サービスイン直前にアリババクラウドを使い倒すハッカソン
12月10日、11日の2日間、SBクラウドの主催による「SBクラウド ハッカソン~Fun Christmas 2016~」が東京都内において開催されました。SBクラウドは、2016年1月にソフトバンクと中国のアリババグループにより設立された合弁会社で(社名変更は5月) 、アリババのクラウドサービスを日本国内向けに提供します。
ハッカソンのセッション会場
ハッカソン受付
オープニング・セッションには、SBクラウドの代表取締役 兼 CEOであり、ソフトバンクの専務取締役であるエリック・ガン氏が登壇。「 アリババ クラウドは、いよいよ12月15日からサービスを開始します。SBクラウドでは、すでにこの夏に第1回のハッカソンを開催していますが、『 楽しかったのでもう1回やって欲しい』という声をたくさんいただいたので、第2回を開催することになりました」と述べました。
ガン氏は続いて、アリババクラウドについて紹介しました。アリババクラウドは、仮想サーバサービス「ECS:Elastic Computing Service」 、オブジェクトストレージ「OSS:Object Storage Service」 、仮想プライベートクラウド「VPC:Virtual Private Cloud」 、負荷分散装置「SLB:Server Load Balancer」 、リレーショナルデータベースサービス「ApsaraDB」 、DDoSアタック抑止機能「Anti-DDoS」の6つのコアプロダクトを特徴とするクラウドサービスであるとしました。
アリババクラウドは世界に11のリージョンがあり、日本を含めドイツ、ドバイ、オーストラリアが新たなリージョンに加わっています。また、ガン氏はECSインスタンスの優位性として、設定画面が1ページに収められていること、60秒の高速起動が可能なこと、スペックが柔軟に用意されていること、高機能のサーバ監視が無料で利用できることを挙げました。
さらにサービスのメリットとして、価格がリアルタイムに反映される料金の透明性による安心感、セキュリティ対策機能の無償提供、専用ネットワークによる安定的でセキュアな通信品質、インスタンスの購入が1画面でできること、ひとつのアカウントで全世界のリージョンを日本円で購入できることを挙げました。そして「アリババクラウドを存分に使って、その良さを体験してください」と締めくくりました。
SBクラウド CEO エリック・ガン氏によるオープニングセッション
テーマは「クリスマスを楽しくする」
オープニング・セッションが終了すると、注意事項などの案内があり、すぐにハッキングタイムとなりました。参加者はこれから、1日目は食事を挟んで22時まで、2日目は朝8時からハッキングを行い、15時30分をめどにコードとプレゼンテーションを提出します。16時30分から各チームによるプレゼンテーションが行われ、19時から懇親会と審査、20時からクロージング・セッションが行われるというスケジュールでした。
会場となったCOMPASS「ハビタット」は、平日はコーワーキングスペースとして提供されており、さまざまなスタイルの座席が用意されているほか、シャワールームやジムスペース、リラクゼーションスペースまで、設備が充実しています。ほとんどの参加者が会場に泊まり、徹夜組も多いといいます。また、食事はSBクラウドにより用意されます。
ハッキングタイムに使用されたコーワーキングスペース「ハビタット」
ハッカソンのテーマは「クリスマスを楽しくする」で、「 アイデアはよいか、創造性に富んでいるか」「 UI/UXがよいか」「 実用性があるか」「 完成度が高いか」「 技術的な工夫が多いか」が審査基準となっており、さらに「Alibaba Open API」の利用や、IoTのアイデアはポイントアップになるというアナウンスがありました。なお、審査にはガン氏のほか、東京工科大学大学院 バイオ・情報メディア研究科長&メディア学部教授である上林憲行氏、東京大学i.schoolディレクター、i.labマネージングディレクターである横田幸信氏が名を連ねています。
SBクラウド ハッカソンは、入賞者の賞品が豪華であることも特徴です。第1位の賞品は最新型の「MacBook Pro」 、第2位は「Playstation VR」 、第3位は「目もとエステ グッズ」となっており、しかもチームのメンバー1人につき1点ずつという大盤振る舞い。参加者のモチベーションも上がります。また、参加者全員にアリババクラウドの利用クーポンがプレゼントされます。
「より多くの人にアリババクラウドを使って欲しい」
ハッキングタイムになり、会場全体の雰囲気も落ち着いてきたところで、SBクラウドのプロダクト・マーケティング部 マーケティング課の課長である大石裕一氏、商品部のグエンホアイ・ナム氏にお話をうかがうことができました。大石氏にハッカソン開催のきっかけをうかがうと、「 サービスインを直前に控えたこのタイミングで、より多くの方に使って欲しいということと、ハッカソンの開催によって私たちも問題が発生するかをチェックすることもできます。また、参加者から『こういう機能が欲しい』といった声を集められたらいいですね」といいます。
SBクラウド 大石裕一氏(左)とグエンホアイ・ナム氏(右)
ナム氏は、前回のSBクラウドハッカソンに参加し、楽しさのあまりSBクラウドに入社してしまったという経歴の持ち主。「 前回はひとりで参加したのですが、非常に楽しかったことと、システム開発の経験があまりなかったので、クラウドを含めた開発の経験が必要と感じて、SBクラウドに入社しました」と理由を語ります。
今回の参加者は30名弱、9チームで国際色が豊かです。前回の60名15チームより少ないですが、これは会場の関係だといいます。また、告知期間が短い上に、Facebookを中心とした告知しかしなかったのに、すぐに満員になったそうです。大石氏は「ハッカソンをきっかけにコミュニティを大きくしていきたい。今回はローンチ直前ということもあって規模が限られましたが、今後はもっとオープンにしてハッカソンの回数を重ねていきたいと考えています。また、DevOpsなどの勉強会も開催していきたいですね」と取り組みを語ってくれました。
SBクラウドに惚れ込んで入社したナム氏は「使いやすさとスピード感がとてもいいと思いました。サービスの利用を開始してからの操作も簡単でわかりやすく、運営も楽です。そして、UI/UXの品質が高い。これは私としてとても大事でした」と魅力を挙げてくれました。ハッカソンについては「国際的なハッカソンは少ないので、貴重なイベントだと思います。また、参加することでいろいろな国の人と友達になれたり、一緒にスキルを磨いたり情報を共有できます。今回からは立場が違いますが、いっぱい使ってフィードバックをいただけたらうれしいです」と目を輝かせました。
SBクラウドの今後については、「 中国のサービスは進んでいます。今回、それをデプロイして日本でサービスを開始することができました。これからはビッグデータやIoT、AIなどさまざまな機能を追加していきます。ちなみに、中国ではアリババが年に1回、テクニカルイベントを開催していまして、スタートアップコンテストも行われています。ぜひ日本の方にも挑戦して欲しいですね」と語ってくれました。
優勝は東京大学の外国人留学生チーム
2日間のハッカソンで優勝者となったのは、東京大学に留学しているTung氏をリーダーとする、外国人留学生チームでした。サービス名は「Wish Tree」で、3Dディスプレイを応用したIoTディバイスと、アリババクラウドのサーバを駆使した音声認識システムにより構成されるもの。
大石氏によると、「 アプリを開発して家族間で自分が欲しいクリスマスプレゼントの情報を交換しあえる素晴らしいサービスを開発していただきました。選考では、3Dディスプレイや、Text-To-Speech Engineを使ったUI/UXの素晴らしさやクリスマスにマッチしたアイディアが高い評価を得ました」と選考理由を話してくれました。これからも楽しいハッカソンを開催して、多くのエンジニアに羽ばたいて欲しいものですね。
表彰式での記念撮影