7回目となるMaker Faire Tokyo 
年々、出展者も増え、出展作品のクオリティが高まり盛り上がりを見せているMaker Faire Tokyo 2018(MFT2018) 。7回目となる今年は、8月4、5の2日間、東京ビックサイトにて開催されました。今年の展示ブース数はなんと約530。どの作品も興味深いもので、紹介するのにとても数を絞りきれないものばかりでしたが、それらを泣く泣く絞り込みながら、とくにおもしろかった30の作品を紹介します。         
今年も盛況だったメイカーフェア東京 
 
 
Automatone 
明和電機の電子楽器、オタマトーンを自動演奏する装置。オタマトーンがまるでロボットのように見えてくるのがおもしろいです。 
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iMacを改造したセグメントディスプレイ 
パタパタとドットを昔の飛行場の案内板のように切り替えながら表示をするセグメントディスプレイ。デジタルの世界になったからこそ、物理的な表示装置が持つ味に意味があることを感じさせられる作品です。 
iMacをディスプレイとしてデジタルとアナログの境界をうまく表現した作品 
 
 
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ミニ四駆用AIプログラミングユニット「mini AI」  
ミニ四駆がラップを重ねるごとに速く走るように制御する装置。モータの加減速ができるだけでなく、逆回転もできるためカーブ前で逆回転をかけてブレーキングさせるということも可能です。 
AIプログラミングユニットと融合したミニ四駆 
 
 
Nintendo switchを使ったトイレットペーパーメーター 
Nintendo Switchを使ったトイレットペーパーの残量を検知する装置。コントローラのカメラ機能を使うかと想いきや、シンプルにコントローラの傾きを検知して、ロールの残りを算出するという仕組みです。  
コントローラの加速度センサで残量を検知 
 
 
全自動スープよく振るマシーン 
今年のMFTで見かけたシンプルでバカバカしくもある作品。でも、これが実際に食卓の上にあったら、思わず使ってみたくなるのではないでしょうか。思わずニッコリと楽しくなります。  
粉末スープの袋をただ振るだけ(笑)  
 
 
食べたいご飯の量であなたの将来の姿を映し出す「Tabe g」  
皿の上に入ったご飯の量に応じてミラーが曲がり、そこに将来のあなたの姿を映し出します。ご飯の量が少なければ、ミラーはあなたがホッソリと映るように歪曲し、逆にご飯の量が多いときは幅広く映るように歪曲するという仕組み。とてもアナログな仕掛けですが、ドラえもんの世界に出てくるようなユーモラスさがありますね。    
ご飯の量が少ないと鏡にはほっそりとした姿が 
 
 
ご飯の量が多いと、太った姿が鏡に映し出される  
 
 
MESHを使ったIoT箸置き 
ソニーのブロック形状の電子タグMESHの動きタグが中に入っているIoT箸置き。箸置きを表にすると「頂きます」のメッセージがLINEに送られ、食べ終わった後に裏返すと「ごちそうさま」のメッセージが送られます。シンプルで本当に毎日使えそうなアイデア作品。     
MESHのデザイン性を活かしたIoT箸置き 
 
 
ロボット合鴨「i-GAMプロジェクト」  
今年は農業や植物に関連したアグリテックに関連したハードウェアの展示が多く見られたのですが、これは合鴨農法をロボット合鴨で実現するというもの。田んぼの雑草を抑制します。 
IoT時代の合鴨農法誕生?! 
 
 
雨の日にしか抜けない傘「エクスカリバー傘」  
今年のMFTで見かけた、個人的に最もバカバカしい(笑)と感じた作品です。雨が降っていないと抜くことができない傘で、降水情報を検知すると煙が立ち込め、周りのLEDがピカピカ光りながら、エクスカリバーの剣ならぬ傘を引き抜くことができます。      
雨が降らないと抜けない(させない)エクスカリバー傘   
 
 
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紙ロボット「Paper Robotics」  
紙を切ることから工作を始めた方は多いのではないでしょうか。身近に工作として使える素材の紙を利用したロボット作品。ゴム動力により二足歩行を行います。
紙とゴムというシンプルな素材で実現する二足歩行ロボット 
 
 
魔法の世界を実装する「ext-Broom」  
ハリーポッターのクィディッチを現実の世界で実現したいという想いから生まれた作品。箒にまたがるとスイスイと移動ができるモビリティデバイスです。
箒型モビリティデバイス 
 
 
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ロボットバンド++ 
楽しい演奏を繰り広げるロボットバンド。筆者がこの作品を初めて観たのが深センでのMaker Faireでしたが、そこからイルミネーションなどがさらにパワーアップしています。 
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蜘蛛のオートマタ 
1つの回転により、8本の足が独立した動きを見せる蜘蛛のオートマタ。ずっと見ていても飽きない動きですね。 
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木と鉄で作る原付3輪自動車 
ホンダのカブと中国製エンジンをベースに制作された原付3輪自動車でナンバーも取得済。この作品を作っている「りひと工業自動車部」の「りひと」は、おそらく「ひとり」のアナグラムだが、ひとりでも公道で走れる電気自動車を自作できる時代になったのを実感させられる。        
電動の原付3輪自動車 
 
 
コースター型乾杯支援ロボット「CoRo!」  
コースターに飲み物を乗せると、マスターがスーッとお客さんの手元まで持っていてくれるロボット。昔のSF作品の中で出てきそうな地味な近未来感がいいですね。 
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ソニーのIoTマイコン「Spresense」  
MFTでは企業の出展ブースも設けられているが、その中でも目立っていたのがソニーブース。展示員が発売されたばかりでハイレゾも扱えるIoTマイコン「Spresense」を身にまとっていました。   
ソニーのIoTマイコン「Spresense」を紹介する展示員   
 
 
ワイヤ吊り下げ式のプロッター「Pendeograph」  
ワイヤ吊り下げ式のため、自然と描かれる文字に揺れがあり、それが良い味になっているプロッタ。コンパクトな装置ながら、大きな面に描画ができるというメリットがあります。   
ワイヤの揺れが遊びとなって、一点物のプロットが可能になる  
 
 
台所の料理の音で目覚める「JIKKALARM2」  
まるで実家にいるときのように母親が台所で包丁でまな板をトントンとしている音で目覚めることができるアラーム。味噌汁の匂いも発生するようになっています。
実家の世界観の中で目を覚ませる 
 
 
ミサイルスイッチ型学習リモコン「NoraCon-MS1」  
まるでミサイル発射スイッチのように、仰々しくオンオフの操作ができる学習リモコンスイッチ。安全カバーを上げるだけで気分が盛り上がる。 
外観が印象的な学習リモコン 
 
 
板状の平面スピーカ 
厚さ5ミリの非常に薄い平面スピーカを利用した作品。つばにスピーカが取り付けられた帽子を被ると迫力のある音を手軽に楽しむことができます。MFTの日程に合わせてお年寄り向けにテレビの音声を聴きやすくする平面スピーカKIKKERU のクラウドファンディングを開始しています。
帽子型のウェアラブルスピーカ。迫力ある音が楽しめる 
 
 
くるくる集団で回るハンドスピナー 
1つのハンドスピナーを回すと、それに合わせて周りのハンドスピナーもくるくると回り出します。仕組みは簡単で、ハンドスピナーの端に磁石が付いていて、それが周りにあるハンドスピナーについている磁石に影響を与えて回るというもの。磁石は地磁気センサーとも絡めてガジェットで活用されることが多いのですが、シンプルにそれを示した作品です。    
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触感神経衰弱 
箱には触感デバイスが内蔵されており、箱ごとに触ると異なる触感を感じることができるようになっています。同じ触感同士を神経衰弱のように組み合わせを見つけていく、IoT時代にピッタリの作品。  
視覚ではなく触覚で楽しむ神経衰弱 
 
 
ボタン花ちゃん 
人形の頭上を押すと、「 いいね」がさまざまなソーシャルネット上に投稿されるボタン。お店など、手軽にいいねを押してもらうための仕掛けとして、今後、実際に登場しそうです。    
手軽なインターフェースを活かすのも大事なポイント 
 
 
ハッピーフォンフォルダ 
これを付けていると幸せな気分になれる――かもしれない、スマートフォンホルダーです。 
見た目のインパクトがすごい 
 
 
恐竜型ロボット 
生き生きとした動きで、会場でとくに注目されていたのがこのロボット。床にあるものを咥えて、歩き回ることができます。  
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3Dカタン 
ボタンを押してデジタルでサイコロを振る、球状にボードが配置されたカタン(六花系のタイル型ボードゲーム) 。未来の宇宙飛行士は長旅の間にこうした球状のボードゲームを楽しむのかもしれません。  
デジタルとアナログが融合した、3Dタイプのカタン  
 
 
琵琶湖ボードゲーム 
琵琶湖愛に溢れたボードゲーム。琵琶湖の名産品などがカードとして使われており、遊びながら自然と琵琶湖のことが学べます。 
琵琶湖特化型のボードゲーム。これをやれば琵琶湖博士になれる?! 
 
 
Kage User Interface 
影に振れることで操作ができるインターフェース。影というのは実体の投射であり、投射を操作することで逆に実体を操作できます。この要素はARなどでも活かすことができるかもしれないと思わされる作品です。 
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目の光る動物アクセサリー 
MFTではさまざまな作品が展示されていましたが、それぞれの作品がどのように作られているのか気になるところです。この作品はMFTの中でもその仕掛けをわかりやすく、とても魅力的に行っていたのが印象的。内部を展示した仕掛けにモータをつけ、自動でその動作をデモするこの装置自体が別の作品となっています。   
仕掛けと構造をしっかりと解説して展示していた作品 
 
 
Kira:bit 
最後に紹介するのは、メイカー系では王道?である光モノ。micro:bitを使って、簡単に光る剣のおもちゃが作れる「Kira:bit」 。子供が気にいるのは間違いなしで、だいぶズルいと思いました(笑) 。      
メイカー系で王道の光モノ。micro:bitを使い、作って楽しめる  
 
 
番外:裏メイカー祭から「デジタル木魚」  
MFTは年々規模が拡大しています。その結果、出展枠から漏れてしまう参加希望者も存在するのです。そこで出展落選組の有志が同じ会場の会議室をかりて開催したのが裏メイカー祭。そのポスターからも熱い想いがほとぼしっています。 
裏メイカー祭入口 
 
 
その裏メイカー祭でも興味深い製品が数々展示されていました。その中から1つ、「 デジタル木魚」を紹介します。 
画面にはお経が表示されており、一文字読み上げるごとに木魚を叩くと文字が送られていくという仕組みです。これならお経を覚えていなかったり、馴染みのない人でもお経を唱えることができます。  
デジタル時代の法事に必須になるかも 
 
 
 
このように、今年のMFTは、例年に輪をかけておもしろくレベルの高い作品が多数展示されていました。筆者も海外のメイカーフェアやスタートアップ関連の展示会に出展したりしている中、とても密度の高いイベントであると感じました。最近は継続している結果、ネタ切れを感じるような展示会も多くある中で、MFTではメイカーの創造性が溢れ出ていたと思います。今回訪れた人の多くは、また来年、東京でこうした多くの作品と出会えるのを心待ちに楽しみにしているのではないでしょうか。