Linusは今後、Linuxカーネル開発コミュニティが定めた「Code of Condunct(CoC)」に従って振る舞うことを約束している。それはつまり、休養宣言までは"平常運転"とされていた、相手を口汚く罵倒する行為は慎むということを意味する。優しい言葉遣いが優しい行為を引き出す可能性は高い。「もしかしたら、お行儀よくなったLinusがコードの品質に対して甘くなって、おかしなパッチを取り込んだりするのではないか」と心配する声も、Linusの復帰前から当然出てきていた。だが、LKML.orgに投稿されたLinusのポストを見る限り、その心配は無用のようだ。
これは、BigBen Interactiveという会社が製造するゲームコントローラのドライバへのプルリクエストに対し、Linusが拒絶の意を示しているポストだ。この開発者はドライバをデフォルトにしてほしいと要求しているが、Linusは「我々は、新規のドライバをランダムに選んでデフォルトにすることはしない(We do *not* enable new random drivers by default.)」とはっきりと最初に拒否し、「誰もが"自分のドライバはスペシャルだ、デフォルトになるべきだ"と思いがちだが、それは違う。我々は何千ものドライバをサポートするが、ランダムには選ばない」と淡々と続けている。かつてのLinusなら、開発者を名指しで罵詈雑言を浴びせていたところだろうが、ここではそうした相手を侮辱する言葉はいっさいない。だが、無謀なマージの要求を受けないというLinusの強い意志は以前と変わらず伝わってくる。投稿の最後、「こういことはお願いだからもうやめてほしい(Please don't do things like this.)」と"Please"を使って締めているのを見ると、Linusはたしかに以前とは変わったようだ。だが、Linuxカーネルリーダーとしてのコアな部分は変わっていない。コミュニティにとっては何よりの安心材料ではないだろうか。