GCCプロジェクトを運営するGCC Steering Committeeは6月1日、GCC 9のポイントリリース「GCC 9.4」の公開に合わせ、GCCの著作権譲渡ポリシーの変更を発表、今後はFree Software Foundation(FSF)への著作権譲渡をコントリビュータに依頼しない方針を明らかにした。GCCをはじめとするGNUプロジェクトへのコントリビュータはこれまで自身が開発したプログラムの著作権をFSFに移譲するよう求められてきたが、GCCに関してはその縛りがなくなることになる。
- Update to GCC copyright assignment policy
GCC Steering CommitteeメンバーであるDavid Edelsohn(IBM所属)によれば、GCCは今後もGNU GPLv3の下で開発/配布が行われるが、今回のポリシー変更により、GCCへの著作権譲渡を望まないコントリビュータは、コミットメッセージに"Signed-off-by"タグを追加することで、DCO(Developer Certificate of Origin:Linuxカーネル開発のようにどの開発者がどんな貢献をしたかを記録するしくみ)を利用して名前を記録することができるようになる。
「GCC Steering Committeeは今後もフリーソフトウェアの原理原則を支持し続ける。それが変わることはない」(Edelsohn)とあるものの、かつてのGNUのリーダーだったリチャード・ストールマン(Richard Stallman)をめぐるここ1、2年の騒動がオープンソースの世界におけるFSF離れを加速したことは疑いなく、GCCプロジェクトが追随するのも自然な流れだといえる。GNUプロジェクトの中でももっとも知名度の高いGCCのポリシー変更は、他のGNUプロジェクトにも影響を与えそうだ。