米国ラスベガスにて開催中のAWS年次イベント「AWS re:Invent 2016」2日目に行われたAWS CEOのAndy Jassy氏によるキーノートから、発表された新サービスを中心に紹介していきます。
時代はクラウドファーストから“クラウドオンリー”へ
Jessy氏がキーノートの最初に強調したのは、AWSが安定した業績をあげ続けている点です。これは、企業が自前のデータセンターを増設するのではなく、極力クラウドのリソースを使用したいという需要の高まりを示しているといいます。クラウドファーストから「クラウドオンリー」へと舵を切る企業が増え、さらに今回発表された新サービスによって、その傾向はより高まることが予想されます。
まずは、Amazon Elastic Compute Cloud(EC2)の新インスタンスが発表されました。既存のファミリーへの追加や、FPGAを利用する新しいファミリーの登場も見られました。
T2.xlargeとT2.2xlargeが登場
汎用インスタンスのT2ファミリに、既存のメモリ容量の2倍となるT2.xlarge、および4倍のT2.2xlargeが追加されました。
R4インスタンスが新登場
エンタープライズ向けインスタンスの上位タイプ「R4」が追加。
I3インスタンス
ハイI/Oタイプのインスタンスにもさらに上位モデルが追加。
C5インスタンス
CPU機能、コンピューティング性能重視のCタイプにも上位タイプが追加。
F1インスタンス
EC2上で動くFPGAのインスタンスが新たに登場しました。ユーザが自由にロジックをカスタマイズできるインスタンスです。
続いて、新サービスの発表をレポートしていきます。
Elastic GPUs for EC2
GPUをEC2上で手軽に使えるサービス。G2またはP2インスタンスをすでに使っているユーザにとっての代替サービスとなるわけではなく、GPUをそのつど使いたいというユーザに向けてのサービスです。
Amazon Lightsail
WordPressといったアプリケーションがすでにインストールされたイメージを、3クリックで立ち上げられる手軽なVPSサービス。月額制で、スペックにより5~80ドルの価格帯が用意されています。
Amazon Athena
Amazon S3にデータを配置し、ブラウザのUIからSQLクエリを発行してデータを解析できるサービス。
Amazon AI ~人工知能を利用した3つの新サービスが登場
Amazon Recognition
画像から物、風景、顔などを判定できる画像認識サービス。
Amazon Polly
日本語にも対応したtext to speechのサービス。より自然な発話が実現可能。
Amazon Lex
音声認識、自然言語理解のサービス。壇上ではLexを組み込んだアプリに話しかけ、航空便の予約を完遂させるデモが行われました。Amazon Lamdaといった外部サービスと組み合わせることで、チャットボットを実現できます。
RDBもIoTもさらに機能強化
PostgreSQL For Aurora
MySQL互換のリレーショナルデータベースサービス「Amazon Aurora」でしたが、新しくPostgreSQLのエンジンを選択できるようになりました。
AWS Greengrass
コネクテッドデバイスに、AWS Lambdaといったサービスを組み込めるようになるIoT系のサービスが登場です。
Amazon Snowball Edge
アプライアンスを使用した大容量データの転送サービス「Amazon Snowball」の機能拡張版が提供されます。容量は50TB→100TBへ増量され、Amazon S3やNFSクライアントからもアクセス可能になるなどの強化がなされています。
Amazon Snowmobile
100PB級のデータ転送を、コンテナ輸送で実現するサービス。40Gbpsのインターフェイスを持ち、データセンターに接続してデータを吸い出すといった用途が考えられるそうです。輸送中のトラック位置はGPSで追跡できるとのこと。会場にはサービスで実際に使われるトラックが乗り込んできました。コンテナの全長は45フィート(約14メートル)におよびます。
キーノートではそのほか、10月に提携が発表されたVMwareのCEO Pat Gelsinger氏など計5人のゲストが次々に登場し、AWSのもたらすインパクトについて語りました。
今年のre:Inventでは2日目から多くのサービスが発表されました。GPUやFPGAを活用できるハイエンドなもの、人工知能を自分のアプリに即座に組み込めるもの、エンタープライズ向けのデータ転送など、ITにかかわるすべてのユーザをカバーする勢いのサービス展開に圧倒されました。