Fedoraプロジェクトの技術仕様や開発方針を最終的に決定する「FESCo(Fedora Engineering Steering Commitee)」は5月3日(世界標準時)、2022年秋にリリース予定の「Fedora Linux 37」からレガシーBIOSのサポートを段階的に終了するとしていたプロポーザルを却下(REJECT)したことを明らかにした。この決定により、当面はFedoraでのレガシーBIOSサポートは継続されることになる。
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- Schedule for Tuesday's FESCo Meeting (2022-05-03) -devel-Fedora Mailing-Lists
- Issue #2780: Change proposal: Deprecate Legacy BIOS -fesco- Pagure.io
4月にプロポーザルが公開されて以来、Fedoraプロジェクト内では「レガシーBIOSのサポート終了は時期尚早」「デスクトップもサーバもUEFIによるブートのみにするのは危険」といった意見が相次いでいた。議論の結果、8名のFESCoメンバーがこのプロポーザルに対してREJECTの意思表明を行い、FESCoのチケットポリシーのもと、プロポーザル自体の却下に至っている。REJECTを投票したFESCoメンバーのひとりであるトム・ステラード(Tom Stellard)は「定期的にレガシー機能のサポートの必要性を評価することは大事だと思う。だが今回の議論を見る限り、レガシーBIOSのサポート継続に対する強い要望がまだあるように思える」とコメントしており、現段階でのサポート終了は拙速だとしている。
旧式のハードウェアをOS側でどこまで(いつまで)サポートするべきかは、Fedoraに限らずOS開発においてはつねに悩ましい問題だが、少なくとも現時点では”UEFI一択”という状況とは言い難く、今回のFESCoの決定もそうした現状を踏まえてのものだといえる。しかしUEFIとレガシーBIOSの両方をメンテナンスする負荷は決して小さくなく、今回のREJECTに意義を唱えている開発者も多い。今後はメンテナンスの負荷軽減も含め、レガシーとどう向き合っていくのか、プロジェクトとしてあらためて方向性を問われることになる。