SUSEは7月8日(英国時間)、KubernetesスタートアップのRancher Labsを買収することで両社が合意したと発表した。買収金額は公表されていないが、一部では少なくとも6億ドルを超えているとも報道されており、久々のオープンソース企業の大型買収に業界関係者の間には驚きが広がっている。
- SUSE TO ACQUIRE RANCHER LABS, BECOMING A MARKET LEADER IN ENTERPRISE KUBERNETES MANAGEMENT -SUSE Communities
- SUSE to Acquire Rancher Labs
SUSEのCEOであるMelissa Di DonatoはRancherの買収について「オープンソースのリーダー企業である両社がひとつになるという、我々の業界にとって本当にすばらしい瞬間である。エンタープライズLinux、エッジコンピューティング、AIのリーダーと、エンタープライズKubernetes管理のリーダーが融合することで、既存の市場をディスラプトし、顧客のデジタルトランスフォーメーションジャーニーを加速する。SUSEとRancherという組み合わせだけが、クラウドネイティブテクノロジを含む100%、真のオープンソースポートフォリオをグローバルにサポートし、顧客がビジネスをシームレスに革新できるよう、エッジからコア、クラウドに至るまでサポートする」とコメントしており、KubernetesソリューションのRancherを手に入れたことで、より幅広い環境でのアプリケーションワークロードをサポートできる点を強調している。
また、RancherのCEOであるSheng Liangは「RancherとSUSEは組織がクラウドネイティブな未来をコントロールできるように支援する。我々の業界トップのKubernetesプラットフォームとSUSEの幅広いオープンソースソフトウェアソリューションはパワフルなコンビネーションであり、世界中のITリーダー/オペレーションリーダーのニーズを満たすものとなる。データセンター、クラウド、エッジなど、その組織がデジタルトランスフォーメーションのどの過程にいようとも、その時点で最適のソリューションを届けられる」とコメントしている。
SUSEは2019年3月に独立企業として再スタートを果たしていたが、今回のRancher買収は約1年前の2019年7月にCEOに就任したDi Donatoにとっても最初の大型買収であり、独立企業としてのプレゼンスを示す大きな機会だといえる。また競合するRed Hat/OpenShiftに対抗する上でも重要な買収であり、今後の市場動向の変化が注目されるところだ。
本買収は規制当局の承認を含む手続きを終えたのち、2020年10月末までに完了する予定だ。