8月2日のKDDIのソラコム子会社化の発表 を受け、8月8日(火)に両社による合同記者会見が行われました。発表にはKDDI(株) バリュー事業本部 本部長の新居 眞吾氏、同ソリューション事業企画本部 副本部長の藤井 彰人氏、そして( 株) ソラコム代表取締役社長の玉川 憲氏が出席し、今回の発表に至った経緯について双方から説明がありました。
これからのキャリアの新しい使命のために、ソラコムの子会社化は大きな意味がある
2016年にソラコムの携帯通信コアネットワーク「SORACOM vConnec Core」を活用したKDDIのIoT専用回線サービス「KDDI IoTコネクト Air」を共同開発して以来、KDDIとソラコムの技術、運用部門が交流し、KDDIではソラコムのもつ可能性を実感したとのこと。IoTビジネスにおいてはこれまで1社ごとに別対応していましたが、この体制ではスモールスタート、クイックスタートを目指す企業への対応が難しく、このような場合に「ソラコムが用意しているIoTの“ PoCキット” が非常に魅力的だった」( 新居氏)と言います。
冒頭「ネットでは、ソラコムの良さがKDDIのせいで消されてしまうのではないか、といった論調が見受けられましたが、そんなことはありませんから(笑) 」と語ったKDDI 新居 眞吾氏
またKDDIはこれまでもベンチャーサポートの専用ラボを設ける等、ベンチャー企業を支援してきており、さらにデータ解析の子会社( 株) ARISEや、この1月に子会社となったAWS運用サービスで知られるアイレット( 株) とソラコムをグループ内連携させることで、新たなIoTビジネスを展開したいと希望を語りました。
さらに、これからのキャリアは通信ネットワークにおける「多彩なニーズに対応する必要がある」( 藤井氏)といい、そのIoT戦略を担う部門としてソラコムの子会社化には大きな意味があるとしました。
元Googleのエンタープライズ部門におられたKDDI藤井 彰人氏。ソラコムの玉川氏が前職のAWSに在籍当時から面識があり、この場にいることが「非常に感慨深い」
Exitではなく、単独でなしえなかった領域に踏み出すEntracnce
一方、ソラコムが今回の子会社化に踏み切ったのか、ソラコム玉川氏は「単独でやっていくにはチャレンジが必要な点として」大きく4つを挙げました。
セルラーLPWA、5Gのサービスを早いタイミングで開始できるか?
SORACOM vConnec Coreで実現できる範囲の拡大(次世代ネットワーク基盤の構築)
グローバルでの交渉力、営業力
さらなる資金調達、リソース調達
この4点がKDDIグループに参画する大きな動機となったと言います。
これまで顧客の要望に応える形でサービスや機能を次々と追加、開発してきたソラコム。今後、携帯通信コアネットワーク「SORACOM vConnec Core」については、上記のKDDIのグローバル分野での実績を活かし、おもに海外のキャリア、MVNOに提供する展開を考えており、そこで掴んだグローバルの顧客の要望を取り込むことでよりユースケースや新たなサービスを作り上げていきたいとのこと。Amazon創業者ジェフ・ベゾスの言葉「Still Day One」を引き合いに出し、「 日本発のグローバルIoTプラットフォームを作り上げていくのは仕事としてすばらしいことだと思っています。その結果、世界より良い場所にしたい」( 玉川氏)と展望を語りました。
ソラコム 玉川 憲氏。同社のサービスは頭文字がアルファベット順に展開されており、すでにA~Jまで進んでいます。会見後の囲み取材で「次の『K』はKDDIのことだったかと言われますが違います(笑) 」
発表後の質問で、日本でソラコムが利用しているセルラー回線はKDDIとドコモですが、今後はどうなるかとの質問がありました。これは誰もが気になるところです。KDDIの新居氏は、「 いまドコモを使っている部分をKDDIで置き換え、巻き取りに入るのは顧客のためにならないので考えていない」とのこと、将来的にはどこかのタイミングで、今後のソラコムSIMはKDDI中心に移っていくことになるだろう。具体化するには技術的検討が必要になるとの回答でした。
また、「 SORACOM vConnec Core」の国内の販売については、「 ドコモとKDDIの2大キャリアを押さえていれば十分でしょう(笑) 」 ( 藤井氏) 。今後の5G等の基盤が整備された場合の他キャリアへの販売については「長時間みっちり協議したテーマ」と明かし、ドコモ、ソフトバンクに直接提供することはありませんが、国内のNVMOについては検討中で、たとえばドコモ系のMVNOにvConnec Coreを提供することは考えているとのことです。
会見終了後のフォトセッション
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