FedoraのプロジェクトリーダーであるMather Millerは6月20日(米国時間)、Red Hatが2018年1月に買収したCoreOSのプロダクト「Container Linux(旧CoreOS)」をFedora傘下に統合し、新たに「Fedora CoreOS」としてプロジェクトをスタートする計画を明らかにした。この発表にともない、既存の「Fedora Atomic Host」エディションはFedora CoreOSにリプレースされることになる。
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Red Hatは5月に米サンフランシスコで開催された「Red Hat Summit 2018」において、Red Hat Enterprise LinuxやOpenShiftと、TectonicやQuayといったCoreOSプロダクトの統合を進めていく姿勢を明らかにしており、今回のContainer LinuxのFedoraへの統合発表もそのマイルストーンのひとつとして位置づけられる。プロジェクトの統合はこれから始まることになるが、「Fedora CoreOS」として最初のエディションが登場するのは、「Fedora 29」がリリースされる2019年以降になるとみられる。
Kubernetes/コンテナ環境での利用に適したFedoraエディションとして開発が始まったFedora Atomic Hostだが、キーコンポーネントであるKubernetes周辺プロダクトのアップデートが頻繁に行われるため、ワークステーション版やサーバ版など他のFedoraエディションとライフサイクルの整合性を取りにくいなど、開発上のハードルが少なくなかった。これに対し、最初からコンテナネイティブな思想で設計されたContainer Linuxを、Atomic Hostに代えてコンテナエディションのまさしく"コア"とすることでよりスムースな開発が期待できることになる。Red HatのCoreOS買収はエンタープライズコンテナにおけるシェア拡大が最大の理由だが、RHELのアップストリームであるFedoraの開発フェーズからContainer Linuxをベースにすることで、激化するKubernetes市場での優位性を獲得する狙いもあるとみられる。
MillerはContainer Liunuxコミュニティに対して「我々が絶対的に望んでいることは(これまでのContainer Linuxがそうであったように)"コンテナクラスタのホストOS"としてのユーザエクスペリエンスを保つこと、つまりアップデートが自動で行われ、ユーザはそれを気にする必要がないという状態を続けるということだ。もちろんテクニカルなことはこれから議論を重ねていくが、既存のContainer Linuxユーザがいままでどおり、いや、いま以上にハッピーになること、それが我々のゴールである。Fedoraは真にコミュニティドリブンなプロジェクトであり、Fedora CoreOSが今後いかにあなたたちのニーズを満たしていくか、それはあなたたち自身がプロジェクトにかかわり、直接影響を与えられるという、非常に重要なことを伝えておく」とコメントしており、既存のコミュニティを尊重していく旨を強調、ディスカッションなどへの積極的な参加を呼びかけている。