2月14日、ETソフトウェアデザインロボットコンテスト(「ETロボコン」/主催:組込みシステム技術協会)の2012年度の概要に関する報道向け説明会が開かれた。
ETロボコンは、「LEGO Mindstorms NXT」で作られたロボットをライン上をプログラムの自律制御を使って走らせ、そのソフトウェア設計モデルと走行タイムの総合評価を競うコンテストである。春の参加希望者向け説明会から技術教育、全国11地区の予選大会、そして勝ち上がったチームによって11月のETとともに開催されるチャンピオンシップ大会まで、ほぼ10ヵ月がかりのプロジェクトが毎年進められ、組込み業界総掛かりの行事と言える。参加チームは2011年で338チーム、参加者は1,900名に上る。2012年は380チームの参加を見込んでいる。
若手や初級エンジニア向けにモノづくりの楽しさを経験させ、同時に組込みエンジニアのスキルの底上げを目的としたETロボコンも今年で11回目、ロボット(走行体)やコース設定といったハードウェア面はもちろん、事前の技術教育や審査の方法、さらにコンテストの運営方法まで、年々改良が加えられ、さまざまなノウハウが蓄積されている。
2012年のチャレンジは「初心者にフォーカス」「審査に全員参加」
こうした進歩はもちろん歓迎すべきだが、一方で初級エンジニアの教育という点では、現状の進め方や審査基準はロボコンを何度も経験した「ベテラン」に向けたものとなっている感も否めない。これをふまえて2012年ではモデリング初心者にフォーカスし、まずはモデルを動かす喜びから体験してもらう教育を取り入れる。
また審査については、審査内容や結果に対するより多くのフィードバックを希望する参加者からの声に対して、審査の複雑さと時間が飛躍的に増加しており、審査員の負荷も限界に近づいている。この状況を打開するため、審査委員会だけでなく、参加チームに他チームのモデルを公開し、評価してもらう方法を検討する。また、審査員個々の評価や一押しのモデルなど、審査委員の「顔」が見える審査も取り入れる。これらはいずれも最後のチャンピオンシップ大会での採用を目指している。
開発環境にRubyを追加?!
また、技術面の新たなトピックとして、これまで開発環境として用いられてきた、C、C++、Javaの各プラットフォームに加え、軽量Rubyを使った環境を対応させるべく動いている。早ければ今年の試走会でお披露目できるとのこと。この背景には、最近取り入れられたPCとのBluetooth通信機能など、PCと連動した開発をより簡単に行えるようにとの狙いがある。近年はクラウド環境など、組込み分野でも通信が必須といえる。技術者教育にも現状に即した技術を取り入れていく必要もあってのことだ
「ETロボコン2012」スケジュールや応募については公式ページを参照。
- ETロボコン2012
- URL:http://www.etrobo.jp/