チェアが語る、JANOG26への思い
いよいよ今週、JANOG26が開催されます。gihyo.jp×JANOG連載の最終回は、チェアを集めての座談会形式にて、JANOG26についての思いや見所について語ってもらいます。
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菊地(企画編成委員長、兼インタビュア):まずは、JANOG26への思いというものを改めてお願いします。
松下(実行委員長):(過去の連載に)書いてある通り、なんですよね(笑)。あそこにすべての思いが詰まっているので。山本さん、どうしましょうか。
山本(実行委員長):そうですね、思いとしては、最近、DNSSECとかIPv6とか、国際化ドメインとか、いろいろネットワークの現場としても気にしなければいけない問題が出ている中で、そういった話を2日間の中で凝縮してできればいいなと思っています。いまそれがどんどん形になってきていて、今週の開催が楽しみになってきています。
「思い」を実現する、プログラムの数々
菊地:その「思い」をどういう形で実現しつつあるんでしょうか?たとえば今回は、DNSSECは現場の方がいらっしゃるんですか?
吉村(プログラム委員長):そうですね、DNSSECは、導入にともなうサーバ負荷などの具体的な実験データをご発表いただく予定です。今回はJPRSさんに加えて、ISPやメーカーさんなどの声も聞きたかったので、現場ならでは、という感じのプログラム構成になる予定です。
小山(プログラム委員長):これまでのJANOGミーティングでDNSSECの理論的な話はずいぶん語られてきています。でも今は、実際に一部運用が始まってますから、その運用データを含めて実際こうなったってのを発表していってもらおうかな、と。
菊地:他に、たとえばレイヤ横断というキーワードに関しては?
吉村:今回は、あきみちさん(「従量課金に関する妄想」)に登壇していただくのは1つの特色かな、と思っているんですけど、いままでコテコテの技術の発表が多かったと思っているんですね。あとはAPNICアップデートとか、ガバナンスのネタとかもあったはあったと思うんですけど、ただ、今の通信業界がどうなっていて、未来はどうなるか、みたいなセッションは少なかったと思うんです。
小山:オペレータのレイヤのことって、あんまり、一般の方とか、Webプログラマとかにはあまり知られていなくて、(あきみちさんは)そこにちょっと口を持っている人だと思うんですよね。Webの技術トレンドを追いかけている人がGeekなぺーじを読んでいる、って聞いているんで。
吉村:いろんなレイヤに知られている人ではありますよね。
大久保(企画編成委員長):Geekなぺーじは技術に詳しくない人でもすごく分かりやすく書いてありますね。
小山:あきみちさんをずいぶん宣伝してしまった(笑)。
一同:(笑)
菊地:その他、注目のプログラムは?
小山:若干レイヤ高めなのはtools(「見せます。わたしの道具箱」)ですかね。
吉村:面白そう。みんな濃いですしね。
小山:あれもまた、濃いんですけど、別の意味で一般的なんですよ。ドライバーとかケーブルって見ればわかるツールですから。ある意味わかりやすい。パケット構造とか、見えないですよね。
吉村:あの写真がよかったよね(笑)。みんなすごい笑顔だし。
小山:あとは何ですかね。
吉村:ケーブル(「海底ケーブル、構築と運用の深イイ話」)、結構、興味ありますね。
大久保:L3やっていると、L1のことって見えなくなりますよね。実際どうなっているんだろう?って思いますよね。
吉村:目に見えないところでL1屋さんがどんなに頑張っているかって、わからないですよね。
吉村:ケーブルは、コテコテの現場の話になる予定。あと、ケーブルが切れたときにL3としてどういう処理をしているか、とかも話していただく予定です。
JANOG26の運営面については
菊地:運営的な面について伺いたいと思います。まず、今回はTwitterが導入されてきていると思うのですが、Twitter導入の狙いというのはどういうところなのでしょうか?
大久保:JANOGとしては初の試みだったと思いますが、前回(JANOG25)のtoolsセッションで発表した際に、Twitterのハッシュタグ検索を会場のスクリーンに投影することをやってみました。限られた時間の中で、マイクの前に立てない人のつぶやきを拾い上げ、議論に反映できたんですけど、中にはとても有意義な情報もあって、発表する側としても良いフィードバックが得られました。そんなこともあり、今回、Twitterとの連携をJANOG26全体として広げたいなと思っています。
菊地:インフラ面での新機軸として、Twitter以外にはどういうものがありますか?
大久保:Ustreamですね。ストリーミングは前回も実施して、アンケート結果からも評判が良く、JANOG26でもやろうということになったのですが、今回はTwitterとの連携を考慮してUstreamを採用する予定です。
菊地:JANOGとしての新機軸といいますか、新しいものを取り入れたい、という思いについて語っていただけますか?
大久保:TwitterにしてもUstreamにしても、新しいメディアというのは流行り廃りがあって、そういったものがJANOGで如何に活かせるか、というのはやってみないと分からないですよね。今回はいろいろ手を出してやってみてはいますが、うまくメイクしなかったとか、残念な結果になっても次のJANOGに活かせればいいんじゃないかと思っています。また、過去のJANOGではストリーミングはあまりやられてこなかったんですが、他にも議論に集中するために敢えて会場には無線LANを提供しない、といった話もありました。そのような古いしがらみを捨てて、新しいものを取り入れて、徐々にJANOGの雰囲気を変えていければ、と思っています。
菊地:結構言っちゃいましたね(笑)。
大久保:あと、この記事もそうですが、技評さんのWebサイト(gihyo.jp)とコラボレーションして記事の連載を行ったことも今回新たな試みですね。こちらは、プログラム作り込みの過程を参加者の皆さんにあらかじめ見ていただき、本会議を楽しみにしていただく足がかりになってくれればと思っています。
小山:JANOGってすごく歴史があって、古くからやっていて、毎回面白いセッションやっていて、とても面白いのですけど、知る人ぞ知るグループでありイベント、という感じになっていて、知らない人への知名度の無さってというのが愕然とする程ですよね。知らない人には全然知られていない。そこがもったいないなとすごく前から思っていて、いろんなレイヤの人と話をしなければいけない時期にそろそろ来てるのに、JANOGの知名度のなさ、ってのはちょっとどうしようもないでしょ、ということでいろんな知名度を上げるためのアプローチをいろいろやっている。
Ustだってその一環として捉えちゃって、と思うんですよね。やっぱり、2日間JANOGの会期中ずっと来るってのは難しいかももしれないけど、Ustをちょろっと見る、っていう人なら10倍位いるかもしれないから。層を広げるのって大事だと思います。
この記事をご覧の皆様へ
菊地:では、まとめ的なことを(笑)。
松下:一言で言えば、来てね、ってことになっちゃうんですけど(笑)、最近JANOG本会議を迎えるにあたって、雰囲気づくりが大切だと思ってきているんですね。この雰囲気作りに広報活動がすごく貢献できていると思っているんですよ。
たとえば、どういうふうにプログラムができているんだとか、どういう苦労があったんだとか。どういうプログラムの中身なのかとか。それがTwitterなりgihyo.jpで今回は発信できていると。そういったものが頭にあると、こんなプログラムあるんだ、じゃ事前資料読んでみようかな、って思ったり、当日の話が頭に入ってきやすかったり、マイクの前にも立ちやすいかもしれません。そういう点でまだ、gihyo.jpをご覧になっていらっしゃらない皆様も、ぜひgihyo.jpの記事を第1回から見直していただいて、その雰囲気を感じ取ってもらって、ぜひ会場に来て頂きたいと思っています。
小山:今回のJANOG26は、今までよりテキメンにスタッフの顔が見えているようになっていると思うんですよ。その分、変なことやるとばれちゃうし。でも逆に、そこが人を巻き込む肝だと思うんですよね。twitterで喋っている人が見えていれば、親近感が増す訳ですよ。
山本:魅力的なプログラムを取り揃えているので会場への来訪はもちろん、あるいは Ustのチェックでも、沢山の人に参加してもらって、今後のJANOGミーティング、 ひいてはJANOGコミュニティを介した繋がりが広くなっていくことを期待して、 皆さんお越し下さい、と思っています。
小山:とにかく、いろいろ新しいことをやっているのは確かで、その分、今までより負荷は上がっているが、よくも悪くも結果は当日出るはずなので、当日、我々スタッフの生き様を見に来い、と(笑)。いろいろやったことが上手くいったのか、ダメだったのかは当日見に来て頂ければわかりますので。そこをぜひ見にきてください。
吉村:んー。ちょっと思いがまとまらない。(笑)。いっぱいありすぎて。スタッフがどんだけ頑張ったかは私、本当はあまり見せたくないんです。根性論なんで。だけど、裏側を見せていって巻き込むというのはすごくいいことだと思います。
プログラムは今回、できるだけ偏らないようにいろんな話題を詰め込んだつもりではあるので、広い人に興味を持ってもらえるようになっていると思います。選ぶのはすっごい大変でした。(笑)。楽しんでもらえると思うのでぜひ来て下さい。
大久保:JANOGは他のミーティングと違って、議論重視でプログラムを作っていますので、会場に来ていただく方が絶対に面白いです!リモート参加でもプログラムの内容は聞けるかもしれませんが、遠慮のない、ザクザクと斬りつけるようなマイクトークなど、白熱した臨場感というのは会場に来ないと味わえないJANOGの醍醐味だと思います。ぜひ当日は会場にお越しください。
菊地:(インタビュアーではなく企画編成委員として)なにより、大盛況のうちに終わってくれることを願っています。そのためにできることはやったはずで、あとは当日皆さんに如何に議論して頂くか、ということですね。盛り上がって欲しいなあ。
(なお、座談会当日は会場運営委員長の仲西さんは都合付かず、残念ながら欠席でした。会場関係では今回、名札の色分けや七夕の短冊など、工夫やお楽しみもありますのでご期待ください。)