Ubuntu Weekly Topics

Ubuntu 25.10(questing)開発;Raspberry Piデスクトップイメージの軽量化と壁紙コンテスト⁠linux-qcomカーネルフレーバー

questing(Ubuntu 25.10)の開発;Raspberry Piデスクトップイメージの軽量化と壁紙コンテスト

questingの開発では、Raspberry Piのデスクトップイメージの軽量化のための試みが開始されました。⁠desktop-minimal」⁠標準のデスクトップ環境ではなく、本当にミニマムなもの)をもとにデフォルトで導入されるアプリケーションを減らす、という比較的古典的なアプローチで770MBほどの軽量化に成功した、という形となっています。

このアプローチによって「デフォルトでは含まれない」構成になったアプリケーションは次の通りです。これらのアプリケーションは、questingの新規インストール時には含まれなくなります。

  • deja-dup
  • file-roller
  • gnome-calendar
  • gnome-snapshot
  • libreoffice-*
  • remmina
  • rhythmbox
  • shotwell
  • simple-scan
  • thunderbird
  • totem
  • transmission-gtk

この構成がどのようなものかというと、⁠とりあえずブラウザは動く」です。アップグレードの場合はubuntu-desktopパッケージが維持される結果、これらのパッケージは維持されます(必要に応じて「削除される状態」にすることもできますが、必要になるシナリオはあまり多くないでしょう⁠⁠。

また、Ubuntuの開発ではおなじみの壁紙コンテストが今回も開催されます。今回もplucky(25.04)に引き続き、以下の3セクションから上位2枚ずつが採採される形で開催されます。

  • マスコット(Mascot Theme)
  • デジタル・抽象(Digital / Abstract)
  • 写真(Photography)

応募は4K画像(3840x2160ピクセル)であることに加えて、該当の壁紙について著作権があること(そしてCC BY-SA 4.0かCC BY 4.0でライセンスできること)が条件で、今回も「ライセンス要件を満たせると断定できないのでAIが生成したものは利用禁止」という形になっています。⁠AIモデルの学習に用いられた各種アートワークは、本来の著作者の明示的な許可を伴ったものではなく、これをそのまま利用することはコミュニティとしての理念と価値を毀損する」⁠AI生成の特徴が見られた場合、人間がそれを生成したことを証明するためにプロジェクトファイル等の提出が必要になる場合があります」という注意書きも含まれており、あくまで「人間の手によるもの」であることが前提となっています。

スケジュールとしては、7月17日から応募受付開始、8月11日に受け付け終了&投票開始、8月18日に結果発表、というスケジュールとなっています。アートワークや写真の腕に覚えがある場合は、この記事を参照しつつ、挑戦してみてはいかがでしょうか。

なお今回はマスコットがクオッカワラビー(見た目がなごむ&かわいいことでおなじみ)のため、マスコット系は激戦になることが予想されます。

「linux-qcom」フレーバー

Qualcomm Dragonwing用と見られる新しいカーネルフレーバー、linux-qcomの開発が外部から観測できるようになっています。現状で読み取れる範囲ではDragonwing QCS5430向けの調整が主のように見えるものの、この種の調整はメーカーごとにまとめられるケースが多いため、今後なんらかの拡張があるかもしれません。

現時点では「ふつうの」Ubuntuユーザーには関係のないものですが、Dragonwingを搭載したデバイスが広く販売される、あるいは対象となるSoCが拡張された場合、⁠Arm環境のUbuntuユーザーが高確率でお世話になる」フレーバーになるかもしれません。

その他のニュース

今週のセキュリティーアップデート

usn-7635-1:GnuTLSのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009566.html
  • Ubuntu 25.04・24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-32988, CVE-2025-32989, CVE-2025-32990, CVE-2025-6395を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、メモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。任意のコードの実行・DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7634-1:GNU C Libraryのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009567.html
  • Ubuntu 25.04・24.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-5702, CVE-2025-5745を修正します。
  • Power10環境において悪意ある入力を行うことで、DoS・不定な動作・本来秘匿されるべき情報へのアクセスが可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。

usn-7545-3:Apportの再アップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009568.html
  • Ubuntu 25.04・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 ESM・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。
  • クラッシュしたプロセスがアナライズ中に終了された場合、Apportがクラッシュする問題がありました。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7636-1:Roundcube Webmailのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009569.html
  • Ubuntu 24.04 LTS(Ubuntu Proのみ)用のアップデータがリリースされています。CVE-2024-42009を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、異なるユーザーとしてメールを送受信することが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7637-1:libjxlのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009570.html
  • Ubuntu 24.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2023-0645, CVE-2023-35790, CVE-2024-11403, CVE-2024-11498を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、メモリ破壊を伴うクラッシュを誘発することが可能でした。任意のコードの実行・DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7610-3:Linux kernel (Low Latency)のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009571.html
  • Ubuntu 24.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-37798, CVE-2025-37890, CVE-2025-37932, CVE-2025-37997, CVE-2025-38000, CVE-2025-38001を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。

usn-7585-7:Linux kernel (Raspberry Pi)のセキュリティアップデート

usn-7640-1:Linux kernel (IoT)のセキュリティアップデート

usn-7641-1:Bindのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009574.html
  • Ubuntu 25.04用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-40777を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7639-1:Apache HTTP Serverのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009575.html
  • Ubuntu 25.04・24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2024-42516, CVE-2024-43204, CVE-2024-47252, CVE-2025-23048, CVE-2025-49630, CVE-2025-49812, CVE-2025-53020を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、レスポンス分割・mod_proxyにおける外部アクセスの制御の迂回・ログへの不正な挿入・HTTPセッションハイジャック・DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7611-3:Linux kernel (AWS)のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009576.html
  • Ubuntu 25.04用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-37890, CVE-2025-37932, CVE-2025-37997, CVE-2025-38000, CVE-2025-38001を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。

usn-7443-3:Erlangのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009577.html
  • Ubuntu 18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-32433を修正します。
  • usn-7443-1の18.04、16.04向けパッケージです。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7609-5:Linux kernel (Azure)のセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009578.html
  • Ubuntu 24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-22088, CVE-2025-37798, CVE-2025-37890, CVE-2025-37932, CVE-2025-37997, CVE-2025-38000, CVE-2025-38001を修正します。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、システムを再起動してください。
  • 備考:ABIの変更を伴いますので、カーネルモジュールを自分でコンパイルしている場合は再コンパイルが必要です。カーネルモジュール関連のパッケージ(標準ではlinux-restricted-modules, linux-backport-modules, linux-ubuntu-modulesなど)は依存性により自動的にアップデートされるため、通常はそのままアップデートの適用を行えば対応できます。

usn-7591-6:Linux kernel (Raspberry Pi)のセキュリティアップデート

usn-7646-1:Railsのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009580.html
  • Ubuntu 18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2019-5418を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、サーバー上のファイルの閲覧が可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7649-1:Linux kernelのセキュリティアップデート

usn-7643-1:libsoupのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009582.html
  • Ubuntu 25.04・24.04 LTS・22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・20.04 ESM・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-32907, CVE-2025-32914, CVE-2025-4945, CVE-2025-4948, CVE-2025-4969を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7650-1:Linux kernel (OEM)のセキュリティアップデート

usn-7651-1:Linux kernelのセキュリティアップデート

usn-7652-1:Linux kernel (Real-time)のセキュリティアップデート

usn-7653-1:Linux kernel (HWE)のセキュリティアップデート

usn-7648-1:PHPのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009587.html
  • Ubuntu 25.04・24.04 LTS・22.04 LTS用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-1220, CVE-2025-1735, CVE-2025-6491を修正します。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7647-1:LedgerSMBのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009588.html
  • Ubuntu 25.04・24.04 LTS・22.04 LTS・20.04 ESM・18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2021-3693, CVE-2021-3694, CVE-2021-3731, CVE-2021-3882, CVE-2024-23831を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、任意のコードの実行・本来秘匿されるべき情報へのアクセスが可能でした。
  • 対処方法:アップデータを適用の上、LedgerSMBを再起動してください。

usn-7638-1:Libmobiのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009589.html
  • Ubuntu 22.04 LTS(Ubuntu Proのみ)用のアップデータがリリースされています。CVE-2022-1907, CVE-2022-1908, CVE-2022-29788を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7642-1:AIOHTTPのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009590.html
  • Ubuntu 24.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・22.04 LTS(Ubuntu Proのみ⁠⁠・20.04 ESM・18.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2023-47627, CVE-2023-49081, CVE-2023-49082, CVE-2024-23829, CVE-2024-27306, CVE-2024-30251, CVE-2024-52304を修正します。
  • 悪意ある入力を行うことで、リクエストスマグリング・XSS・DoSが可能でした。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7645-1:PHPのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009591.html
  • Ubuntu 18.04 ESM・16.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2025-1217, CVE-2025-1734, CVE-2025-1736, CVE-2025-1861を修正します。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

usn-7654-1:Linux kernelのセキュリティアップデート

usn-7654-2:Linux kernel (Real-time)のセキュリティアップデート

usn-7654-3:Linux kernel (FIPS)のセキュリティアップデート

usn-7655-1:Linux kernel (Intel IoTG)のセキュリティアップデート

usn-7651-2:Linux kernelのセキュリティアップデート

usn-6885-5:Apache HTTP Serverのセキュリティアップデート

  • https://lists.ubuntu.com/archives/ubuntu-security-announce/2025-July/009597.html
  • Ubuntu 14.04 ESM用のアップデータがリリースされています。CVE-2024-38474, CVE-2024-38475を修正します。
  • usn-6885-1の14.04用のアップデータです。
  • 対処方法:通常の場合、アップデータを適用することで問題を解決できます。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧