オープンソースソフトウェア「Bacula」で安心・安全なバックアップシステムを構築しよう

第4回Baculaを便利に使うための設定解説

はじめに

第3回までは、Baculaのデフォルト値に近い基本的な設定を使用してきました。第4回ではもう少し突っ込んだ詳細な設定値を説明します。

今回は次のような項目を解説します。

  • ディレクターデーモンの設定
  • ストレージデーモンの設定
  • クライアントデーモンの設定
  • Baculaの設定を簡単にする小技
  • バックアップ対象サーバの追加

ディレクターデーモン、ストレージデーモン、クライアントデーモン、コンソールを解説し、バックアップ対象を1台追加します。192.168.2.2をバックアップ対象機として追加します。図1のような全体の構成を想定しています。

図1 全体の構成
図1 全体の構成

Baculaの設定

Baculaの設定ファイルは基本的に以下の4ファイルのみで実施するシンプルな設定ファイルです。

  • /etc/bacula/bacula-dir.conf ディレクターデーモン設定
  • /etc/bacula/bacula-sd.conf ストレージデーモン設定
  • /etc/bacula/bacula-fd.conf クライアントデーモン設定
  • /etc/bacula/bconsole.conf コンソール設定

またBaculaの設定値は、⁠{」で始まり「}」で終わるリソースとよばれる単位で設定します。

上記の4つファイルの中身を見るとリソースの集合体になっています。それぞれのファイルにどのようなリソースが存在するかを設定値と共に解説します。

各リソースの基本書式は

  • <ディレクティブ> = <設定値>

となり、ディレクティブに対して設定値を記載します。以下、各リソースに設定できるディレクティブを解説していきます。

ディレクターデーモンの設定

ディレクターデーモンの設定を行います。設定ファイルは/etc/bacula/bacula-dir.confです。

ディレクターデーモンはBacula全体を管理する司令塔的な役割を持っています。カタログ(データベース)と連携して、すべてのクライアントに関するバックアップ、リストア情報を管理し、ジョブの実行を管理します。

ディレクターデーモンには主に以下のリソースが存在します。

リソース名内容
Directorディレクターデーモンの設定値を記載
Jobバックアップおよびリストアを実行するための指示書
FileSetバックアップおよびリストアするディレクトリを指定
Scheduleバックアップおよびリストアの実行時間を指定
Clientバックアップおよびリストア対象となるサーバなどを指定
Storageバックアップデータを保存するストレージを指定
CatalogBaculaサーバのDB情報を記載
MessagesBaculaの通知に関する設定
バックアップ失敗時などにメールで通知するなどの設定ができます
Poolデータの保存先の集合体
ConsoleBaculaを操作するためのconsole情報を記載
基本はbconsoleです

Client、FileSet、Schedule、Storage、PoolはそれぞれJobリソース内で定義して使用します。その関係性を表したものが図2です。

図2 リソースの関係性
図2 リソースの関係性

次に各リソースを1つずつ解説します。ディレクターデーモンインストール直後の設定ファイルをサンプルとして解説します。

Directorリソース

Directorリソースではディレクターデーモンの基本設定を行います。

Director {                            # define myself
  Name = bacula-dir
  DIRport = 9101                # where we listen for UA connections
  QueryFile = "/etc/bacula/query.sql"
  WorkingDirectory = "/var/spool/bacula"
  PidDirectory = "/var/run"
  Maximum Concurrent Jobs = 20
  Password = "bacula"         # Console password
  Messages = Daemon
}

ディレクターデーモンの名称および使用するポート、同時実行可能なJob数、ディレクターデーモンと通信するためのパスワードなどを設定することができます。各ディレクティブの詳細はDirectorリソースを参照ください。

Jobリソース

Jobリソースではバックアップおよびリストアを実行するための指示書となるJobを定義します。

Job {
  Name = "Backup-TestJob"
  Type = Backup
  Level = Full
  Client = bacula-fd
  FileSet = "Full Set"
  Schedule = "WeeklyCycle"
  Storage = File1
  Messages = Standard
  Pool = File
  Priority = 10
  Write Bootstrap = "/var/spool/bacula/%c.bsr"
}

Jobの名前、バックアップ対象となるクライアントや対象のディレクトリ、スケジュールなどを設定し、柔軟にバックアップを取得するJobを作成できます。各ディレクティブの詳細はJobリソースを参照ください。

FileSetリソース

FileSetリソースではどのディレクトリおよびファイルをバックアップ対象とするかを定義します。

FileSet {
  Name = "Full Set"
  Include {
    Options {
      signature = MD5
      compression = GZIP
    }
    File = /usr/sbin
  }

  Exclude {
    File = /var/spool/bacula
    File = /tmp
    File = /proc
    File = /tmp
    File = /sys
    File = /.journal
    File = /.fsck
  }
}

Includeでバックアップ対象となるディレクトリを指定し、Excludeでバックアップ対象から外すことができます。その他圧縮の指定、ハッシュ関数の指定などが可能です。各ディレクティブの詳細はFileSetリソースを参照ください。

Scheduleリソース

ScheduleリソースではJobを「いつ」実行するか定義します。

Schedule {
  Name = "WeeklyCycle"
  Run = Full 1st sun at 23:05
  Run = Differential 2nd-5th sun at 23:05
  Run = Incremental mon-sat at 23:05
}

Scheduleリソースの名前と実行時間を定義します。上記の例では、

  • 第一日曜23:05にバックアップ実行
  • 第二~第五日曜23:05に差分バックアップ
  • 平日月曜~土曜23:05に増分バックアップ実行

以上の3つのスケジュールを「WeeklyCycle」という名前で定義しています。各ディレクティブの詳細はScheduleリソースを参照ください。

Clientリソース

Clientリソースではバックアップおよびリストア対象となるクライアントを定義します。ここで定義した各クライアントにはファイルデーモンをインストールし適切な設定が必要になります。

Client {
  Name = bacula-fd
  Address = 192.168.2.1
  FDPort = 9102
  Catalog = MyCatalog
  Password = "bacula-pass"            # password for FileDaemon
  File Retention = 60 days              # 60 days
  Job Retention = 6 months            # six months
  AutoPrune = yes                     # Prune expired Jobs/Files
}

クライアントの名前とクライアントのIPアドレス、使用するポート番号、ファイルの保存期間、Jobの保存期間などを定義します。各ディレクティブの詳細はClientリソースを参照ください。

Storageリソース

Storageリソースではどのストレージにバックアップデータを保存するか定義します。

# Definition of file Virtual Autochanger device
Storage {
  Name = File1
# Do not use "localhost" here
  Address = 192.168.2.1                  # N.B. Use a fully qualified name here
  SDPort = 9103
  Password = "bacula-pass"
  Device = FileChgr1
  Media Type = File1
  Maximum Concurrent Jobs = 10        # run up to 10 jobs a the same time
}

Storageリソースの名前、ストレージデーモンがインストールされているサーバ、ストレージデーモンの使用ポート、バックアップデータの保存先デバイスなどを定義します。各ディレクティブの詳細はStorageリソースを参照ください。

Catalogリソース

CatalogリソースではBaculaが使用するカタログ(データベース)を定義します。

# Generic catalog service
Catalog {
  Name = MyCatalog
  dbname = "bacula"; dbuser = "bacula"; dbpassword = "dbpass"
}

カタログの名前とカタログ(データベース)への接続情報を定義します。インストール後に特に理由が無ければ変更する必要はありません。各ディレクティブの詳細はCatalogリソースを参照ください。

Messageリソース

MessagesリソースではBaculaの通知に関する定義をします。

Messages {
  Name = Daemon
  mailcommand = "/usr/sbin/bsmtp -h localhost -f \"\(Bacula\) \\" -s \"Bacula daemon message\" %r"
  mail = root@localhost = all, !skipped
  console = all, !skipped, !saved
  append = "/var/log/bacula/bacula.log" = all, !skipped
}

Jobが失敗した時などに指定したメールアドレスに通知することができます。各ディレクティブの詳細はMessagesリソースを参照ください。

Poolリソース

Poolリソースはデータ保存先として使用するPoolを定義します。

Pool {
  Name = File
  Pool Type = Backup
  Recycle = yes                       # Bacula can automatically recycle Volumes
  AutoPrune = yes                    # Prune expired volumes
  Volume Retention = 365 days       # one year
  Maximum Volume Bytes = 50G      # Limit Volume size to something reasonable
  Maximum Volumes = 100           # Limit number of Volumes in Pool
  Label Format = "Vol-"               # Auto label
}

Poolの名前、Volumeの保存期間、Volumeの最大容量、Volume数などを定義します。各ディレクティブの詳細はPoolリソースを参照ください。

ここでPool、Volumeという言葉がでてきました。先ほどのStorageと合わせてStorage、Pool、Volumeの関係を解説します。

図3 PoolとVolumeの関係性
図3 PoolとVolumeの関係性

ストレージは名前の通りにバックアップデータを保存するデバイスを指します。PoolはStorageの箱を用意して、そこにVolume単位でデータを保存しています。Volumeにはラベルを付けて名前で管理します。Poolリソースで指定している「Label Format」に基づいてVol-0001から連番でラベルを自動的に付けています。

デフォルトの設定値を利用してバックアップを取得している場合は/tmpを確認してみてください。Vol-0001というファイルが存在しているはずです。そのファイルがVolumeです。Volumeの保存先はbacula-sd.confのDeviceリソースで定義します。

Consoleリソース

ConsoleリソースはBaculaを操作するためのconsole情報を定義します。

Console {
  Name = bacula-mon
  Password = "bacula"
  CommandACL = status, .status
}

Consoleリソースの名前とDirectorデーモンと通信するためのパスワードを指定します。各ディレクティブの詳細はConsoleリソースを参照ください。

ストレージデーモンの設定

次にストレージデーモンの設定を行います。設定ファイルは/etc/bacula/bacula-sd.confです。

ストレージデーモンはバックアップしたデータを管理します。ストレージデーモンには主に以下のリソースが存在します。

リソース名内容
Storageストレージデーモンの設定値を記載
Directorディレクターデーモンの設定値を記載
Autochangerオートチェンジャーの設定を記載
Deviceバックアップデータを保存するデバイス設定を記載
Messagesストレージデーモンで使用するメッセージリソースを指定

Storageリソース

Storageリソースではストレージデーモンの基本設定を行います。

Storage {                             # definition of myself
  Name = bacula-sd
  SDPort = 9103                      # Director's port
  WorkingDirectory = "/var/spool/bacula"
  Pid Directory = "/var/run"
  Maximum Concurrent Jobs = 20
}

Storageリソースの名称および使用するポート、同時実行可能なJob数、などを設定することができます。各ディレクティブの詳細はStorageリソースを参照ください。

Directorリソース

Directorリソースではストレージデーモンとディレクターデーモンが通信するための設定を定義します。

Director {
  Name = bacula-mon
  Password = "bacula-pass"
  Monitor = yes
}

各ディレクティブの詳細はこちらを参照ください。

Autochangerリソース

Autochangerリソースでは使用するAutochangerを定義します。

Autochanger {
  Name = FileChgr1
  Device = FileChgr1-Dev1, FileChgr1-Dev2
  Changer Command = ""
  Changer Device = /dev/null
}

Autochangerの名称、Autochangerとして使用するデバイスを指定します。各ディレクティブの詳細はAutochangerリソースを参照ください。

Deviceリソース

Deviceリソースではバックアップデータを保存するデバイスを定義します。

Device {
  Name = FileChgr1-Dev1
  Media Type = File1
  Archive Device = /tmp
  LabelMedia = yes;                   # lets Bacula label unlabeled media
  Random Access = Yes;
  AutomaticMount = yes;               # when device opened, read it
  RemovableMedia = no;
  AlwaysOpen = no;
  Maximum Concurrent Jobs = 5
}

Deviceの名前、デバイスの保存先のパスなどを指定します。上記のサンプルでは/tmpに保存する設定になっています。各ディレクティブの詳細はDeviceリソースを参照くださいディレクターデーモンインストール直後の設定ファイルではAutochangerを使用する設定になっています。実際にAutochangerは無くても仮想Autochangerとして扱われ/tmpにバックアップデータが保存されます⁠⁠。

Messagesリソース

Messageリソースはストレージデーモンで使用するメッセージリソースを指定します。

Messages {
  Name = Standard
  director = bacula-dir = all
}

各ディレクティブの詳細はMessagesリソースを参照ください。

ファイルデーモンの設定

次にファイルデーモンの設定を行います。設定ファイルは/etc/bacula/bacula-fd.confになります。

ファイルデーモンはバックアップ対象機にインストールするエージェントです。役割として管理サーバのディレクターデーモンと通信して、バックアップおよびリストアを行います。ファイルデーモンには主に以下のリソースが存在します。

リソース名内容
Directorディレクターの設定値を記載
FileDaemonファイルデーモンの設定値を記載
Messagesファイルデーモンで使用するメッセージリソースを記載

Directorリソース

Directorリソースではファイルデーモンとディレクターデーモンが通信するための設定を定義します。

Director {
  Name = bacula-dir
  Password = "bacula7"
}

各ディレクティブの詳細はDirectorリソースを参照ください。

ファイルデーモンリソース

FileDaemonリソースではファイルデーモンの基本設定を行います。

FileDaemon {                          # this is me
  Name = bacula-fd
  FDport = 9102                  # where we listen for the director
  WorkingDirectory = /var/spool/bacula
  Pid Directory = /var/run
  Maximum Concurrent Jobs = 20
  Plugin Directory = /usr/lib64/bacula
}

ファイルデーモンの名称および使用するポート、同時実行可能なJob数、などを設定することができます。各ディレクティブの詳細はFileDaemonリソースを参照ください。

Messagesリソース

Messagesリソースはファイルデーモンで使用するメッセージリソースを指定します。

Messages {
  Name = Standard
  director = bacula-dir = all, !skipped, !restored
}

各ディレクティブの詳細はMessagesリソースを参照ください。

bconsoleの設定

次にbconsoleの設定を行います。設定ファイルは/etc/bacula/ bconsole.confです。bconsoleを使ってディレクターに様々な操作をすることができます。bconsoleには主に以下のリソースが存在します。

リソース名内容
DirectorDirectorリソースの設定

Directorリソース

Directorリソースではbconsoleとディレクターデーモンが通信するための設定を定義します。

Director {
  Name = bacula-dir
  DIRport = 9101
  address = localhost
  Password = "bacula7"
}

各ディレクティブの詳細はDirectorリソースを参照ください。

Firewalldの設定

次にFirewalldの設定をします。Baculaはサービス名が登録されていますので、以下のコマンドでFirewalldに設定を追加することができます。さらにBaculum用に9095番ポートも空けておきます。追加後にreloadを忘れずに実行しましょう。

# firewall-cmd --permanent --add-service=bacula
success
# firewall-cmd --permanent --add-port=9095/tcp
success
# firewall-cmd --reload
success

念のため以下のコマンドでservicesにBaculaとportsに9095/tcpが追加されていることを確認します。

# firewall-cmd --list-all
public (default, active)
  interfaces: enp0s3
  sources:
  services: bacula dhcpv6-client ssh
  ports: 9095/tcp
  masquerade: no
  forward-ports:
  icmp-blocks:
  rich rules:

SELinux設定

BaculaはSELinuxがenforcingでも問題なく動作しますので、SELinuxの設定はenforcingのままとします。

設定反映

ここまでディレクターデーモン、ストレージデーモン、ファイルデーモンの設定を解説してきました。設定を変更した後は設定したファイルのデーモンを再起動して設定を反映してください。

CentOS7の場合のコマンドはそれぞれ以下のようになります。

# systemctl restart bacula-dir
# systemctl restart bacula-sd
# systemctl restart bacula-fd

設定変更したデーモンのみの再起動で問題ありません。全てを再起動する必要はありません。

また、無事に再起動が完了したことを確認しておきましょう。

# systemctl status bacula-dir
# systemctl status bacula-sd
# systemctl status bacula-fd

Baculaの設定を簡単にする小技

Baculaの設定は4つのファイルだけで非常にシンプルですが、設定値が間違っていたり誤記などが存在するとBaculaが起動できなくなることがあります。またバックアップする台数が増えると設定ファイルの行数が増えて分かりにくくなることがあります。

シンプルで良いのですが、間違い箇所を見つけるのは時に大変です。そこでBaculaの設定を楽にする小技として設定ファイルの構文チェックと、設定ファイルを短くする方法を解説します。

設定ファイル構文チェック

以下のコマンドで各ファイルの構文チェックを行うことができます。

# bacula-dir -tc /etc/bacula/bacula-dir.conf
# bacula-fd -tc /etc/bacula/bacula-fd.conf
# bacula-sd -tc /etc/bacula/bacula-sd.conf
# bconsole -tc /etc/bacula/bconsole.conf

エラーが無い場合は何も表示されません。エラーがある場合は以下のように表示されます。

# bacula-dir -tc /etc/bacula/bacula-dir.conf
bacula-dir: ERROR TERMINATION at parse_conf.c:940
Config error: Expected a Resource name identifier, got: err_test
            : line 17, col 8 of file /etc/bacula/bacula-dir.conf
err_test

24- 1月 17:56 bacula-dir: ERROR TERMINATION at parse_conf.c:940
Config error: Expected a Resource name identifier, got: err_test
            : line 17, col 8 of file /etc/bacula/bacula-dir.conf
err_test

わざとerr_testという文字列を挿入してみました。すると17行目に構文エラーとなっている箇所があることを示してくれます。設定ファイルの間違いを見つけることが簡単になります。

設定ファイルを短くする

Bacula設定ファイルは4つだけと解説しましたが、バックアップ対象が増えると設定ファイルの行数が増加し、内容がわかりにくになります。

そこで設定ファイルの行数を減らす手順を解説します。例としてbacula-dir.confの行数を減らしてみましょう。

bacula-dir.confにはJobとClient情報が多く記載されています。この2つをそれぞれjob.listとclient.listという外部ファイルにすることが可能です。

job.listにはJobのリソース、client.listにはClientリソースを複数記載します。そして、Bacula-dir.confの中の任意の場所を設定することで外部ファイルとすることができます。

  • /etc/bacula/job.list ジョブリスト
  • /etc/bacula/client.list クライアントリスト


@/etc/bacula/job.list
@/etc/bacula/client.list

以上のように記載するだけでジョブリストとクライアントリストを外部ファイルとして読み込むことができます。ファイル名は任意の名前を付けることができます。

バックアップ対象を追加

設定方法を細かく解説したところで、バックアップ対象サーバを1台追加してみましょう。CentOS7のサーバを追加します。

図4 全体の構成
図4 全体の構成

図4の192.168.2.2のサーバを追加します。以下の手順は特に記述が無い場合は192.168.2.2のサーバ上で実施します。

リポジトリ追加

まずリポジトリを追加します。

# yum -y install wget
# cd /etc/yum.repos.d/
# wget https://copr.fedorainfracloud.org/coprs/slaanesh/Bacula/repo/epel-7/slaanesh-Bacula-epel-7.repo

ファイルデーモンのインストール

次にファイルデーモンのみインストールします。

# yum -y install bacula-client
# cd /etc/yum.repos.d/
# wget https://copr.fedorainfracloud.org/coprs/slaanesh/Bacula/repo/epel-7/slaanesh-Bacula-epel-7.repo

ファイルデーモンの設定

次にbacula-fd.confを設定します。

設定ファイル/etc/bacula/bacula-fd.confを修正します。設定内容は1-3のファイルデーモンの設定を参照してください。IPアドレスは、ディレクターデーモンがインストールされているサーバ(192.168.2.1)を指定してください。

ファイルデーモンの起動

設定が終わったらbacula-fdを起動します。起動と共に自動起動設定も実施します。起動後に起動確認を行います。

# systemctl start bacula-fd
# systemctl enable bacula-fd
# systemctl status bacula-fd

ジョブ登録

管理サーバ側で設定します。管理サーバではクライアントを追加し、ジョブを登録します。

以下bacula-dir.confに追加する例を記載します。クライアントとジョブのみを記載します。bacula-dir.confの任意の個所に追記します。

Clientリソース

Client {
  Name = Cent7_Server
  Address = 192.168.2.2
  FDPort = 9102
  Catalog = MyCatalog
  Password = "bacula7"                # password for FileDaemon
  File Retention = 60 days             # 60 days
  Job Retention = 6 months            # six months
  AutoPrune = yes                     # Prune expired Jobs/Files
}

192.168.2.2に存在するクライアントをCent7_Serverと命名しクライアントを設定しました。クライアント名は必ずしもホスト名と一致していなくても問題ありません。

Jobリソース

Job {
  Name = " Cent7_Backup"
  Type = Backup
  Level = Fulll
  Client = Cent7_Server
  FileSet = "Full Set"
  Schedule = "WeeklyCycle"
  Storage = File1
  Messages = Standard
  Pool = File
  SpoolAttributes = yes
  Priority = 10
  Write Bootstrap = "/var/spool/bacula/%c.bsr"
}

次にジョブを追加しました。ジョブ名を「Cent7_Backup」としてCent7_Serverクライアントをフルバックする設定としています。ジョブの実行タイミングは「WeeklyCycle」を使用しています。

設定を反映させるためにディレクターデーモンを再起動します。

# systemctl restart bacula-dir

無事に再起動が完了したことを確認しておきましょう。

# systemctl status bacula-dir

ディレクターデーモンの各リソースのディレクティブ解説

各リソースのディレクティブを解説します。

4-1.Directorリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称ディレクターリソースの名称
DIRport9101ディレクターデーモンが使用するポート
QueryFile/etc/bacula/query.sqlQueryコマンド使用時のSQLファイル格納先
WorkingDirectory/var/spool/baculaディレクターデーモンの作業ディレクトリ
PidDirectory/var/runプロセスIDを格納するディレクトリ
Maximum Concurrent Jobs任意のジョブ数同時に実行可能なジョブ数
Password任意のパスワード他のデーモンがディレクターデーモンへアクセスする際のパスワード
Messages任意のメッセージリソース名ディレクターデーモンが使用するメッセージリソース

4-2.Jobリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称Jobリソースの名称
TypeBackup/restoreジョブのタイプを指定
Backu バックアップJOB
restore リストア用JOB
LevelFull
Incremental
Differential
バックアップのレベル指定
Full フルバックアップ
Incremental 増分バックアップ
Differential 差分バックアップ
Client任意のクライアント名バックアップするクライアントを指定
詳細はクライアントリソースに定義
FileSet任意のファイルセット名バックアップするディレクトリを指定
詳細はファイルセットリソースに定義
Schedule任意のスケジュール名バックアップを実行するスケジュールを指定
詳細はスケジュールリソースに定義
Storage任意のストレージ名バックアップするデータを保存するストレージを指定
詳細はストレージリソースに定義
Messages任意のメッセージ名使用するメッセージリソースを指定
詳細はメッセージリソースに定義
Pool任意のポール名バックアップするデータを保存するプールを指定
詳細はプールリソースに定義
Priority任意の優先度ジョブの優先度を設定
デフォルトは10
Write Bootstrap/var/spool/bacula/%c.bsr

FileSetリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称FileSetリソースの名称
IncludeFile = <ディレクトリ>
File = <ファイル名>
バックアップ対象とするファイル名およびディレクトリを指定する
OptionsIncludeのオプション設定
signaturesignature = MD5
signature = SHA1
ハッシュ関数を指定
compressioncompression = GZIP
compression = LZO
圧縮の形式を指定
GZIPは圧縮レベルを指定
圧縮率はGZIP9が高く、GZIP1が低い
GZIPと指定するとGZIP6と同様
ExcludeFile = <ディレクトリ>
File = <ファイル名>
バックアップ対象外とするファイル名およびディレクトリを指定

Scheduleリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称Scheduleリソースの名称
Run条件式を指定Jobを実行するレベルと実行日時を指定

Clientリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称Clientリソースの名称
AddressIPアドレス対象となるサーバおよびクライアントのIPアドレス
FDPort9102ファイルデーモンが使用するポート
Catalogカタログ名(BaculaのDB名)インストール時に指定したデータベース名を指定
Password任意のパスワードファイルデーモンと通信するためのパスワード
File Retention任意の日数バックアップデータ保存期間
Job Retention任意の日数実行Jobの保存期間
AutoPruneyes / no自動削除の有無

Storageリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称Storageリソースの名称
AddressIPアドレスストレージデーモンがインストールされているサーバを指定
SDPort9103ストレージデーモンが使用するポート
Password任意のパスワードストレージデーモンと通信するためのパスワード
Device任意のデバイス名バックアップデータを保存するデバイスを指定
bacula-sd.confにて定義
Media Type任意のプール名バックアップデータを保存するPoolを指定
Poolリソースにて定義
Maximum Concurrent Jobs任意のJOB数同時実行可能なJOB数

Catalogリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称Catalogリソースの名称
dbname管理サーバインストール時のDB名称データベースの名称
dbuser管理サーバインストール時に設定したDBアクセスユーザ名データベースへアクセスするユーザ名
dbpassword管理サーバインストール時に設定したDBアクセスパスワードデータベースへアクセスするユーザ名

Messageリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称Messageリソースの名称
mailcommand任意のメールコマンド実行するメールコマンド
mail任意のメール送信先メール送信先
console許可する権限指定コンソール設定
appendログ出力先ログ出力先

Poolリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称Poolリソースの名称
Pool TypeBackupで固定Poolタイプを設定
基本的にBackupを指定
Recycleyes/no保存するPoolの再利用を指定
AutoPruneyes/noVolume Retentionで指定した日数経過後の自動削除を指定
yesは自動削除。noは自動削除しない
Volume Retention任意の日数を指定ボリュームの保存日数を指定
指定した日数を超えないとボリュームは削除できない
Maximum Volume Bytes任意のボリューム容量を指定最大ボリューム容量を指定
Maximum Volumes任意のボリューム数を指定最大ボリューム数を指定
Label Format任意のラベルフォーマットラベルフォーマットを指定

Consoleリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称Consoleリソースの名称
Password任意のパスワードコンソールへアクセスする際のパスワードを指定
CommandACL許可するコンソール操作記述コンソールACL設定

ストレージデーモンの各リソースのディレクティブ解説

各リソースのディレクティブを解説します。

Storageリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称ストレージデーモンの名称
SDPort9103ストレージデーモンが使用するポート
WorkingDirectory/var/spool/baculaストレージデーモン が使用する作業ディレクトリ
Pid Directory/var/runプロセスIDを格納するディレクトリ
Maximum Concurrent Jobs任意のJob数同時実行可能なJob数

Directorリソースの各ディレクティブの意味を以下に記載します。

ディレクティブ設定値内容
NameDirectorに設定されているDirector名称Directorリソースの名称
PasswordDirectorに設定されているDirectorのパスワードDirectorへアクセスする際のパスワード
Monitoryes/noディレクターからのアクセス権限

Autochangerリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称Autochangerリソースの名称
Device任意の名称デバイスの名称
Changer Command実行するコマンドAutochangerコマンド
Changer DeviceAutochangerデバイスAutochangerデバイス

Deviceリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意のデバイス名称Deviceリソースの名称
Media Type使用するPool名を指定メディアタイプを指定
Archive Device保存先のパスを指定バックアップデータ保存先を指定
LabelMediayes/noラベルメディアの指定
Random Accessyes/noランダムアクセスの指定
AutomaticMountyes/no自動マウントの指定
RemovableMediayes/noリムーバブルメディアの指定
AlwaysOpenyes/noデバイスオープンの指定
Maximum Concurrent Jobs任意のJOB数同時実行JOB数

Messageリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称Messagesリソースの名称
directorDirectorリソース名を記載Directorリソース名指定

ファイルデーモンの各リソースのディレクティブ解説

各リソースのディレクティブを解説します。

Directorリソース

ディレクティブ設定値内容
NameDirectorに設定されているDirector名称Directorリソースの名称
PasswordDirectorに設定されているDirectorのパスワードDirectorへアクセスする際のパスワード

FileDemonリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称ファイルデーモンの名称
FDport9102ファイルデーモンが使用するポート
WorkingDirectory/var/spool/baculaファイルデーモンが使用する作業ディレクトリ
Pid Directory/var/runプロセスIDを格納するディレクトリ
Maximum Concurrent Jobs任意のJob数同時実行可能なJob数
Plugin Directory/usr/lib64/baculaプラグイン格納ディレクトリ

Messageリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称Messageリソースの名称
directorDirectorリソース名を記載Directorリソース指定

コンソールの各リソースのディレクティブ解説

各リソースのディレクティブを解説します。

Directorリソース

ディレクティブ設定値内容
Name任意の名称Directorリソースの名称
DIRport9102ディレクターデーモンが使用するポート
addressIPアドレスDirectorが存在するサーバのIPアドレスを指定
Password任意のパスワードDirectorへアクセスする際に使用するパスワード

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