタムを起す事を目的に開催されたAutomotive Linux Summitには、当初の想定(150名)を大幅に超える200名以上の参加者がパシフィコ横浜に集いました。しかも海外からの参加者が約30%(60名程度)にのぼる、国際的にも注目を集めたカンファレンスとなりました。
村田氏が発した「もっとコラボレーションを…」という言葉こそが、これからのAutomotive Linuxの世界でもっとも重要なキーワードであることは間違いないと思います。また、今回のAutomotive Linux Summitのメインテーマであったと言えますが、トヨタと日産とBMWが同じ壇上で業界に向けてコラボレーションを呼びかける姿は、これまでの自動車業界には無かったコラボレーションを体現していたのではないでしょうか?