Slackware開発者のPatrick Volkerdingは2月2日(米国時間)、「Slackware 15.0」のリリースを発表した。2012年9月の「Slackware 14.0」以来、約9年半ぶりのメジャーアップデートとなる。Slackwareのファウンダーであり、現在も開発を続けるPatrickは「Keep it familiar, but make it modern. ―UNIXライクなOSとしての特徴は変えずに、モダンな構成となるように努力した」とコメントしており、UNIX OSとしてのバランスを取りながら数多くの変更を加えたバージョンであることがうかがえる。
- The Slackware Linux Project: Slackware Release Announcement
Slackware 15.0はカーネルにLinux 5.15、デフォルトデスクトップ環境にKDE Plasma 5を採用しており、対応アーキテクチャはx86(32ビット/64ビット)、ARM、S/390の4つ。おもなアップデート項目は以下の通り。
- ユーザ認証にPAM(Pluggable Authentication Modules)を採用、シャドウパスワードのみのサポートを終了
- ログインユーザのセッション管理をConsoleKit2からelogind(systemdからlogindを切り離したパッケージ:参考)に変更
- PulseAudioのオルタネートとしてPipeWireのサポートを追加
- X11に加えてWaylandセッションのサポートを追加
- Qt4のサポートを終了し、Qt5に完全に移行
- RustおよびPython 3のサポート
- 最新のデスクトップ環境としてXfce 4.16とKDE Plasma 5 version 5.23.5(WaylandおよびX11のいずれもサポート)
- デフォルトメールハンドラをPostfixに変更、Sendmailは/extraディレクトリに収録
- imapdおよびipop3dをDovecotのIMAPおよびPOP3サーバにリプレース
その他、パラレルインストール/アップグレード時の衝突を避けるためのファイルロックの実装や、ソースから自動でOS全体をリビルドするスクリプト「make_world.sh」なども含まれる。
Slackwareの最初のリリースは1993年7月で、ディストリビューションとしては最も古い存在となる(最初のLinuxカーネルの公開は1991年8月)。ファウンダーであり現在も開発のリーダーである"The Man"ことPatrickはリリースノートの最後に「みんなからの優しいサポートがなかったら、僕はたぶんいまごろ、Slackwareの開発をしているかわりにポテトチップス工場で働いていただろう。Have fun! :-) みんながSlackwareを便利に思ってくれたらうれしい。そして何年もこのプロジェクトをサポートしてくれるみんなに感謝したい」とコメント、コミュニティに対して深い感謝の気持ちをあらわしている。