Ubuntu Weekly Topics

2013年2月22日号Ubuntu Tablet・12.04.2のリリース・Steam for Linux・新Sputnik・OSC 2013 Tokyo/Spring

Ubuntu for Tablet

Unityが「統一されたコンピューティング環境」を提供する日がやってきました。

タブレットデバイス向けのUbuntuのリリースが宣言されました。現時点では具体的な搭載デバイスのリリース予定は明らかにされていませんが、何件かのDesign winを獲得しているかのような発言が見受けられます。

Ubuntu Tabletの動作デモの動画が、engadgetThe VERGEで公開されています。チューニング等も未完了なプレ製品段階のものとして、というよりも、一般的なタブレットデバイスとして、というレベルで非常にスムーズに動作しており、最終的な完成形に期待が持てそうです。より詳細な情報や実機デモ等は、2月25日からバルセロナで行われるMWCで公開される予定です。

また、MWCが終了してもさらに3月にはCeBITが開催され、Canonicalが出展する予定です。モバイルに特化したMWCよりも情報・通信・デジタル全般のCeBITの方がより多くの情報が明らかになる可能性が高く(場合によってはさらに強力ななにかが飛び出す可能性もあります⁠⁠、この種のガジェットに興味のある方にとっては眠れない日々が続くことになるでしょう。

Ubuntu Tabletの基本機能はUbuntu Phoneの大画面版、いわゆるスマートフォンとタブレットの関係に近いものだけでなく、タブレット上で既存のUbuntuのアプリケーションを動作させることも(保証外ではあるものの)可能です。主なアプリケーションはUbuntu Phoneと同じくQMLベースで、キーボードやマウスを接続することでUbuntu Desktopとして利用することができます。

テスト用イメージがGalaxy Nexus/Nexus 4/Nexus 7/Nexus 10用にリリースされ、AndroidのカスタムROMと同じ方法で導入できるようになる予定です。

Ubuntu Phone・Tabletのリリースにより、Ubuntuはコンピューティングクラスタからクラウド環境と一般的なサーバー、そしてデスクトップ・タブレット・スマートフォン・スマートTV・組み込み・車載などといった、現在のコンピューティングをほぼすべてカバーする状態になります。

特にデスクトップ・タブレット・スマートフォン・スマートTVはUnityを中心にした統一されたインターフェースで利用できることになり、アプリケーションもそれぞれ同じものが利用できる、という状態になります[1]⁠。

さらに、⁠タブレットやスマートフォンにキーボードとマウスをつなぐとデスクトップになる」といった利用方法も採れるようになります。⁠Unity」の名前の通り、⁠統合された」ユーザー環境が、2011年4月の11.04から約2年をかけて姿を現したことになります。この意味では、UbuntuにおけるバグNo.1(LP#1⁠、⁠Microsoftのシェアが高すぎる」という問題への真のチャレンジが始まります。

図1 Ubuntu上で利用できる各種アプリケーションの利用図
図1 Ubuntu上で利用できる各種アプリケーションの利用図

Ubuntu 12.04.2のリリース

Ubuntu 12.04の2度目のポイントリリース、12.04.2がリリースされました。

ポイントリリースは、LTSリリースのUbuntuに対して提供される、⁠あらかじめアップデートが適用された、更新版ISOイメージ」です。新規にLTSをインストールする際の手間を減らすため、そして、もともとのインストールイメージのバグを改善するために提供されます。すでに12.04.2を利用している場合は、アップデータを適用することで12.04.2相当に更新されますので、このイメージを用いて再インストールを行う必要はありません。

ポイントリリースで行われる機能拡張は、カーネル更新による新しいストレージコントローラへの対応が主ですが、12.04.2では12.10で対応が行われたUEFI Secure Bootも可能になっており、Windows 8搭載マシンにもスムーズに導入することができます。詳細についてはhelp.ubuntu.comの記載を参照してください。

なお、12.04.2のJapanese RemixはQAを残すのみで、近日リリースの予定です。

Steam for Linux

Valve社のゲーム配信システム、SteamのLinux版が正式にリリースされました。現時点では推奨環境はUbuntuのみです。Ubuntu上からはソフトウェアセンターからSteamをインストールし、さらにLinux版Steamから各種ゲームをダウンロード、というモデルになっています。

新“Sputnik”

「⁠⁠開発者向け』プリインストールUbuntuを導入したDell XPS 13⁠⁠、コードネームSputnikの後継モデルがUSAやカナダでリリースされています(俗称Sputnik2⁠⁠。

XPS 13はモニタベゼルが非常に小さく、13.3インチディスプレイを搭載しながら、12.5/11.6サイズのノートPCと同程度の底面積を実現した、もともとハイエンドに属するUltrabookですが、Sputnikモデルはさらにこれを強化したもので、日本で販売されているNew XPS 13 プレミアム・フルHD液晶の上位カスタムで、1080p(1920x1080)対応の高解像度13インチディスプレイ・256GB SSDに加えて、Core i7-3537Uを搭載、と、現状考えられるほぼ最高のセッティングとなっています。

Sputnik 1は「単にapt-getで開発ツールを入れただけで、あとはXPS 13向けの追加ドライバ類」という状態でしたが、Sputnik 2で追加された新機能、⁠Cloud Launhcer」は、⁠ノートPC上にテスト用クラウド環境をコマンド数回で構築できる」という非常に強力なものです。この機能、内部的にはLXC上で仮想マシンをデプロイした上で、さらにOpenStackベースのクラウド環境を展開する、という強烈なものになっており、技術的にも人柱的にも興味深いものとなっています。この路線でSputnikが強化されていくと、いずれはCrowberを使って簡単にテスト環境を作れるし、必要に応じてAWSなりOpenStack環境なりにマシンを任意にデプロイできる⁠⁠、といったプロダクトに育っていく可能性もあります。

その他、Sputnikに搭載されたソフトウェアに興味がある場合はgithub上のリポジトリを確認してください。

オープンソースカンファレンス 2013 Tokyo/Spring

2月22日(金⁠⁠・2月23日(土)に、オープンソースカンファレンス2013 Tokyo/Springが開催されます。Ubuntu Japanese Teamもブース出展(両日)セミナー(2月22日)を行っています。

日程2013年2月22日(金)10:00-18:00 (展示は11:00-17:30)・23日(土)10:00-17:30 (展示は10:00-16:00)
会場明星大学 日野キャンパス 28号館 2F
多摩モノレール ⁠中央大学・明星大学駅」から大学まで直結。会場まで徒歩6分。ご来場の際は公共交通機関をご利用ください。
費用無料
主催オープンソースカンファレンス実行委員会
協賛明星大学・明星大学

情報学部

企画運営株式会社びぎねっと
図2 オープンソースカンファレンス 2013 Tokyo/SpringでのUbuntu Japanese Teamのブース(本日撮影)
図2 オープンソースカンファレンス 2013 Tokyo/Springでのブース(本日撮影)

ブースでは「ここでしか手に入らない」Japanese RemixスペシャルDVDを配布する予定です。このスペシャルDVDは、うぶんちゅ!の瀬尾浩史先生による描き下ろしレーベル印刷メディアに、Ubuntu 12.04.2と12.10のJapanese Remix、そしてUbuntu Magazineのバックナンバーと仮想マシンイメージまで入った全部入りバージョンとなっています。

生産方法の都合から数に限りがありますので、お早めにブースへ立ち寄ることをお勧めします[4]⁠。なお、特別版をはじめ、ブースで配布するグッズ類はCanonicalからの支援とUbuntu Magazine Japanの売り上げに由来する寄付によって賄われており、無料です。

なお、ブースには「Ubuntu入りNexus 7」「Steamの入ったUbuntuマシン」にWandboardなどなど、非常にホットなデバイスが集まる予定です。これらに興味がある方、そしてUbuntuそのものに関するいろいろな疑問をお持ちの方、あるいはFLOSS全般に興味のある方などのご来場をお待ちしています。

UWN#304

Ubuntu Weekly Newsletter #302がリリースされています。

その他のニュース

今週のセキュリティアップデート

usn-1722-1:jQueryのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/001994.html
  • Ubuntu 11.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2011-4969を修正します。
  • jQueryのlocation.hashを用いてエレメントを操作する際に誤った内容を返すことがありました。これにより、XSSが可能です。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1723-1:Qtのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/001995.html
  • Ubuntu 12.10・12.04 LTS・11.10・10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2012-5624, CVE-2012-6093, CVE-2013-0254を修正します。
  • HTTPスキーマでのアクセス時に誤ってFILEスキーマのファイルへリダイレクトすることが可能な問題、SSL証明書の認証に失敗した時に正しくないエラーメッセージを返す問題、共有メモリのパーミッションが誤っており、他のユーザーからメモリ空間を読み書き可能な問題を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用後、セッションを再起動(一度ログアウトして再ログイン)してください。
usn-1724-1:OpenJDKのセキュリティアップデート
usn-1725-1:Linux kernelのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/001997.html
  • Ubuntu 10.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-0190を修正します。
  • 32bit PVOPSゲストマシン上の一般ユーザーから、当該ゲストへのDoS・スタック破壊を誘発させることが可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-1726-1:Linux kernel (OMAP4)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/001998.html
  • Ubuntu 11.10 OMAP4カーネル用のアップデータがリリースされています。CVE-2012-2669, CVE-2012-4508, CVE-2012-5532を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるので、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。
usn-1727-1:Boostのセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/001999.html
  • Ubuntu 12.10用のアップデータがリリースされています。CVE-2013-0252を修正します。
  • Boost.LocaleのUTF-8文字列処理に問題があり、特殊な文字列を含めることで入力値検証を迂回できる可能性があります。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。
usn-1728-1:Linux kernel (EC2)のセキュリティアップデート
  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2013-February/002000.html
  • Ubuntu 10.04 LTSのEC2用カーネルのアップデータがリリースされています。CVE-2013-0190を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
usn-1729-1:Firefoxのセキュリティアップデート

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