米国ラスベガスにて開催中のAWS年次イベント「AWS re:Invent 2016」,3日目のキーノートに登壇したのはAWS CEOのWerner Vogels氏。前日のAndy Jassy氏に続いてVogels氏からも新サービスが続々と発表されました。
ユーザに向けたAWS「5つの使命」を果たすために
VogelsはAWSの使命として、「いつ何時でもユーザを守ること」「ユーザの声に耳を傾けること」「ユーザに選択肢を与えること」「ユーザの後方から手助けすること」「ユーザに”変革”を起こさせること」を掲げ、その使命を全うするためのサービスを「開発」「データ分析」「コンピューティング」の3つの分野に分けて紹介していきました。
まずは開発をサポートするサービスから紹介がありました。
AWS OpsWorks For Chef Automate
既存サービス「AWS OpsWorks」に機能追加する形での新サービス。AWS上でChef Automate(Chefや、そのための可視化ツールを含んだスイート製品)を実行できます。
Amazon EC2 Systems Manager
システムイメージの作成、パッチの適用、OS設定といった構成管理を、EC2またはオンプレミス上で行うためのツールを集めたサービスです。
AWS CodeBuild
ビルドとユニットテストのためのサービス。現時点でAndroid、Java、Python、Ruby、Go、Node.jsといった環境に対応済み。既存サービスである「AWS CodeCommit」と「AWS CodeDeploy」の間を埋めるサービスとなります。
AWS X-Ray
AWS上で動くアプリにコードを数行追加し、サーバにエージェントを入れることで、アプリ実行時にレイテンシなどがコンソール上にグラフ化され、確認できるようになるサービスです。現在対応しているプログラミング環境は、Node.js、Java、C#.NET。
AWS Personal HealthDashboard
AWSの各サービスの稼働状況・障害状況を確認できる「AWS Service Heath Dashboard」に対して、こちらは実際にユーザが動かしているサービス1つ1つの状態をモニタリングできるサービスで、大きな変化があればアラートも発行されます。
AWS Shield for Everyone/Advanced
DDoS攻撃対策サービス。「For Everyone」は無償で、L3/L4ネットワークのモニタリングと「Amazon ELB」「Amazon CloudFront」を使った攻撃対策がすべて自動で行われるというもの。「Advanced」は有償ですが、「For Everyone」に加えてAWS WAFが動作するL7もカバーし、24時間365日専用サポートおよび損害の一部補填サービスが利用できます。
分析をサポートする自動化サービスたち
次はデータ分析分野の新サービスです。
Amazon Pinpoint
モバイル向けのターゲティングサービス。デバイスから情報を取集し、ユーザをクラスタリング、広告をはじめとしたPush通知を特定のユーザに送ることができます。
AWS Glue
データの収集、ジョブの実行、ストアといったフローを自動化できる、データカタログおよびETL(Extract/Transform/Load)サービスです。
AWS Batch
バッチ処理をフルマネージドするサービス。バッチファイル、スケジュールなどを渡すだけで大量の並列ジョブを実行できます。なお、このサービスの利用自体には課金されません。
コンテナ管理サービスのOSSプロジェクトも始動
最後はコンピューティングについてのサービスです。
Blox
コンテナ管理、オーケストレーションのためのサービス。こちらはApache 2.0ライセンスによるOSSプロジェクトとしてGitHub上で開発されています。
C# In AWS Lamda
サーバの立ち上げなしにコードを実行できるサーバレスサービス「Amazon Lamda」が、Node.js、Python、Javaに加え、C#に対応しました。
AWS Lamda@Edge
CDNサービス「Amazon CloudFront」のエッジサーバ上で、JavaScriptで書いたラムダ関数が実行できるようになりました。
Amazon Step Functions
EC2上のアプリやLamdaの実行ワークフローを制御できるサービスです。類似サービスであるAmazon Simple Workflow(SWF)と違い、グラフィカルな実行結果を提供します。
この日のキーノートのゲストとしては、Twillio、BusyBot、Mapbox、Netflix、さらにはホワイトハウスからの特別ゲストも登場し、それぞれのAWS利用事例が紹介されました。
3日目の発表は、新しい領域に挑戦したサービスが目立った1日目等と比べ、今までのサービスで足りなかった部分が補完されたりより便利になったりと、ユーザの声に応えた形のサービス展開のように感じられました。