このフェスティバルは、Open Knowledge Foundation、Aalto Media FactoryとFinnish Institute in Londonがオーガナイザーとなり開催したものです。その中でも中心となっているOpen Knowledge Foundation(OKF)は、2004年にRufus Pollock氏によって設立された英国のNPO法人です。
「Open procurement - by the rules or bend the rules」と題されたセッションでは、主に政府や自治体の調達についてのディスカッションが行われました。スピーカーは、ヘルシンキ市ITディレクターMarkku Raitioさん、Free Software Foundation(FSF)ヨーロッパ代表Karsten Gerloffさん、Open Source Consortium議長Gerry Gaviganさんです。リレー形式で、公共団体においてのITシステム調達の課題についてプレゼンテーションを実施しました。
「How NOT to do open source - community manager's view」と題されたセッションでは、地元のWant3D社CEOで、フィンランドのMeeGoコミュニティのリーダーでもあるJarkko Moilanen氏が、経営者とコミュニティリーダーの2つの視点から、どのようにオープンソースコミュニティとつきあっていくとよいかということをプレゼンテーションしました。
「The National Digital Library of Finland - Public Interface FINNA」と題されたフィンランド国立デジタル図書館の事例です。フィンランドでは、デジタル図書館を構築するだけなく、外部APIを含むパブリックなインターフェースを備えることで、外部から、さまざまなデータへのアクセスを実現しています。
活用されているオープンソースは、VuFindとApache Solrが中核となっています。VuFindとは、次世代OPACに対応したオープンソースです。OPAC(Open Public Access Catalog)とは、図書館において、オンラインで利用できる蔵書目録ことです。このOPACをインターネット時代(Web2.0に触発されたとされています)に合わせて作られるものが次世代OPACと呼ばれるもので、それの代表的なソフトウェアが、米ヴィラノヴァ大学図書館が開発しているVuFindです。Apache Solr(以下、Solr)は、Java言語で書かれたオープンソースの検索エンジンです。国内外の大規模検索サービスで利用実績を持ちます。これらを組み合わせて、外部APIも持てるようにしたシステムが、フィンランド国立デジタル図書館のシステムです。このように、オープンソースを単に使うだけではなく、外部インターフェースを持つこと、そして、持っているデータを誰でも活用できるようにすることが、ポイントとなっています。
世界銀行では、そのミッションを実現するために、その開発プロセスに渡る情報が透明性を持たなければならないと認識しているそうです。そのため、2010年4月に実施されたOpen Data Initiativeにより、世界銀行の約2,000件の指標から成るデータを公開しました。日ごろ、私たちが、メディアでよく見かける世界各国GDP値やビジネス環境など非常に幅が広いデータが公開されています。そして、もちろん、これらのデータは、ダウンロードも可能ですし、外部APIを使ってのアクセスも可能です。日本国内においては、このような公共団体によるオープンデータへの取り組みが始まったばかりです。ぜひ、世界銀行に負けないような情報公開を期待したいと思います。
例えば、「Projects Around the World that Address the Tech Gender Gap」というライトニングトークがあり、ドイツにおける2つの事例が紹介されました。ドイツでも女性にはテクノロジーが向かないといった昔の考えの名残から、テクノロジー分野に進学や就職する女性は多くないそうです。