AWSがアツい!
IaaSのEC2をはじめ、多数のクラウド技術を提供するアマゾン ウェブ サービス(AWS)。今回、このAWSにフォーカスし、最新動向および導入している企業事例に関する内容で、「第1回 アマゾン ウェブ サービス(AWS)オープンセミナー@VOYAGE GROUP開催」と銘打ってセミナーが開催されました。
- 第1回 アマゾン ウェブ サービス(AWS)オープンセミナー@VOYAGE GROUP開催
- http://atnd.org/events/25126
AWS最新動向
オープニングセッションを務めたのは、アマゾン データ サービス ジャパン株式会社 ソリューションアーキテクト大谷晋平氏。「事例とデモで学ぶはじめてのAWS~アマゾンクラウドの最新動向」と題して、
- 10分でわかるAWS概要
- デモで見るAWS
- アマゾンが持つ3つのビジネス
について紹介しました。
この1年間のAWSを見てターニングポイントとなったのが、昨年3月、東京リージョンが開設したことだそうです。これにより、日本を始めワールドワイドでの展開がさらに広がり、現在は世界8ヵ所にデータセンター群があるとのこと。そして「そこで提供されるAWSのサービスがエンジニアの業務負荷を軽減します」と、AWSで提供されるサービスの種類とともにメリットを紹介しました。
また、日本の場合、昨年以来震災などの自然災害に対する対策への意識も高くなって来ました。この点について、AWSでは複数データセンター設置におけるAWSの5つのポリシーが用意されているそうです。
- 物理的に隔離
- 洪水面を考慮
- 地盤が安定している場所
- 無停止電源(UPS)、バックアップ電源、異なる電源供給元
- 冗長化されたTier-1ネットワーク
このように、緊急災害時への対策にも備えられており、ディザスタリカバリの観点からも堅牢なサービスなのがAWSの特徴になります。また、AWSの主要なサービスに関しても紹介されました。
その後、AWS導入事例として、
の3社が紹介されました。
gumiでは複数のゲームをAWSで運用(全体で25億PV/月、最大ゲーム1本で7,000万PV/月)しているそうで、ゲームごとにELB+EC2+RDSの同じセットを再利用しているとのこと。
forsquareは、アプリケーションスタックとデータスタックで利用するサービスを分け、さらに、料金体系をオンデマンドとスポット分けることでコストを抑えているそうです。
3番目のNetflixは、ほとんどすべてのAWSサービスを利用し、複数の組み合わせと開発のしやすさを重視しているとのこと。たとえば、エンコーディングに関しては、映画スタジオから上がってくるマスターテープをS3に保存し、メザニンフォーマットへ変換しS3へ保管、各種デバイス図向けに50以上ものファイルにエンコードしてS3に保管など、用途に合わせつつ、S3を活用してデータをバックアップするなど、利用シーンに合わせた活用がされていることが紹介されました。
そして、最後に大谷氏は「お客様がAWSを利用して実現できることは、改善(今までできていたことをより早く、簡単に、安く実現できる)と革新(今まで出来なかったことを実現できる)の組み合わせです。これからもぜひAWSを利用したビジネス改善×革新を目指してください」と述べ、締めくくりました。
○○はAWSで動いています
続いて、AWSの導入事例が3つ紹介されました。
実例で学ぶAWS~オーディエンスデータプラットフォームcosmiを例に
トップバッターは、VOYAGE GROUPの株式会社adingoより、岩川建彦氏が同社のオーディエンスプラットフォームcosmiを紹介しました。gihyo.jpの連載でも取り上げられているcosmiでは、高負荷・大規模データの処理を行うために、AWSの導入を決めたとのこと。
運用しながらさまざまな改善も行っており、たとえば、もともとAMIを取り替える作業がアプリ修正のたびに必要だったところを、AMI起動時にコンテンツを自動でダウンロードして工数を減らすといった工夫をしているそうです。
まとめとして、「スケールアウトするためにAMIが役に立った」「いざというときのAutoScaling」など、当初予測しづらい新規事業におけるAWSの親和性について紹介し、プレゼンを終了しました。
クックパッドはAWSで動いてます
続いて登場したのは、クックパッド株式会社のエンジニア成田一生氏。現在、月間1,500万UU/6億PVを誇るクックパッドでは、IDCからAWSに乗り換えました。これは、同社が規定している3倍ルール(想定最大アクセス数の3倍のリソースを用意する)ということが、非常にコスト負担になり、コスト軽減・システム運用を見なおして2011年にAWS導入を決めました。この点について成田氏は「IDCを使っていたときは物理ハードウェアとの戦いになり、新規企画などに時間を割けませんでした。しかし、AWSに乗り換えたことでそういった物理面の不安がなくなり、さまざまなビジネススピードが向上しています」と、AWS導入のメリットについて述べました。
現在クックパッドでは、写真のような構成で運用しています。
「とくにMySQLのバックアップが簡単になった」と成田氏が述べたように、AWSの導入により、運用面での改善、また、画像配信の手間が大幅に軽減したそうです。
HerokuはAWSで動いています
最後の事例として登場したのは、PaaS「Heroku」。株式会社セールスフォース・ドットコムHerokuエバンジェリスト相澤歩氏がHerokuとAWSについて解説しました。
Heroku自体もクラウドプラットフォームの1つであるため、HerokuとAWSの利点について取り上げ、「コストを削減するにはAWS、サービスの素早い立ち上げにはHerokuが適している」というように、運用・開発・リリースなどの観点から、それぞれのサービスについて紹介しました。
今後に向けて
今回、AWS自体の紹介と、実際に導入している企業によるプレゼンテーションが行われました。冒頭で挨拶を述べた小澤氏は「今後もこういった場を用意して、エンジニア同士の知見を共有していきながら、より良いシステム運用・インフラ活用ができるようにしていきたいです」とコメントし、第2回、第3回の開催が期待される中、イベントの幕が閉じました。