Intrepid Alpha 4がリリースされました
8月14日にUbuntuの次期バージョン“Intrepid Ibex”のテスト版であるAlpha 4のリリースがアナウンスされました。今回明らかになった変更点は以下のとおりです。
- すでにAlpha 2あたりから採用されていますがX.Org X server(xorg-server)がアップデートされて、1.5候補である1.4.99.906ベースとなりました。XInputHotplugの機能がさらに改善され、動作中でも設定することなしに抜き差しできるインプットデバイス(キーボードやマウス、タブレット)の種類が増えます。
- Linuxカーネルが2.6.26.2ベースの2.6.26-5.15となりました。
- 公開できないデータを保存するために、各ユーザのホーム・フォルダに暗号化されたPrivateディレクトリを作成する機能が追加されました。利用方法については、後述の“Encrypted Private Directoryについて”をご覧ください。
- ユーザ切り替えアプレット(fast-user-switch-applet)に、ゲストユーザに切り替える機能が追加されました。gdm-guest-sessionパッケージがインストールされていれば、ゲストユーザに切り替えると一時的に制限付きのユーザとディスク領域が作成されます。
- Network Managerは0.7としてリリースされる予定の、SVNリポジトリ版にアップデートされました。0.7では無線LANの認証設定がシステム全体でも管理可能になるなど、大きな修正が加えられる予定です。
ISOイメージのダウンロードについては、上記アナウンスをご覧ください。KubuntuやEdubuntu、Xubuntuなども同様にAlpha 4がリリースされています。
なお、Alpha 4はその名のとおりアルファ版であり、一般的に使用することは想定されていません。あくまでUbuntuの開発のために使用してください。すでにVirtualBoxで起動できない、GNOMEの終了ボタンで終了できないなど、さまざまな不具合が報告されています。
Encrypted Private Directoryについて
Intrepid Ibexでは、“Encrypted Private Directory”と呼ばれる機能が提供される予定です。これはeCryptfsと呼ばれる暗号化ファイルシステムを利用して、各ユーザごとに暗号化されたディスク領域(~/.Private)を提供します。この暗号化された領域は、そのユーザがログインすると~/Privateディレクトリにマウントされ普通に読み書き可能ですが、ログアウトすると自動的にアンマウントされ再び暗号化されます。隠したいデータをPrivateディレクトリに保存するようにしておくことで、ログアウト中に他のユーザがそのデータを閲覧できる可能性が低くなります。
“Encrypted Private Directory”を実装したDustin Kirklandとサーバチームは、この機能のテストを行う人材を募集しています。テストする方法は、こちらをご覧ください。また、現時点では“Privateディレクトリ”の名前は暫定的なものであり、Intrepidのリリース時までには“デスクトップ”などと同じくXDG User Dirs経由で各国言語に翻訳される可能性があります。
やまねさんがJapanese Teamのメンバとなりました
8月19日のJapanese Teamのミーティングにて、やまねさんが正式にチームメンバとなることが承認されました。やまねさんはすでにDebian JP Projectのメンバとして、また各種日本語フォントをはじめとしたパッケージのメンテナとして活躍されており、オープンソースカンファレンスでの講演などで、すでにご存知の方も多いと思います。やまねさんの参加によって、Debian JP ProjectとUbuntu Japanese Teamの間でより強力な連携を行い、Debian/Ubuntu双方の環境を改善していくことが期待されています。
その一環として、9月11日、12日に開催されるJapan Linux Conference 2008のBOFに、Debian JP ProjectとUbuntu Japanese Teamが共同で参加します。参加内容の詳細については、次週以降のミーティングで報告される予定です。
8月19日のJapanese Teamのミーティング
8月19日のJapanese Teamのミーティングでは、やまねさんの参加の他にいくつかの重要な議題が扱われたので以下にまとめておきます。
- 10月3日、4日に開催されるオープンソースカンファレンス 2008 Tokyo/FallにUbuntu Japanese Teamとして参加します。内容の詳細については、次週以降のミーティングで相談する予定です。もし、講演・ブース内容に要望がある場合や、お手伝いしていただける場合は、気兼ねなくミーティングに参加するか、メーリングリストやフォーラムに意見をお寄せください。
- パッケージ配布サーバの日本公式ミラーサーバであり、慢性的に不調の続いていたjp.archive.ubuntu.comは、8月上旬に富山大学のサーバに切り替わりました。そこで正式にアナウンスする前に、現時点で何らかの不具合が発生していないかどうかの情報を募集しています。
- 8.04の標準日本語フォントは、正式版ではVLゴシック、日本語ローカライズドCDではIPAモナーフォントを採用していました。Intrepid以降は、日本語ローカライズドCDでもインストール時点ではVLゴシックを使用することになりました。IPAモナーフォントのパッケージは用意されるので、これまで通りIPAモナーフォントを利用することも可能です。また、新しいIPAフォントパッケージも提供される予定です。
Japanese TeamのIRCミーティングは、毎週火曜の23:00から#ubuntu-jpチャンネルで開催されています。Japanese Teamのメンバだけでなく、誰でも参加・発言することが可能です。もし、何らかの提案・議論を行いたい場合は、あらかじめIRCミーティングのページに議題を立てておくとより深い議論ができるでしょう。もちろん当日その場で議題を提出していただいてもかまいません。IRCの使い方についてはこちらをご覧ください。
CanonicalがLinux Foundationに参加しました
Linuxの普及を支援しているLinux Foundationは、8月17日にUbuntuのスポンサーでもあるCanonical社が同Foundationに参加することを発表しました。
これまでも、Ubuntuの創設者であるマーク・シャトルワースが役員に選出されたり、Canonicalの社員が個別のワークグループに参加をしていました。今後はCanonical社としてもシルバー会員としてのLinuxの普及、特にCanonical社が今もっとも力を入れているモバイルインターネットデバイス市場へ参入に対して協力を行っていくことになるでしょう。
Launchpad APIの続報他
先週もお伝えした、LaunchpadのAPIの話の続報が出ています。それによるとAPIの利用方法と改善点を、毎週Launchpad Newsで紹介するそうです。今週は、プロフィールの扱い方やさまざまなバグ番号の取得方法、バグの属性の取得方法などが改善されたようです。
また、Launchpad APIの公開にあわせてLaunchpadの利用規約の“Automated querying”の項が変更されました。Launchpad上のデータにアクセスする場合は、LaunchpadのフィードやAPIの利用が強く推奨されるという文言が追加されています。また、スクリプトなどを使ってLaunchpad上のデータを利用する場合は、スクリプトごとの使用量を見積もったり、いつでもスクリプトの作者に連絡できるように、利用規約にあげられている方法で作者を特定できるようにしておいて欲しいという文章も追加されています。
Ubuntu Weekly Newsletter #104が発行されました
8月17日に、Ubuntu Weekly Newsletter #104が発行されました。
コミュニティニュース
前述のIntrepid Alpha 4のリリース、先週お伝えしたGlobal Bug Jamの結果に加えて、Ubuntu Weekly Newsletterの翻訳チームの発足がアナウンスされています。
Ubuntu Weekly Newsletter(UWN)は毎週Ubuntuコミュニティ向けに興味深い記事を配信していますが、その翻訳については芳しくない状況が続いています。これは、一週間という短い期間に大量の情報が流れており、それを翻訳しつづけるのは大きな負担となるためです。そこで、UWNチームはUnited UWN Translators Teamを発足し、各国語の翻訳者が情報共有できる場を提供することとなりました。また、各国のニュースサイトで配信されているUbuntu関係の記事を英訳し、UWNに反映させる役割も期待されています。
その他のニュース
インターネット上でUbuntuに言及する記事として、以下の記事が紹介されています。
フォーラムニュース
今週のインタビューは、おやすみです。
また、今週のチュートリアルでは、タイル型ウィンドウマネージャの一種であるawesomeのインストールと設定方法が紹介されています。タイル型ウィンドウマネージャとは、ウィンドウをタイル状に配置し効率的にデスクトップ画面を利用することなどを目的とした、従来とは異なる操作性を提供するウィンドウマネージャです。今週のチュートリアルでは、リポジトリにあるパッケージよりは新しいバージョンである2.1をインストールします。ちなみにawesomeの現時点での最新の安定版は2.3.3、最新の開発版は3.0-rc3です。
今週のセキュリティアップデート
8月13日から8月19日までに、下記のセキュリティアップデートが行われました。
- 8月19日