「100万人から教わったウェブサービスの極意」出版記念トークイベント開催

2012年1月20日、渋谷・東京にあるシェアオフィスpartyground オープンデスク」にて、モバツイ本出版記念トークイベントが開催されました。

「100万人から教わったウェブサービスの極意」出版記念トークイベント
 60分1本勝負!えふしん VS 家入一真
 ~あの日あの時あの場所で君に会えなかったら僕らはいつまでも見知らぬ二人のまま~
http://partycompany.co.jp/4314

モバツイ開発者でもあり、100万人から教わったウェブサービスの極意――「モバツイ」開発1268日の知恵と視点の執筆者でもある、えふしんこと藤川真一氏(マインドスコープ株式会社代表取締役社長)と、家入一真氏(株式会社partycompany代表取締役社長および株式会社ハイパーインターネッツ代表取締役)の両名による、約120分のトークセッションが行われました。

藤川氏(中央)と家入氏(右手⁠⁠。奥は進行役を務めた技術評論社 馮富久
藤川氏(中央)と家入氏(右手)。奥は進行役を務めた技術評論社 馮富久

出会いはブログから

まずはじめに、今回登壇した二人がどこで出会ったのかからトークがスタートしました。元々家入氏がブログで藤川氏のブログF's Garageを見たのがきっかけとのこと。

「ブログを読んで面白い人だなーと思って。それからmixiでえふしんさんを見つけてマイミク申請をしたのが最初のつながりですかね」と家入氏はコメントしました。その後、家入氏が起業したpaperboy&co.の東京進出と同時期に、藤川氏も同社へとジョインしました。まさにソーシャルリクルーティングの先駆けとも言えます。

その後、藤川氏は同社のECサービス部門に入り、カラメルの企画から立ち上げ、運用に関わったそうです。

「入社してすぐに新しいサービスの企画、立案に関わったことは、今の自分にとっても大変貴重な経験でした。それまでが受託側にいたこともあり、⁠ビジネスとして)サービスをつくるということに初めて触れられました。そのときに感じたのは、ユーザの声ばかり聞くのではなく、自分たちが何を提供したいのかが重要だということです。それから、ネーミングの重要性については、家入さんからいろいろと教わりました」と、藤川氏は入社当時~入社後について振り返りました。

Twitterの衝撃

さて、その後2007年春頃、日本での第一次Twitterブームが起こります。そのブームとほぼ同時期に、モバツイの前身である「movatwitter」がリリースされました。2007年4月8日のことです。

「Twitterを初めてみたときに感じたのは、日本のケータイ文化にピッタリだな、と。動きながら何かをつぶやく、というスタイルに合うと思ってmovatwitterをつくりました。そのころはまだ日本語化もされていなくて、画面に⁠What are you doing?⁠と、今何をしているかを問いかけるものだったんですよね」と、Twitterへの第一印象、そして、当時のTwitterのコンセプトをふまえてmovatwitterをリリースしたとのことです。

また、その当時について家入氏は「そのころのTwitterって、いろいろといじることが楽しくて、今よりもAPIを扱いやすかった。だから僕は⁠ヌイッター⁠とか、Twitterの特性を活かしたサービスをつくって遊んでいました」と述べ、今とは異なる状況の中、⁠Twitterで遊ぶ」⁠Twitterを活かす」というスタンスでTwitterに触れられていたそうです。

その後、movatwitterが商標などの関係からモバツイに名前が変わります。また、そのときにデザインも大幅にリニューアルしました。

「モバツイに名称を変えたとき、デザインのリニューアルも行いました。やはりサービスとして展開し、たくさんのユーザに使ってもらうには、ユーザに使いやすいものを提供しなければいけないと考えたからです。少し余談になりますが、そのときに面白いと感じたのが、当時の日本のWeb業界は、思ったよりケータイのデザインを知らなかったり、ケータイを使わない人が多かったことです。PCはPC、ケータイはケータイと切り分けられていたように思います。また、とくにヘビーな(アウトプットが多い)ブロガーほど、ケータイを使っていないことがわかったのも印象的でした」⁠藤川氏⁠⁠。

そして、2009年に入り、海の向こうアメリカでは政治家たちが積極的にTwitterを使い爆発的にユーザが増え始め、ここ日本では、勝間和代氏、広瀬香美氏などの著名人がTwitterを使い始めたことで、いわゆるキャズムを越えた時代に突入します。

藤川氏はそのときに「モバツイを核とした事業展開を考えた」そうで、2010年に株式会社想創社として独立し、起業に至りました。

サービスをつくること、起業すること

二人の出会い、Twitterとの接点に関する話に続いて、エンジニアやクリエイターとしてサービスをつくること、起業することに話が展開しました。

馮より「サービスをつくるモチベーションは何か?」という問いが挙がると、⁠まずは自分が欲しいもの。これがあったらいいなと思うもの。それが自分がつくりたいサービスの根源となり、また、サービスをつくるモチベーションにつながりますね」⁠家入氏⁠⁠、⁠エンジニアの場合、自分でつくることができるのが強みなので、まずはつくってみる。そこから考えたり、人の話を聞いてみます。モチベーションというよりは、まずつくる、そこからです」⁠藤川氏)と、それぞれなりの見解を述べました。

両者に通じているのは、モノでもサービスでも、つくって形にすることが最優先であること、そして、それを実現していること。

この点については「アイデアを出せる人はいるかもしれないけど、それを実現するまでにこぎつけられる人がどのぐらいいるのか。その点での覚悟があるかどうかは大切です」⁠家入氏)と、数多くのサービスを世に輩出してきた人物ならではのメッセージが、会場に向けて投げかけられました。

一方の起業については、先ほども述べたように覚悟が必要ということと、何よりも「何をつくっていくか、何をビジネスにつなげていくかを、ユーザの声以外からも拾い上げて実現することが大切」と、二人から異口同音に訊くことができました。

参加者との距離も近く、アルコールを片手にカジュアルでアットホームな雰囲気の中、行われた。会場となったpartygroundは現在もシェアオフィスとして稼動しているとのことで、入居希望者がいればぜひ連絡してほしい(担当者)とのこと。
URL:http://partygrd.com/
参加者との距離も近く、アルコールを片手にカジュアルでアットホームな雰囲気の中、行われた。会場となったpartygroundは現在もシェアオフィスとして稼動しているとのことで、入居希望者がいればぜひ連絡してほしい(担当者)とのこと。

次の展開へ

最後に今後の展開について話が進みました。家入氏自身は現在CAMPFIREというマイクロパトロンプラットフォーム、いわゆるクラウドファンディングと呼ばれる投資サービスを運営しており、このサービスから新たなサービスを生み出していきたいそうです。その他、最近ではOREPON(オレポン)のように、家入氏ならではのアイデアをサービス化したものがリリースされています。⁠これからも楽しくしていきたい」という家入氏のコメントはまさに、今後の展開につながっていくのではないでしょうか。

藤川氏は「まずはモバツイを広げていきます。最近ではスマートフォンが中心なので、スマートフォン対応を中心とした展開になると思います。その先は、現状のTwitterだけではプラットフォームとして弱い部分もあるので、Twitterだけにとどまらずに他のサービスも含めた展開などを試行錯誤しながら検討中です」と、現状の課題であるスマートフォン対応、その先としては、今は世の中の動向を調べているといったことを、実直にコメントしてくださいました。

書籍出版記念という位置付けではありましたが、二人がどのようにしてサービスをつくってきたのか、本音が聞けたトークセッションになり、参加者にとって非常に有意義な時間になったのではないでしょうか。

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