Ubuntu Netbook Remixの続報
先週、CanonicalからウルトラモバイルPC(UMPC)向け“Ubuntu Netbook Remix”が提供されることをお伝えしました。その後、さっそくインストール方法を紹介したブログ記事なども投稿されました。インストールされる各パッケージについては、FREE SOFTWARE MAGAZINEの記事が詳しいでしょう。
また、Ubuntuの設立者であるマーク・シャトルワース自身もブログの中で解説を行っています。それによると、Netbook RemixはあくまでUbuntuのパッケージとリポジトリを利用したものであり、サポート体制やパッケージ構成はUbuntuと変わらないそうです。よって基本的にカーネルやドライバなども、標準的なUbuntuと同じものを使うことがOEM側には求められますが、場合によっては独自パッケージの作成にも応じるようです。ちなみに、“Ubuntu Netbook Remix”はあくまで(Ubuntuではなく)CanonicalのOEMチームが作成・公開する独自版であり、Kubuntuやサーバ版のような「Ubuntu公式の派生品」では“ない”とも伝えています。
なお、Netbookのページでは、プロプライエタリなコーデックの対応も明言されています。これに関してBoycott Novellでは、「CanonicalがMicrosoftとライセンス契約を締結したのではないか」という懸念を表明しています。その記事のコメント欄では、マーク・シャトルワース自身が「Microsoftとはライセンス契約を結んでいない」こと、ただし「合法的に再生を行いたいというOEMの要請を受けて、RealやFluendoなどとはライセンス契約を結ぶ可能性が高い」ことも述べています。さらに、コメント欄の指摘をうけて、公開時は(特別なコーデックの必要な)MP4形式しかなかったNetbookの動画が、Ogg形式でも公開されることとなりました。
Global Bug Jamについて
8月8日から10日までの間、Global Bug Jamが開催されます。これは、今まで不定期に開催されていた、集中的にバグ対応を行うBug Dayのオフライン版です。世界中のLoCoチームがそれぞれ期間中の適当な時期に集まり、バグの取り扱い方を確認し、可能なら実際に修正を行います。また、普段オンライン上でしか共同作業を行う機会がないUbuntuユーザ同士が、顔合わせを行って交流を深める意味もあります。
Ubuntu自身のバグだけでなく、各ソフトウェアの開発元と協力してバグの修正を行っていく予定です。特に音楽プレイヤーであるAmarokとXubuntuのデスクトップ環境であるXfce4は、このイベントに参加することを表明しています。今のところ日本で開催される計画はありませんが、もし開催されることがあれば、Ubuntu Weekly Topicsでもご紹介します。
新しいコア開発者
6月3日に行われた技術委員会において、新しく2人のコア開発者(Core Developer)となることが承認されました。
トラブルシューティングカテゴリ
現在、ヘルプページ([システム]→[ヘルプとサポート])に「トラブルシューティングカテゴリ」を作ろうという話が持ち上がっています。これは、ヘルプページを見る上で一番求められている、「問題に遭遇した場合の解決方法」が個々のカテゴリに分散しており、見つけづらくなっているためです。
ヘルプページを担当するドキュメンテーションチームではこの計画に関する意見を募集すると共に、フォーラムでも「よくある質問」とその答えを募集しています。
Kubuntuの開発
Ubuntu Developers Summitで議論されたKubuntu開発の方向性に関する議事録が公開されました。KDEのリリーススケジュールとの調整、KDE4を標準として採用するかどうか、KDE3の扱いはどうするか、KDE4に移植しなければならないアプリケーションは何かなどがまとめられています。今後はこの方向性を元にして、具体的な話を展開していきます。
なお、6月15日の19時(日本時間16日の4時)から、Kubuntu Tutorials Dayが開催されます。これは、Kubuntuの開発に興味がある方向けの、開発に参加する方法をIRC上で解説するセッションです。つまり、Ubuntu Open WeekのKubuntu版です。ただし、Ubuntu Open Weekと違い、#kubuntu-develチャンネルが使われますので注意してください。
各チームの紹介、ユーザビリティのポリシーについて、パッケージの作成・修正方法、PlasmaでPythonを使う方法、バグの扱い方などの解説やQ&Aセッションが行われます。
Ubuntu Weekly Newsletter #94が発行されました
6月8日に、Ubuntu Weekly Newsletter #94が発行されました。
コミュニティニュース
前述の“Ubuntu Global Bug Jam”やUDSにおけるKubuntuの議事録、新規Ubuntuメンバの紹介、先週のNetbook Remixの話に加えて、OSCONの紹介が行われています。
以前にもお伝えしたように、OSCON(Open Source Convention)は7月21日から25日にオレゴン州ポートランドで開催されるオライリー主催のイベントです。去年開催したUbuntu Liveを、今年はこのOSCONの中で開催することとなりました。UbuntuとOSCONのサイトではセッションの概要が公開されています。
LoCoニュース
インドネシアチームが、インドネシア政府から「インドネシアにおけるオープンソースの拡大に貢献した」と讃えられ、IGOS(Indonesia Go Open Source)サミットの中で通信情報技術相から表彰を受けた話が紹介されています。
テクニカルアップデート
Ubuntuに対して提案を行うBrainstormから、実際に動きがあった例として、以下の二件が紹介されています。どちらも、X.orgのUbuntuパッケージをメンテしている、Bryce Harringtonからの報告です。
- AMD/ATIビデオドライバ(fglrx/ati/radeonhd)の品質向上を求める提案と、それに付けられたコメントや投票から、AMD/ATIとCanonicalがfglrx/atiドライバの開発について協力関係を築くことになりました。特にfglrxドライバは定期的なリリースと、それにあわせたUbuntuリポジトリでのアップデートが行われるようになる予定です。おそらくIntrepidがリリースされた時には、状況が大きく改善されているでしょう。
- マルチモニタへの対応をはじめとしたモニタの対応改善を求める提案について、X.orgの開発者からの現状と今後の予定が、とても丁寧に説明されています。
その他のニュース
インターネット上でUbuntuに言及する記事として、以下の記事が紹介されています。
フォーラムニュース
今週のインタビューは、ニューヨークはブルックリン大学の大学院生であり大学図書館のシステム管理も行っている、ウクライナ人のslavikにインタビューを行っています。また、今週のチュートリアルでは、最近のCPUに搭載されている省電力機能を有効にすることでノートパソコンのバッテリを長持ちさせる方法が紹介されています。
今週のセキュリティアップデート
6月4日から6月10日までに、下記のセキュリティアップデートが行われました。
- 6月6日