Ubuntu Weekly Topics

2012年10月26日号12.10の各種注意点・Ubuntu Open Week・UWN#288

12.10の注意点

Ubuntu 12.10⁠Quantal Quetzal⁠が無事にリリースされ、一週間が過ぎました。今回は、12.10のリリースノート[1]記載の重要事項や、リリースノートに含まれていないポイントのまとめをお届けします[2]⁠。前回の内容と合わせてご確認ください。

なお、WebAppsに関する情報は今週のRecipeを、技術的なよりまとまった情報が必要な場合はSoftware Design 2012年11月号のあわしろいくやさんによる「Ubuntu 12.10特集」を確認してください。

non-PAEカーネルの終了

12.10では、PAEに対応していないハードウェア用のカーネルは提供されません。これは、PAEに対応していないCPU(Pentium Mの一部・VIA C3など)を搭載したシステムが動作しないことを意味します。これらのCPUを搭載したハードウェアでは、12.04を継続利用してください。なお、12.04についても、PAE非対応ハードウェアでは11.10からアップグレードするか、Lubuntu・Xubuntuを用いる必要があります。

現実的にこうしたハードウェアでUbuntuを使うことは少ないはずですが、仮想化環境の一部では「デフォルトではPAEが無効」と設定されている可能性があります。CPU関連のオプションを注意して設定するようにしてください。

Unity 2Dは存在しない

これまで「3Dアクセラレーション(Compiz)に対応しないハードウェア」向けに提供されてきたUnity 2Dは、12.10では存在しません。フルスペックのアクセラレーションの代わりにOpenGL ESベースの簡易アクセラレーションを使うか、あるいはllvmpipeによるソフトウェアエミュレーションベースでUnity(Unity 3D)がそのまま動作します。

ハードウェア的に十分なスペックではない場合、あるいは体感性能的に不十分な場合は、GNOME ClassicやXubuntuなどを利用して回避してください。特に、仮想環境での動作上の問題が顕著なはずです。

すでにUbuntuをインストールした環境でXubuntuを用いるには、taskselパッケージを導入して「tasksel install xubuntu-desktop」を実行し、ログイン画面でXubuntuを選択してください。

CDには収まらない

12.10以降、リリースイメージのサイズは800MBになり、CDサイズでは無くなりました。光学メディアに焼き付けるにはDVD-R等が必要です。USBメモリを利用する場合は1GBサイズで収まるため、ほとんどのものが対応するはずです。

Alternate CDは廃止された

これまでのリリースで提供されていた、⁠Alternate CD」⁠debian-installerベースのインストールCD)は、12.10では提供されません。Alternate CDが担っていた機能のうち、LVMとディスク全体の暗号化機能はDesktop DVDに統合されています。Software RAID(md)によるRAID構成は準備されていないので、12.04からアップグレードするか、事前に手動でRAID構成を行う必要があります。リリースノートを参照してください。

Dashの検索の有効/無効

12.10では、Dashに入力した文字列をもとに、AmazonやYoutubeなどの外部サイトへクエリを行うことがあります(Youtubeへのクエリは12.04から搭載されています⁠⁠。この機能を無効にするには、⁠システム設定⁠⁠→⁠プライバシー」から設定を行ってください。

画像

パッケージを削除して対応することも可能です。Amazon検索なら「sudo apt-get remove unity-lens-shopping」を実行してください。

一部の古いビデオチップ上では動作しない

12.10は、古い世代(おおむね2000年前後)のビデオチップ上では正常に動作しません。

明示的に宣言されているのは、Trident Cyberblade(Windows 98世代の東芝やIBMのノートPC⁠⁠・i810(2000年前後の多くのIntel CPU搭載デスクトップ⁠⁠・SiS 315とMirage1系(2000年頃から2004年頃までの廉価なデスクトップ)です。これらのビデオチップを搭載したシステムでの対処については、リリースノートを参照してください。

Ubuntu Open Week

Ubuntuの新バージョンがリリースされた後の「お祭り」のひとつ、Ubuntu Open Weekが開催されています。Ubuntu Open Weekは、コア開発者やコアメンバ・各種コミュニティマネージャやCanonical社員が「インターネット越しに」参加者からの質問に答えるイベントです。

イベントを通して、Ubuntuの開発プロセス・Canonicalの位置づけ・コミュニティ運営について、参加者により深く知ってもらうことを目的としています。Open Weekへの参加方法はこちら

UWN#288

Ubuntu Weekly Newsletter #288がリリースされています。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-1613-1usn-1613-2:Pythonのセキュリティアップデート
usn-1615-1:Python 3.2のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2012-October/001876.html
  • Ubuntu 12.10・12.04 LTS・11.10・11.04用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-4944, CVE-2012-0845, CVE-2012-1150, CVE-2012-2135を修正します。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1614-1:Rubyのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2012-October/001874.html
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2012-October/001875.html
  • Ubuntu 12.10・12.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2012-4464, CVE-2012-4466, CVE-2012-4522を修正します。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

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