昨年、大盛況のうちに閉幕した「Unite2013 」 。本年は、新橋からお台場に場所を移し、東京・お台場のホテル日航東京で、Unityの開発者イベントである「Unite Japan 2014」が2日間に渡って開催された。
「ゲーム開発の民主化」を掲げているゲームエンジンUnity、4.3以降の2Dゲーム開発機能に加え、5.0の発表により、より多くの開発者へ向けたテクノロジの進化を見せつけている。その勢いのままに3セッションが並行する熱気あるイベントとなった。
一部セッションは、後日動画配信を予定しているそうなので、メソッドやスクリプトをじっくり見たいという方はUnity Japanホームページ からの情報をお待ちいただきたい。本稿は、編集部の都合により、Day1・午後からの各セッションとなるが、駆け足で概要をお届けする。今年、昨年と足を運べなかった方のために、今後の参加を検討する一助としてご覧いただきたい。
公式キャラクター・UNITY-CHAN!が出迎えてくれる会場と当日のセッション表。
Day1
ユーザ必見! フィールドエンジニアいち押しのAssetを紹介
ゲーム作成に役立つおすすめAssetを紹介したのは山村達彦氏(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社)の「Asset Storeマニアクス」 。このセッションでは、デモを通して、たくさんのAsset紹介があった。
2013年にUnity Awardsを受賞した「Skyshop($125) 」は、グラフィックをきれいにしたい場合におすすめという。「 Shader Forge($80) 」を使えば、ノードを組み合わせるだけで、静止しているもの、動きのあるものどちらも作ることができる。自動コーディングではあるが、より細かい設定をしたい場合は、コードの書き換えも可能だ。コルーチンのようにマルチスレッド処理を行える「Thread Ninja(無料) 」 、マップを作るのに適した「2D Terrain Editor($10) 」などの紹介もあった。「 Ferr2D Terrain Tool($30) 」は、「 2D Terrain Editor」とおなじくマップ作成のAssetであるが、洞窟内部を再現することも可能なため、よりおすすめという。「 Easy Masking Transition($10) 」は画面の切り替え演出を華やかにし、「 Fast Platform Switch($25) 」はプラットフォームの切り替え時間を大幅に短縮できるので、どちらも使うとより中身の濃いゲームができそうだ。シーンをマージできる「UniMerge($15) 」は、これまで不便を感じていたUnityユーザにとって、よい収穫となっただろう。これらのほかに、Unity内で人気のアイテムも紹介された。
昨年は、伊藤周氏(同社)が担当した本セッション、今年はバトンタッチとなった。実際にそのツールを動かしながらの紹介であった。コードを打ち込まなくても作りたいものができ、実装も簡単に見える。
一度見たら忘れない存在感を持つ「Nugget The Duck Thing($2) 」 ( 左)と、「 Robot Warrior 2($45) 」 ( 右) 。
最後に山村氏は、「 Asset Store Tools(無料) 」を使って、自作ゲームをAsset Storeで売りだそう、と語った。これからUnityをはじめたいという方も、よりよいAssetを探していた開発者にも、十分に楽しめる内容だったのではないだろうか。
※紹介されたAssetは、Unity Asset Store で販売中。
Unity5.0で得られる新しいテクノロジ
また、同時刻のセッション、スティーン・ランド氏(Unity Technologies)によるセッション「Unity 5.0 アセットパイプライン/アセットバンドル」では、Unity5.0に向けて行ったアセットパイプラインとアセットバンドルワークフローの改良について、4.xではAssetbundleビルド時に、修正があった場合は再度構築しなければならなかった点の改善として、ビルド時間の高速化について言及した。5.0ではスクリプティングなしの環境と、エディタ側ですべてできる点などから変更点のみでビルドできるようになるなど、改良点の紹介があった。
ほかには、エリック・ユール氏による(Unity Technologies)「 マルチプレイヤーゲーム開発の民主化、その第一段階」では、「 マルチのほうがプレイタイムが長くなる、面白さが増す、60~72パーセントが楽しい」と解答が得られた点からその意義が語られ、シングルなスクリプトで動かしていたものをマルチプレーヤーにする試みと技術展開について紹介があった。
「目に見えないゲーム」誕生の秘話と感染型PR
池田佑基氏(rainディレクター)と鈴田健氏(ソニー・コンピュータエンタテインメント/rainプロデューサー)による「雨降って地固まる:rainプロダクションポストモーテム」では2年9か月に及ぶ「rain」の制作秘話を明かした。主人公キャラクターが見えないという斬新な設定の「rain 」は、無限回廊 やTOKYO JUNGLE などを生み出したクリエーター発掘プロジェクトである「PlayStation C.A.M.P! 」から生まれたダウンロード専用タイトルだ。ゲームの要素を分解して、最もコアな部分を変革してユーザーを驚かせようとした結果、「 操作キャラクターが透明で見えない」という設定にたどり着いたという。
「 rain」のテーマとなっている雨が取り入れられた理由が紹介された。操作キャラクターが見えないというのは斬新な設定だが、そもそもゲームに向いていない。そこで、見えないものが見えるようになるためには何が必要か考えたときに雨によってシルエットが浮かび上がるという設定を思いついたそうだ。
東日本大震災以後、寂しさや孤独に加え、好奇心や勇気というテーマを追加した際に行われた演出変更に関するワンシーン。ただ暗いだけでなく、ピンクなど鮮やかな色の光源を多数使うことで絵本のような演出になった。
後半ではプロモーション上の工夫が語られた。ダウンロード専用、新規IPということで予算をかけられない一方で、しっかりプロモーションしないと埋もれてしまう。この課題に対し「風ノ旅ビト 」を参考に、コンセプトアートを出す、イベントに極力参加する、など「rain」の作品性の高い世界観に継続的に触れてもらうというアプローチがとられた。これを鈴田氏は感染型PRと呼んでいる。
「rain」の世界観を伝えるプロモーションサイト。関東地方が雨の日だけ画面右のようにタイトルやキャラクターが現れるという仕掛けが話題を呼んだ。
本セッションでは既存のゲームの優秀さ、「 rain」の課題、新規IP開発の難しさを認めつつも、それらに挑戦することの大切さが説かれた。
口コミの宣伝効果に目を付けた動画共有サービス
「rain」での感染型PRの事例の紹介があったところで、ゲームが完成して、リリースしたはいいけれど、その後はどういった宣伝が考えられるか? といった異なる視点からのセッションも開催された。
「モバイルゲームを口コミで急速に普及させるには」では、ユッシ・ラーコネン氏(Unity Technologies)が「面白いモバイルゲームを探す最適な方法は、友人からの紹介である」と自身の経験を語り、動画共有サービス「Everyplay 」の紹介をした。「 Everyplay」は、口コミ+動画をコンセプトにしている。人から教えてもらったゲームは、その面白さが他人によって証明されているので、インストールしやすい。そんな口コミ効果に注目し、実際にプレイしている動画を通してゲームの宣伝を行うのが、「 Everyplay」だ。ゲームをしている楽しい瞬間を共有したい、偶然起きた素晴らしいプレイをみんなに自慢したい、と考えるユーザのために、プレイ画面が自動で録画される。録画時間はディスクスペースによるが、10分程度だという。その後、録画した動画へのコメントの挿入やトリミング、FacebookやTwitter、Eメールなどでの動画の共有ができる。フロントカメラでプレイヤーの顔も録画されるため、望むならば合わせて投稿するのもいいだろう。ソーシャルメディアで動画を共有することにより、制作者は広範囲に自分のゲームの宣伝を行え、ゲームを探している人は動画を見て、気に入ったゲームをインストールできる。現在、「 Everyplay」に対応しているゲームは300タイトルに上るという。半数はアメリカのユーザであるが、日本の市場も開拓中とのこと。動画実況の盛んな日本で、今後「Everyplay」がどのように展開していくのか楽しみである。
アドべンチャーゲームでも可能、Unityだからできるスピード感ある制作
漫才のような掛け合いが面白かったセッションとして、小林信行氏(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社)とチュンソフトなどでノベルゲーム制作に携わってきた時村良平氏(マッドネスラボ)による「UnityでテキストADVを作ろう!」を取り上げる。このセッションは、日本では人気が高く、独自の進歩を遂げてきたアドべンチャーゲーム(以下ADV)をUnityで制作するにはどうするか? からはじまった。
同人市場でも堅い人気を誇るテキストADVだが、ノベルタイプやADVタイプの2つに分けられるという。
「宴」はファイルシステム管理システムを重視した設計やExcelを使ったシナリオスクリプト管理が特徴。また、データファイルをサーバDLにすることでの最小サイズのアプリ提供、ロードの最適化を実現している。ADVシナリオで使用する膨大なテキストデータの量を知っている人なら、うれしい仕様だ。開発者視点として、「 AssetStoreのAssetはリリースしてから育てたい、こうしてほしいを伝えていただきたい」( 時村氏)という要望を話されていたのが印象に残る。
テキストADVを制作するにあたり、Unityならではの開発利点としては、早急な演出の確認、UX実験のしやすさ、プログラマでなくプランナーが触りながら作ることができる点などが挙げられる。マルチプラットフォームでの展開はもちろん大きなメリットだ。また、ノンプログラミングでの開発ができる「VisualNovelToolKit(ソル トライブ株式会社) 」や登壇者の時村氏開発のエディタ拡張「宴(マッドネスラボ) 」はじめ、日本人によって作られたAssetが増えてきたことによって、Storeからの選択肢も増しているそうだ。さらに、このセッションでは面白いADVを作る際に大切な3つのポイントを紐解きながら、そこに対応するための工夫が提案された。 詳しくはこちらのスライド を参照してほしい。
Day2
「新しいことはとにかくなんでも試してみたい」 、開発者たちの強い意志の影響もあってか、来場者もそれに負けじと追随するような意気込みを感じる本イベント、1日目に続いて、技術まわりの新展開を解説したセッションも引き続いて行われる一方、Unityにゲーム以外でのコンテンツの提供が考えられるか? という点にもスポットが当たり、「 フィジカルコンピューティング」 、「 オーディオ・ビジュアル・アート」 、ニコファーレでの事例「小林幸子カウントダウン LIVE」などさまざまな領域とのコラボレーションの事例と話題は尽きなかった。
実写がスゴイ! Unity仮面×3Dデータ×Oculus Riftの新展開
「実写を使ったインタラクティブコンテンツの実例の紹介と解説」では、弊社連載「Unity仮面が教える! ラクしてゲームを作るためのAssetStore超活用術 」でもおなじみUnity仮面(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社)が満を持して登壇した。
「ホリエモンチャンネル」「 Hiyoshi Jump」 、2つの開発事例を軸に話題は展開し、スペシャルゲストとして、ホリエモンこと堀江貴文氏、アイドルの寺田有希氏、アナウンサーの堀潤氏が招かれた。話題となった視聴者参加型アクションゲーム の制作では、堀江氏は実在する人物の3Dデータ販売について、今後のビジネスの可能性の高さに言及。「 もちろん、権利関係などクリアする点もあるけどね」とのこと。ちなみにUnity仮面の3DデータはAssetStoreですでに展開されているので(「 エロで使用もいいぞ!」とのことだが具体的な需要がどういったものなのか興味深い) 、ぜひDAS(Download Asset Store!)してほしい。
3Dオブジェクトとして出てくるニコニコ動画のリアルタイムコメントを実写の3Dで作成された寺田さんが避けるというアクションゲーム。まず東京リスマチックの3Dスキャンサービス(瞬撮)で撮影。これは5万円でスキャン&レタッチが可能だそう。さらに、寺田さんの3Dモデルが公式ブログ上での販売についての告知 があった。「 商用OKなので、ゲームなどで使ってほしい。また、使用した作品もみたいのでぜひ連絡 してほしい」そうだ。価格は1500円とのことだが、「 価格の適正はわからない(笑) 」とのこと。このあたりはまだまだ模索段階といえる。
Unity仮面からは、3DスキャンデータをUnity上にもっていくための方法が解説された。 3Dモデルへのボーン入れでは、ウェブサービスよりmixamoの「Auto-Rigger 」 、3Dモデルのポリゴン削減にはミドルウェアの「Simplygn 」を利用。ツールを使ってラクしたい場合、このようなサービスの利用が推奨される。
ここまでで、ひとまず3Dキャラクターデータは作成でき、Unity上で動くようになる。ニコニコ生放送のコメントはRubyで取得し、3D表示にはAsset storeの「FryingText3D 」を使用。ウェブカメラの映像をクロマキー合成するのも「Chroma Key 」で。モーションには、「 ragdoll」を使用。 安価な3Dスキャンの機材の登場により、手軽に3Dスキャンデータが作成でき、ゲームにもっていきやすくなった。今後、さまざまなジャンルで実写ゲームの展開が期待できる。 続いて、Oculus Riftを利用した通常では不可能な高度と全天球映像での大きなジャンプを体感できる体験型コンテンツ「Hiyoshi Jump」を紹介した。「 GoPro 」6台をクアッドコプターPhantom に装着し、静止画を撮影・ツールを使って編集。Oculus Riftの加速度センサーを利用して、ジャンプ検知できるようにしている。ここまでくるのに何度かの失敗はあったものの、慶応大学との産学連携という意味でもよい事例となったそう。
また、この撮影方法で体験型コンテンツの素材としてさまざまな応用が利く(バイノーラルマイクでとった音声との組み合わせなど)実写映像をより新しい体験とするためのアプローチが考えられるとのこと。
「Hiyoshi Jump」はAndroid版 がGoogle playで無料配信中。
最後に、サウンドノベルの『街 (チュンソフト制作の実写ADVゲーム) 』が心のゲームだと語るUnity仮面、「 続編(ゆえに「街2」 )を切に願う」ことを強くアピールしていた。
主婦でも簡単? Unityでゲームを作ろう
Oculus Rift絡みではもう1つ、「 主婦でもできるUnity」は近藤"GOROman"義仁氏(株式会社エクシヴィ)と、Unityで作品を制作した主婦氏(@Somelu01 )によるセッションが開催。
Oculus Riftが好きすぎて26台も持っているという近藤氏は、終始頭部にOculus Riftを装着していた。
はじめは近藤氏のターン。自己紹介とともに、「 ゲーム開発に使わないUnity」と題してUnityの活用事例が挙げられた。引越し前のレイアウトシミュレーションを行えるものや、人物動画を撮影し、Unity内で合成させたもの、Oculus RiftとNovint Falconを駆使して初音ミクと握手ができる「Miku Miku Akushu」など、その使い方は多岐にわたる。続いて近藤氏と主婦氏の企画「主婦ゆに! 」の話題へ。これまでPCに触ることといえば、月に一度家計簿をつけるときだけだったという主婦氏が、自作ゲームを体験イベントに出展するまでになったTwitter企画の紹介だった。マンツーマンではなくマンツーメンでの指導(近藤氏以外にも他のTwitterユーザも先生になってくれたそうだ)で、見事Oculus Riftを使うゲーム(「 MikuCoro」 )を制作した主婦氏は、近藤氏から卒業。セッションを聞いていたOculus VR創設者のパーマー・ラッキー氏が登壇し、主婦氏がお礼を言う場面もあった。
主婦氏はパーマー氏に「母が、こんなすごいものができるまで長生きできてよかったと言っていた」と伝えた。
30年前、マシン語の壁にぶつかりつつもBASICの台頭に助けられたという近藤氏は、「 Unityを使えば主婦でもヴァーチャルリアリティアプリが作れるようになった」 、とプログラミングの変革を語る。みんなでヴァーチャルリアリティアプリを作ろう、というまとめで終わった本セッションは、大きな拍手に包まれ、幕を閉じた。
家庭用ゲーム機にまで広がるUnityのクロスプラットフォーム開発
1日日の「rain」の事例にもあるように、家庭用ゲーム機向けに開発するUnityゲームは勢いを見せている。企業側の取り組みとしては、「 Unity×Microsoftが提供するゲームのプラットフォーム」「 Unityで開発するPlayStationプラットフォーム向けゲームタイトル」の両セッションにおいて、Unityを活用することで、開発したゲームを複数のプラットフォームに簡単に展開できることが紹介された。午前の日本マイクロソフトのセッションでは、簡単なゲームを「Windows8.1」 ・「 Windows Phone 8」 ・「 Xbox One」の3つに10分ほどで展開するデモが行われた。
アプリ内課金にもすでに対応していることが紹介された。大西彰氏(日本マイクロソフト)がこの場で実際に決済を行った。
午後のソニー・コンピュータエンタテインメントのセッションではiOS向けゲームをPlayStation Mobile向けに移植するデモのほか、日本では初公開となったProject Morpheus にもUnity上で簡単に対応できる様子が示された。
Project Morpheusのデモ。セッションの最中にUnityから出力したもので、遊ぶことができている。
両社とも、開発支援体制が充実していることを強調し、ぜひそれぞれのプラットフォーム上でゲームを展開してほしいと呼び掛けた。
WebGL上を完全なプラットフォームに ~プラグインなしでネイティブコードでゲームが動く
2日目も、Unityの新たな取り組みとして、WebGLへの試み、オーディオまわりや2Dゲームのアップデートについても豊富な紹介があった。 まず、「 UnityとWebデプロイメントの未来」と題して、ヨナス・エシュターホフ氏(Unity Technologies)からは、発表となったばかりのWebGLデプロイメントテクノロジーについての紹介があった。アジア市場では大きく成長しているUnity Web Playerではあるが(じつに40%程度がアジア圏だそう) 、WebGLでの実装に向けて本格的な取り組みをはじめている。 これによりユーザーは、プラグインをインストールする煩雑さから解放され、Webページへアクセスし、すぐさまゲームができる環境を手に入れられるとのこと。現状のパフォーマンスについては、 ネイティブデータの動きと比較すると、50パーセントほど読み込みは遅くなるが、モバイル以上、flashより早いそうだ。
FPSのゲームをネイティブコードで体験できるデモが展開された。emscriptenによるC++からJavaScriptへの変換、asm.js、C++クロスコンパイラであるIL2CPPなどについて解説があり、Unity5.0ではWebGLがプラットフォームに追加された点、限られたブラウザ(Chrome、FireFox)ではあるが、アーリーアクセスバージョン(有料)の展開がある点が伝えられた。
ここでは、さらにWebGL上での完全なプラットフォーム化に加え(5.xの間はUnity Web Playerの両方を対応) 、「 いずれすべてのブラウザで対応されるようになるだろう」と実行環境の見通しが語られた。
Unity2Dにおける複数の解像度の取り扱い
Unityの2D機能を手掛けるヴェリ・ペッカ氏(Unity Technologies/Software Developer)は「Unity2Dのよくある問題とその解決方法」についてセッションを行った。Unity2Dでの課題として、解像度の異なる2Dスプライトを異なるプラットフォーム上で扱う際(例えばiPad Retina上ではHD画質、スペックの低いAndroid端末上ではSD画質を用いる場合)の煩雑さが挙げられた。同氏はこの問題への対処法としてリソースフォルダとアセットバンドルの二つを挙げ、それぞれのメリットデメリットを述べた。リソースフォルダは無料版・Pro版どちらでも使えるがビルドサイズまでは最適化されない、アセットバンドルはPro版でしか使えないがビルドサイズが最も小さくなる。そのうえで、どちらであっても簡単な処理で解像度の切り替えができるので、状況に合わせて使い分けてほしいと語った。
リソースフォルダを使ったHD/SDのデモ。リソースフォルダを使う際の注意点として、解像度が異なる2つの画像のサイズをそろえることが挙げられた。
試遊台で人気がうかがえる「Oculus VR」、そしてUnityのあらたな取り組み
現在大きな潮流となっているヴァーチャルリアリティ(VR)ゲームで台頭している「Oculus VR」 。「 Rift」の試遊機は、大盛況であり、シューティングゲームや乗馬ゲームはじめ、さまざまな出展からその人気がうかがえた。最大2時間待ち(!)の列ができたほどだ。今回は、「 Oculus VR」の日本オフィスの開設も発表され、日本の開発者の支援、そしてさらなるコンテンツの拡充が期待できる。VRヘッドセットの話題としては、ソニー・コンピュータエンタテインメントがPS4向けに開発している「Project Morpheus」なども次の発表が待たれるところだ。
写真は編集部員が乗馬ゲームを体験している様子。体験前「これでゼルダがやれたら……!」 →体験後「リアルな乗馬体験でふらふらします……」との感想。
昨年の約1000人からさらに200人ほど来場者増(関係者談)で盛況の本イベント、 アニメーションやボイスを含んだ3D素材「UNITY-CHAN! 」が商用、非商用、産学すべてでフリーで使用可という発表あり、Unityコミュニティがさらに活発化するであろう「Unity県人会議 」の取り組みについて詳細あり、興味深い話題は尽きず、「 Unite Japan 2014」は盛況のうちに閉幕した。
Unity Japanホームページ
URL :http://japan.unity3d.com/
Unite Japan 2014 公式サイト
URL :http://japan.unity3d.com/unite/unite2014/