1年4ヵ月ぶり!今回のテーマはJailと資源制御
前回第7回の開催が2011年2月でした。その後、第8回が同3月11日に予定されていたのですが、東日本大震災の影響もあり中止となり、その後、しばらくの間、本勉強会がストップしていました。
それから1年4ヵ月後、あらたに株式会社KDDIウェブコミュニケーションズのサポートを得て、新生gihyo.jp FreeBSD勉強会がスタートすることになりました。2012年6月8日、仕切り直しで開催された第8回では、本勉強会の実行委員でもあり、東京工業大学助教である佐藤広生氏を講師に迎え、「 FreeBSDのJail機構と資源制御」と題したプレゼンテーションが行われました。
メインセッションを務めた佐藤広生氏
プレゼンテーションでは、まず前半部でUNIX系OSの基本構造として、どのように資源(リソース)が使われ管理されるのか、カーネルやファイルシステムといった単位で詳しく解説されました。そして、基本的にはユーザ単位でしか制限が行えないとした上で、環境(=ユーザプロセスの集合体)をどのように分割して管理するか、というのが資源制御につながるとしました。
後半では、資源の分離という観点から、FreeBSDではchrootを拡張した機能としてFreeBSD Jailが誕生したという、機能登場の背景を説明し、その先のツールとして生まれたRACCT/RCTLに関する説明を行いました。RACCTとは、資源使用量をカーネルが把握するためのフレームワーク、RCTLはACL(Access Control List)風のルールで指定できる機能です。最新のFreeBSD 9系から導入されています。
1時間半、大変濃い内容のセッションが行われた
詳細については当日の資料をご覧ください。
また、当日の参加者および関係者によるツイートのまとめはこちらになります。
KDDIウェブコミュニケーションズの取り組み―5分でわかる「開発者支援制度」(とCloudCore VPS)
続いて、スポンサーセッションとして、KDDIウェブコミュニケーションズSMB事業本部 システム開発部 斉藤哲男氏から、同社のホスティングサービス「CloudCore VPS 」および「開発者支援制度 」に関する紹介が行われました。
斉藤哲男氏のセッション
CloudCore VPSは国内の類似サービスに対抗できる料金体系と品質を意識して展開されているもので、さらにFreeBSD 9.0に対応しているのが大きな特徴となっています。
また、今回の勉強会のように、同社では開発者コミュニティを積極的にバックアップする体制を整えています。それが「開発者支援制度 」です。この制度では、会場提供などを中心に、開発コミュニティの円滑な運営、その先にある開発者同士の交流をサポートするものとなります。詳しくはWebページ をご覧ください。
Reborn:FreeBSD勉強会
最後に、実行委員の一人でもある有限会社オングス代表取締役社長の後藤大地氏から、「 Reborn:FreeBSD勉強会」と題したショートプレゼンが行われました。「 これからは定期的、おそらく月に一度のペースで開催していきます」と、タイトルの通り、gihyo.jp FreeBSD勉強会が復活したことを紹介し、さっそく次回の日程が発表されました。
後藤大地氏のセッション
第9回gihyo.jp FreeBSD勉強会は2012年7月20日18:30~、場所は同じくKDDIウェブコミュニケーションズセミナールームで開催されます。
上記ページより申し込みが可能です。
さらにもう一つ大きな発表が行われました。BSDコンサルティング株式会社設立です。この企業は、今後より一層進むと予想される、エンタープライズ分野への*BSD導入に関して、コンサルティングからサポートを行っていくことを目的としています。
以上、1年4ヵ月ぶりのgihyo.jp FreeBSD勉強会は大変内容の濃い勉強会となりました。gihyo.jpでは今後もこの勉強会およびFreeBSD開発者コミュニティを支援していきます。ご期待ください。