Swift実践入門』刊行記念Tech Talks

2017年2月24日(金⁠⁠、東京・六本木ヒルズ森タワーにある株式会社メルカリにて、WEB+DB PRESS plusシリーズSwift実践入門の刊行を記念したイベント『Swift実践入門』刊行記念Tech Talksが開催されました。

イベントには150名の参加者が集りました
イベントには150名の参加者が集りました

『Swift実践入門』のみどころ

最初のセッションでは、著者の一人である石川洋資氏による同書の「みどころ」の紹介です。

同書のコンセプトは「Swiftの言語仕様と実践的な利用方法を解説する」というもの。したがって、同書の第1章から第9章までの前半部分は、言語仕様にフォーカスした内容となります。同書ではとくに、パターンマッチやクロージャ、プロトコルなど、Swiftを特徴付ける便利な言語機能について、その裏側にある考え方からしっかりと解説されているとし、そこがみどころであると強調されました。

続いて同書の後半は「実践的な利用方法」に言及していく章になります。型をどのように設計すべきか、エラー処理をどのように行うべきか、Objective-Cとどう連携すべきかといった具体的なコーディング指針について、ポイントを絞って深く解説されているようでした。

著者の石川洋資氏
著者の石川洋資氏

担当編集者から見た制作の舞台裏

次に登壇したのは、同書の編集を担当した技術評論社の稲尾尚徳です。⁠Swift実践入門』を制作するにあたって、どのような工夫があったのか、どのような点で苦労があったのかといった、まさに「舞台裏」を披露する発表でした。

たとえば、最初に書籍の企画を練るフェーズでは「前提知識がなくとも、アウトラインを読むだけでストーリーがわかるようにする」ということを念頭に置いて構成案を立てたこと、執筆が終わってからの相互レビュー/相互リライトや編集者によるフィードバックにもしっかりと時間をかけたことなど、丁寧なつくりになっていることがわかります。

最後に稲尾は、⁠本書の著者である石川氏/西山氏の)お二人だからこそうまくいった」とまとめ、長期間にわたる執筆・編集作業においても、良好な関係のもと制作を進められたと振り返りました。

発表資料:https://speakerdeck.com/inao/swiftshi-jian-ru-men-zhi-zuo-falsewu-tai-li

Swiftにおける「現実の問題」を解決する

続いては、同書のもう一人の著者である西山勇世氏による発表です。現在イギリスにいらっしゃるということで、ビデオ通話を通してのリモートでの発表となりました。内容は、⁠なぜこの書籍を書いたのか」といったところにフォーカスしたものです。

本書のテーマであるSwiftに初めて触れたとき、同氏は「思ったよりも難しい言語である」という感触を持ったといいます。公式のドキュメントは充実しているものの、⁠簡潔ではあるが、簡単ではない」言語仕様を持ち、同じことを行うにも選択肢が多いといった特徴があると感じたのです。そして、それが執筆をはじめるモチベーションにもなりました。

そうした前提のもと、⁠現実のiOSアプリ開発において、Swiftに関わる問題を解決する」というコンセプトを設定し執筆が進められました。最終的にはiOS固有の知識を省くなどの紆余曲折もあったものの、こうしたモチベーションがあったからこそ、⁠現実の問題に対処する」ためのノウハウが詰まった書籍として完成したのではないでしょうか。

そして同氏は、増刷時や改訂時に対応するためにも、ぜひ同書についてのフィードバックが欲しいとして、発表をまとめました。

実践的なノウハウについても発表!

ここまでは書籍『Swift実践入門』に関する発表でしたが、イベントの後半ではSwiftについての技術的な発表も行われました。

まずは再び石川氏の発表です。⁠実践クライアントサイドSwift」と題し、iOSにおける入力フォームの実装を例にとりながら、Swiftにおける良い設計、良いコーディングがどのようなものかを示しました。

Swiftにおいては、誤った用法をコンパイルエラーにさせるようコーディングをしていくことが、最終的に良い設計に導くといいます。これを、同書の「みどころ」でも紹介されたパターンマッチやプロトコル、エラーハンドリングなどの機能を駆使して改善いくさまを通して解説し、とても納得感のある発表となりました。

発表資料:https://speakerdeck.com/ishkawa/shi-jian-kuraiantosaidoswift

さらに、ゲストとして招かれたYuki Takei氏からは、⁠実践サーバサイドSwift」と題し、サーバサイドでのSwift利用に関するノウハウも発表されました。

「iOSアプリ開発のための言語」として考えられがちなSwiftですが、その活躍の範囲はクライアントサイドだけにとどまるものではありません。Ubuntuでの使用が公式にサポートされていることからもわかるとおり、サーバサイドのアプリケーション開発も想定されている言語なのです。

これについて同氏は、簡単なチャットアプリケーションの実装を通した具体的な解説や、非同期処理をGoのgoroutine/channelライクに行える自作ライブラリの紹介などから、Swiftの大きな特徴である強力な型安全性がサーバサイド開発においても有用であることを伝えました。短い発表時間にもかかわらず、デモなども交じえた中身の濃い発表だったのではないでしょうか。

発表資料:https://speakerdeck.com/noppoman/shi-jian-server-side-swift
ゲストとして登壇したTakei氏
ゲストとして登壇したTakei氏

以上、簡単ではありますがイベントの様子をレポートしました。Swiftに関する新たな定番書籍として注目される同書について、生の声を聞くことができる貴重なイベントだったのではないでしょうか。

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