今回は9.
石油など温室効果ガスの利用を減らさないと地球環境が破壊されようとする今、
この論文にまつわる盗作問題やハーゼンエールのことについては、
原文を読むメリット
アインシュタインのことに興味を持つ人は大変に多いのですが、
ここでは、
から入手できます。ここにはアルファベット順にタイトルが並んでいるので、
アインシュタインの文体は簡明で、
筆者にとってもドイツ語は楽ではないことを白状します。40年以上も前に本当に仕方がなくてドイツ語でモータの設計に関する論文を書いたことはあるのですが、
若いときに、
- (1)書く前に、
読む必要がある。しかも自分の専門領域の論文を読むのがよい。筆者の場合は、 モータの設計に関するドイツ語論文を数編精読し、 その英訳をつくり、 自分の英訳からドイツ語を復元する訓練をした。こうすることによって専門領域の動詞の使い方を習得できる。 - (2)相対性理論や量子力学は、
ドイツ語を母語とする物理学者や数学者から生まれたが、 これを読むときにドイツ文学や哲学など文系ドイツ語教師の指導では無理がある。通常の辞書を引きながらの解釈は、 誤解と誤訳につながる。内容を完全に理解し批評できる指導者を得るのがベストだがそれは理想かもしれない。
こういうことを念頭において、
この論文の日本語訳はすでにあると思うのですが、
そこで、
なお、
から入手できます
モータ理論は時空の基本的な法則
この記事を書きながら筆者は、
Poyntingの定理は1884年に発表された理論ですが、
さらにアインシュタインは、
こういうことに思いを馳せながら、
イラスト付き日本語訳
アインシュタインの論文が難しいと思うのは、
それでは、
なお、
物体の慣性はそのエネルギー量に関係するか?
本論文誌
ここで私は、
物理的システムの状態が従うところの法則は、
これらの基礎
一つの光の平面波のシステムを(x, y, z)系で設定し、
である(訳者注1)。ここでVは光速である。
この結果を使って次の論理を導こう。
系(x, y, z)に静止している物体をとりあげよう。そのエネルギーは系(x, y, z)に属するのだが、
この物体がx軸に対してΦの角度で
この事象においてエネルギーの法則が成立するはずであるし、
これらの式の差をとると、
この式に現れるH-Eの2つの差形式は、
よって次のことが明白である。
差 H-Eは、
Cは光の放射中は変化しないので次式が得られる。
系(ξ, η, ζ)における物体の運動エネルギーは光の放射中によって減少するのだが、
v/
この式から直接次のことが言える。
ある物体がエネルギーLを光の放射の形で放出すると、
ここでエネルギーが輻射
物体の質量はそのエネルギー量
このエネルギー量がかなりの割合で変化する物体
- 脚注:
- ※1)
A. Einstein: Ann. d. Phys. 17. p. 891. 1905. - ※2)
そこに使われている光速一定の原理がマックスウェル方程式にも自然に宿っている (訳者注4)。
- 訳者注:
1)
1905年6月論文で、 電磁波のエネルギー密度と空間の大きさを2つの系で見比べることによって、 この変換式を導いている。 2)
原文にはL/ 2 (relativ zu (x、 y、 z) gemessen) とあり、 英語版ではenergy 1/ 2L measured relatively to (x, y, z)となっているので、 直訳ふうに 「(x, y, z)に対して相対的に計測されたエネルギー1/ 2L」 としたくなるが、 アインシュタインは(ξ, η, ζ)系では異なる計測値になることを念頭においていたと考えて、 筆者の訳としては、 単に 「((x, y, z)で計測された) L/ 2のエネルギー」 とした。 3)
ここが難解。アインシュタインは運動エネルギーについて思考するにあたって、 運動量の積分などさまざまのことを考えたと思われる。積分に関連して積分定数にも考えが及んだのだろう。たとえば Hに対して積分定数のようなAが加算され、 EにはBが加算されるものとすればH-EではC=A-Bということになる。原文にある単数と複数の微妙な綾が翻訳で落ちると意味を推測することができない。 特殊相対性理論をしっかりと解説している参考書として筆者があげると、
平凡社の1973年版世界大百科事典の 「そうたいせいりろん」 であり、 著者は、 当時京都大学教授の林忠四郎氏である。そこにはこのあたりに関係すると思われる積分定数について書いている部分があり、 そこを引用してみよう。 ・・・・単位時間にする仕事の量、
すなわち工率は先の運動方程式を用いて計算すると、 となる。この工率はまた質点のエネルギーEの増す割合に等しいから、
積分して が得られる。エネルギーを仕事の蓄積と考えるかぎりは上の定数はどうとってもさしつかえない。たとえば速さが0のときにエネルギーも0と定めると定数として-mc2をとればよく、
このとき十分小さい速さに対して分母を展開すると上式のEはニュートン力学の運動エネルギーm0v2/2に一致する。しかしながらC=0に選んで、 速さが0の質点もいわゆる静止エネルギーm0c2をもつものと考えると運動量とエネルギーを統一的に扱うことができる。 ここで興味深いのが、
アインシュタインはこの段階で の形を出していないことである。ここには深い思慮があったに違いないと思われる。
もうひとつ参考になる本として、
アインシュタイン自身が書いてイギリスのシェフィルド大学のRobert Lawsonが翻訳した A. Einstein:Relativity、 Crown Publisher - The special and general theory、 New York がある。この論文に関するテーマを扱っている部分を見ると、 英語に訳された言葉はやさしいのだがほしい説明がないために理解は困難。アインシュタインの頭脳にとっては当たり前のことが私どもには当たり前ではないように思われる。 4)
Das dort benutzte Prinzip der Konstanz der Lichtgeschwindigkeit ist naturlich in den Maxwellschen Gleichungen enthalten. ここでnaturlichが、 もちろんとか当然という意味なのか、 あるいは自然になのか訳者には不明。6月論文でアインシュタインはこれを説明しているが、 本書執筆中、 著者2人はこれを別のすっきりとした論理で確かめるための計算をした。そのときに整理したのが参考資料1である。専門用語を使うとローレンツ共変形になっていると言う。 (英訳ではof courseと訳されているが、 訳者は自然にの意味に近いnaturallyと解釈したい)。 5)
(ξ, η, ζ)系では、 物体が速度vで動いているので質量をmとすれは、 運動エネルギーKは1/ 2mv2である。光の放射の前後に運動エネルギーの差があるとすれば、 それは質量の差Δmが発生したと考える。つまりK0-K1=1/ 2Δmv2として、 これが(L/ V2)(v2/2)に等しいとすると1/ 2(L/ V2)V2=1/ 2Δmv2であり、 両辺から1/ 2V2を取り去るとΔm=L/ V2となる。 最近では一般的にエネルギーとしてLに代わってEを用い、
Vに代わってcとする。また質量の差を単にmとするとE=mc2と記される。 6)
Tragheitは英語のinertiaで慣性であるが、 より具体的な量を意味するものと解釈して、 慣性量とした。
読後感
マイケルソン-モーレイの実験から、
この論文はきわめて短く、
アインシュタインのこの論文の最後の1文は意味深長だと思います。
余談「質量とMasse」
Die Masse eines Körpers is ein Maß für dessen Energieinhalt.
(ある物体の質量は、
ßはスイスのドイツではssになります。ガウスとボヤイの文通の資料
Masseは女性名詞で質量
これら2つの単語が語源を共通にするのかどうか、